変身(11)

 そんな言葉が頭の中に浮かびますが、艶っぽさを帯びた妻の動きに、私もすっかり煽られていきます。
 私は妻をソファに横たえると、両手を両腿にあてて思い切り開かせます。まるで男に剃毛されたときのようなポーズです。
「こんな格好……」
 妻は悲鳴のような声を上げて足を閉じようとします。私はそうはさせじとばかりに、いきなり妻の秘苑に口を押し付けました。むっとするような妻の香り、甘ささえ感じさせる妻の果汁。急に泣きたくなるような悲しみが込み上げてきました。
 少なくとも今この時は、私の中に妻に対する怒りはありませんでした。妻のその部分をこの目に焼き付けておきたい、この舌で味わっておきたい。狂おしくなるような思いが私を駆り立てました。
「ああっ、あなたっ」
 クリトリスを強く吸い上げられた妻が私の名を呼びます。まるで私をまだ愛しているかのように。
 私は妻を後ろ向きにさせ、ソファに頭を埋めるような姿勢を取らせました。後背位から妻を犯そうと思ったのです。
 突き出された妻のお尻が圧倒的な迫力を感じさせます。妻は結合が深くなるためか「痛い」といって後背位を好みません。妻のお尻が好きな私はたまにはバックで攻めてみたいのですが、いつも逃げられてきました。
 しかし今日の妻はなにか覚悟を決めたように素直にお尻を突き出し、私が侵入するのを待っています。
 妻の女陰だけでなく、双臀の狭間に秘められた肛門までが堂々とさらけ出されています。私はまたビデオの一場面を思い出し、怒りが込み上げてきました。
残酷な気持ちに駆られた私は指先で妻の愛液をすくい取ると、あらわになった肛門をくすぐるようにします。
「いや……」
 思いがけない箇所を攻められた妻は、私の指先を避けるようにヒップを揺さぶります。これまでも私は妻とのセックスで悪戯心を起こして妻の肛門を攻めたことはありますが、常に拒絶されてきました。
(男の前ではおかしな玩具までくわえ込んだだろう)
 妻はしばらくの間消極的な拒否を示していましたが、やがて諦めたように尻の動きを止めます。私はゆっくりと指先を妻の肛門に沈めていきます。
「あーん」
 妻は甘えるような声を上げると私の指先をきゅーんと締め上げ、ゆるやかに尻をくねらせました。そんな淫らがましい妻の姿が腹立たしく、私は上半身で妻の身体を押さえ付けるようにすると、片手で肛門を攻めながら空いた方の手で乳房を揺さぶります。
「あっ、ああんっ……」
 妻はいよいよ情感が迫ってきたのか、甘いすすり泣きの声を上げ始めます。あの7月15日のビデオ以来、妻は男によってずっと肛門の性感を開発されてきたのでしょうか。私にはずっと隠してきた淫らなものをすっかり引き出されたように、妻は悶え泣いているのです。
「お尻の穴が感じるのか」
 妻は黙って首を振ります。それを見た私が指を一気に第二間接まで突っ込むと、妻は「ああっ」と悲鳴のような声を上げます。
「正直に言わないとここを犯すぞ」
「いや……」
「なら、ちゃんと答えるんだ」
「……感じます」
 妻は蚊の鳴くような声で答えます。
「もっと大きな声で、紀美子のお尻の穴が感じますと言ってみろ」
「ああ……ひどい」
「いわないと犯すぞ」
「あ……いいますわ……だからそれは許して」
 ついに屈服した妻は「紀美子のお尻の穴が感じます」とはっきりした声で私に告げます。
 妻はそんな言葉に自分の情感がかきたてられたのか、「ああ、熱い、熱いわ」とほんのりピンクに染まった裸身をくねらせます。
 私は男と同じように妻に「ケツの穴」という言葉を吐かせたかったのですが、それは思いとどまります。そうすると私が既にビデオを観たということが妻に分かってしまうかも知れませんし、そこまで妻を貶めたくないという気持ちもあったのかも知れません。
 私はすっかり硬直したものを妻の中に挿入しました。深々と貫かれた妻は「ああっ」と声を上げて背中を弓なりにそらします。まるで妻ではない別の女を犯しているような錯覚に陥った私は、乱暴にピストン運動を始めます。
「あっ、ああっ」
 妻のその部分は私をなだめるように優しく包み込み、私に反撃するようにリズミカルに締め付け、また私に甘えるように絡み付いてきます。
「いい、いいっ」
「気持ちいいのか」
「気持ちいいっ」
「どこが気持ちいいんだっ」
「ああっ、オマンコっ、オマンコが気持ちいいっ」
 いつもなら妻がこんな反応を示すようになると、征服感に満たされ有頂天になるところです。しかし今日の私は暗い怒りと深い悲しみで一杯でした。
 これでこの女を抱くことはできなくなるのか。プロの女でも感じることができなかったこの奥深い感触を味わうことはできなくなるのか。
「ああっ、あっ、イキそうっ。イっちゃいそうっ」
 妻が切羽詰まった声を上げ始めます。キューンと締め付けてくる妻に思わず引き込まれそうになった私はいったん抜こうとします。
「いやっ、抜かないでっ」
 妻はそうはさせじとばかり私の下腹部にヒップを押し付けてきます。
「しかし……」
「いいのっ、今日はいいのっ。一緒に、一緒に、紀美子の中にきてっ」
 哀願するような妻に応えて、私は改めて妻に深々と押し入ります。ついに快感の堰を突き破られた妻は全身を硬直させます。
「ああっ、早くっ」
 妻の声に引き込まれるように私も絶頂に達します。身体そのものが妻の中に引き込まれるような圧倒的な快感。妻が「イクっ」と声を張り上げるのに合わせて、私も「ああっ」と情けない声を上げていました。

 その後、私と妻は激しいセックスの後、一緒に風呂に入りました。
 恥ずかしがり屋の妻は明るい場所でのセックスだけでなく、私と風呂に入ることも嫌がります。ごくたまに妻と2人で温泉に行った時、家族風呂に入る程度です。
 妻は私の身体を丹念にスポンジで洗いました。背中を洗っている時にふざけたように乳房を押し付けて来たのが、一瞬ソープでの女の子の行為を思い出させました。妻が恥ずかしそうな笑みを浮かべながらペニスを手を使って洗っていた時、私の中で再び怒りと興奮の交じった感情が湧き上がって来ました。
 これも男に仕込まれた行為なのか。男と2人での温泉旅行で、同じように2人で風呂に入り男のペニスを洗っていたのか。いや、それは2人の情事の際の習慣になっていたのではないのか。

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