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40.姉と姉(4)

 二人の美女の接吻が互いの舌を吸い、唾液をすすりあうような濃厚なものに移行した頃、再び奥座敷の扉が開き、春太郎と夏次郎が顔を見せる。
「あら、ちょうど良いところに来たようね」
春太郎は笑いながらそう言うと、二人のシスターボーイの後ろに隠れるように立っていた全裸の文夫を部屋の中にどんと押し入れる。
舞台の上で全裸の姉と京子が絡み合っている姿を目にした文夫は、言葉もなく立ちつくす。
「あんたたち、津村さんの部屋にいたんじゃなかったの」
銀子が春太郎に声をかける。
「おたくの悦子さんに呼ばれてね、文夫さんを連れて来たのよ」
「せっかく文夫さんにホモの悦びをたっぷり教え込もうと思っていたのに、残念だわ」
春太郎と夏次郎はなよなよと身体をくねらせながらそう答える。
「あら、悦子。いつの間に部屋を出ていたの」
春太郎と夏次郎の後ろに立っている悦子を見た朱美が眉をしかめる。
「俺が悦子に頼んだんだ。二人に文夫を連れてくるようにってな」
鬼源が助け舟を出すように口を挟むが、朱美は釈然としないように「全然気が付かなかったわ」と首をひねっている。
「お前たちは珠江夫人の調教に回ってくれねえか。川田と吉沢がサンドイッチにしようとしているらしいんだが、珠江がひどく痛がって円滑にいかないみてえなんだ」
「それで私たちに医学博士夫人のお尻の穴を拡張しろっていうのね。まったく、森田組は人使いが荒いわ」
「そう言うな。静子夫人を人工授精させちまったせいで、穴埋めが大変なんだ」
「静子夫人の穴埋めのために、珠江夫人の穴を埋めるってわけね」
夏次郎の軽口に春太郎はぷっと吹き出す。
「くだらねえことを言ってねえで、早く行け」
「わかったわよ、後で超過勤務手当の交渉をしなくっちゃ」
春太郎と夏次郎はそうぼやきながら部屋を出る。残された文夫に鬼源が冷酷そうな視線を向ける。
「お坊ちゃんには美津子と一緒に、小夜子と京子の調教を手伝ってもらうぜ」
そう言うと鬼源は煙草のヤニで黄色くなった歯をニッと剥き出す。その不気味な笑い顔に文夫は背筋が震えるような恐怖を覚えるのだった。

