小説 4.蜘蛛の巣(4) もしこれが毎回同じ男が送ってくるなどということがあれば、私は妻の不倫を疑うところですが、毎回違う男が送ってくるからそういった想像は頭に浮かびませんでした。そんなことが2カ月ほど続き、5月も終わり近い日曜日にまた妻の帰宅が遅くなりました。いつ... 2022.12.25 小説役員会
小説 3.蜘蛛の巣(3) 「……あなた」「大丈夫か? 昨日は随分飲んでいたようだが」「ご迷惑をかけて申し訳ありません……」「それはいいが……まだ肌寒いから、風邪をひかないようにしろよ」「はい……」妻の声が随分沈んでいることが気になりましたが、私はとりあえず手早く顔を... 2022.12.25 小説役員会
小説 2.蜘蛛の巣(2) 私は暫くしてから図書館から帰ってきた息子といっしょに、近所の焼肉屋に行きました。高校生の男の子というのは食欲が旺盛で、見ていると気持ちよくなるほど食べます。私もつい釣られて食べ過ぎてしまい、また久しぶりに息子とゆっくり話し込んだため、家に帰... 2022.12.25 小説役員会
小説 1.蜘蛛の巣(1) 「まただわ……もう、いい加減に諦めてくれないかしら……」3月のある土曜の昼下がり、遅めの昼食を終えたダイニングテーブルの上に置かれた妻の携帯が軽やかなメロディを奏でました。妻は受信されたメールを読むなり小さく眉をしかめましす。私は読みかけの... 2022.12.25 小説役員会