団鬼六作品挿絵の世界 『肉体の賭け』(4)

『肉体の賭け』の久美子は、『花と蛇』の京子の系譜を継ぐ鉄火キャラです。

『花と蛇』では、ヒロインである静子夫人の人気は不動と言ってよいですが、その次に人気があるのはなんといっても京子でしょう。

山崎探偵の助手で、空手有段者の京子は、江戸川乱歩の探偵小説に登場する明智小五郎の助手、小林芳雄少年と、妻の文子夫人をミックスしたようなキャラクターです。

そういえば、明智→山崎というのは連想ゲームのようで(山崎は明智光秀が羽柴秀吉に敗北した地)、鬼六さんも意識したのかもしれません。

『花と蛇』の京子は、作者の鬼六さんが予想した以上に人気が出たようです(鬼六さんは令嬢タイプの小夜子が受けるだろうと思っていたようです)。京子タイプはその後の『緋ぢりめん博徒』や『お柳情炎』といった「女侠もの」や、『無残花物語』や『鬼ゆり峠』といった仇討(返り討ち)もののヒロインへと進化を遂げ、その分現代ものにはあまり登場しなくなります。その中で現代ものにおける珍しい京子タイプのヒロインが『新妻地獄』の雅子と、この作品の久美子です。

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