京子は妹の美津子に、小夜子は弟の文夫に、それぞれ官能をかき立てられている。最初は鬼源の指示で強制されていた行為であったが、美津子と文夫はそれぞれの姉が発する妖しい色気に酔わされたように、徐々に二人の美女に対する愛撫の手を強めていく。
それはまるで自らが陥った悲惨な運命に対する悲しみと憤怒をそれぞれの姉の身体にぶつけるようであった。
「ああっ、美、美っちゃん、そ、そんな――」
美津子は姉の逞しいばかりに張り出したヒップに手をかけ、ぐいと割り開くと菫色の小菊が恥ずかしそうに露出する。京子の微妙なその箇所はすでに春太郎と夏次郎による苛酷な調教により、男のものをくわえ込むまでになっている。美津子はまるでその部分に姉の堕落の象徴を目撃したようなやり切れない気分になり、いきなり激しい口吻を注ぎ込む。
「美っちゃん、そ、そこはつらいわ」
それまで極力乱れる姿をさらすまいとしていた京子だったが、実の妹の唇と舌先で肛門をねっとりと愛撫される感触は耐え切れるものではなく、思わずかん高い悲鳴を張り上げる。そんな京子の狼狽した様子がおかしいのか、観客になっているやくざやズベ公たちはいっせいに笑い声を上げる。
いつの間にか森田組映画班の責任者格となっている井上が、座敷の中央にカメラを据え付けて仮設舞台上の4人の痴態を撮影している。その隣では珠江の調教をいったん春太郎たちに預けた川田が腕組みをしてたち、時折井上と相談しながら監督気取りでチンピラたちに指図をしているのだ。
「う、ううっ――ふ、文夫さん。そんなこと――」
文夫が美津子の行為を真似るように、小夜子の形の良いヒップを割り開くとその愛らしい菊花に舌先での愛撫を注ぎ込む。小夜子は実の弟に文夫に菊花を嘗めさすられ、おぞましさとともに背徳的な官能の痺れを知覚し、熱っぽく喘ぎ出す。
小夜子のその部分は津村や竹田、堀川たちによってかなり開発されていたが、いまだ男のものを受け入れたことはない。津村によって菊花を貫かれたばかりの文夫は、自らが味わった倒錯の感覚を伝えるかのように、姉の肛門を粘っこく責め上げるのだ。
京子と小夜子はともに、血を分けた妹と弟によって肛門を開発される妖しいまでの快感に、あっ、あっと舌足らずな悲鳴を漏らし合っている。堅くすぼんだ菊蕾はすっかりほころび、粘っこい弾力を示すとともにはじらうような開花を見せている。美津子と文夫は舌先をすぼめると、それぞれの姉の肛腔に思い切って差し入れる。
「ヒイっ!」
「あ、ああっ!」
二人の美女はほぼ同時に切羽詰まったような悲鳴を張り上げ、美津子と文夫の舌先を避けようと、じっとり汗を滲ませた臀部をうねり回す。しかし美津子と文夫は何かに取り付かれたように目を血走らせながら、姉のその部分を味わい尽くすように嬲り抜いているのだ。
ついに京子と小夜子は美少女と美少年の責めにすっかり翻弄され、シクシクと女っぽくすすり泣きながら、美麗な裸身をなよなよと力なくうねらせるのみとなっている。その秘奥からはとめどなく甘い果汁が滴り、滑らかな太腿を伝い落ちている。
「売りものになりそうね」
妹と弟がそれぞれの美しい姉の肉体を同時に責め立てる倒錯的な趣向が、岩崎を迎えて開催される森田組の秘密ショーの見せ場の一つになりそうだと確信した銀子が、満足げな笑みを見せながら鬼源に話しかける。
「それにしても、京子と美津子にしても、小夜子と文夫にしても、こんなに早くこっちの思う壷に嵌まるなんて、予想以上だわ」
「静子夫人がいないせいだ」
鬼源がぽつりと呟く。
「えっ?」
「静子夫人が人工授精を受けたせいでショーに出れないだろう。他の女たちがそれを懸命にカバーしようとしているんだ」
「そうかしら……」
銀子は首をかしげる。
「少なくとも京子と小夜子はそう考えているはずだ。自分たちの出来が悪ければたちまち静子夫人がショーの舞台に引っ張り出され、種付けされた身体を笑いものにされるんじゃないか、ってな」
「そういえば……」
静子夫人に魅せられた人間――それは京子と小夜子だけではない。銀子は、京子と小夜子が特に静子夫人との同性ショーの演技では、それがプレイであることを忘れたかのように本気になっていたことを思い出す。
確かに鬼源の言う通り、京子と小夜子であれば静子夫人の不在をカバーしようと、調教に身を入れるに違いない。そしてその思いが美津子と文夫に伝わったとしてもおかしくはない。
「よし、それくらいでいいだろう」
鬼源に声をかけられた美津子と文夫が我に返ったような表情になる。そして、目の前にある京子と小夜子の生々しい姿に目をやると急に頬を赤らめ、顔を伏せるのだった。
「何をいまさら照れてやがるんだ」
鬼源は苦笑すると竹田と堀川に目配せする。二人のチンピラは薄ら笑いを浮かべながら頷き、京子と小夜子の尻を青竹で交互に打つ。
「うっ……」
京子と小夜子はそれを合図に、汗ばんだ裸身を正面に向ける。いよいよ二人の美女は身体を点検され、淫靡なショーを演じるのだ。十畳の部屋二つをぶち抜いた田代屋敷の奥座敷に充満する熱気は、二人の美女が発するムンムンするような色気が触媒となり、いっそう高まっていくのだ。

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