「紀美子に限ってそんなことは……」
自分が風俗に通っていながらそういう風に考えるのはどうかと思いますが、私は紀美子が自分以外の男と関係を持つなどということは考えたこともありませんでした。その頃私は妻が他の男に寝取られるシチュエーションを取り上げたあるサイトに出入りしており、そこの生々しい作品群に興奮させられていましたが、それはあくまで自分と妻の間には起こりえない物語ということで楽しんでいただけなのです。
妻はその地方ではお嬢さんが行くといわれている短大を卒業した後、大手の地方銀行で窓口業務をしていました。どちらかというとおっとりしたタイプの妻はお年寄りの客に受けがよく、成績もそれなりに良かったようです。その手の仕事には良くある話ですが「息子の嫁に」といわれた事も一度や二度ではないということでした。
私との見合いしたのが就職後3年目の春、その年の秋には私たちは結婚していました。
ウェディングドレスに身を包んだ妻は本当に美しく、見合いで結婚するということに私が感じていた少しばかりの鬱屈を吹き飛ばすほどでした。その後新婚旅行で先に述べたようなささやかなトラブルはありましたが、夫婦生活は円満そのものだと思っていました。
今回の出来事がきっかけで私は現在の妻の生活について振り返ってみました。
2人の息子を中高一貫の私立、しかも同じ学校に行かせていますので、教育費の負担は我が家にとって相当なものです。しかしながら幸い私の収入は人並み以上であり、妻も下の子が手がかからなくなってからは、以前勤めていた銀行の本店へパートに出ていますのでなんとか暮らしていけます。
現在のマンションでの生活も10年以上になり、妻の生活圏はマンションでの子育て仲間、パート先、学校での付き合いと意外に拡がっており、会社と自宅を往復するだけの私よりはむしろ交友関係は広いようです。
妻のことを美人だと、何度も惚気るようなことを書いて気が引けるのですが、普段の妻は化粧ッ気もほとんどなく、自分の服もあまり欲しがらず普段着のようなものばかり着ていますので、どちらかといえば地味な印象です。顔立ちはバレーボールの菅山かおる選手(年齢はだいぶ違いますが)の目元をはっきりさせたような感じです。
しかし身長もあり(165センチ)、きちんと化粧をしてそれなりの格好をして出かけると見栄えがします。40歳を過ぎた妻ですが、一緒に歩くのが誇らしくなるほどです。
そういうこともあって、私は妻にたびたび新しい服を買ってやろうかと提案していたのですが、妻は息子の教育費のことが気になるのか「もったいないから私はいい」と、首を縦に振りませんでした。
しかしここ半年ほどでしょうか、妻と外出するときに、私が見たこともない派手なブラウスやワンピースを着ていることが何度かありました。
「それ、いつ買ったの?」
「この間……バーゲンで安くなっていたからお小遣いで買っちゃった。ごめんなさい」
「いや……よく似合っているよ」
今まで私がこういった服を着て欲しいと思っていたものを妻が自分で購入し、着てくれていることを単純に喜んでいたのですが、ある時妻が、こどもが生まれてからは絶対にといってよいほどはかなかったミニスカート(といっても、膝が見える程度ですが)をはいてきたのにはさすがに驚きました。
妻の外見上の大きな変化は他にもありました。それは今までほとんどかまうことがなかった髪形です。
妻はずっとショートヘアで、ナチュラルなカールがかかっていました。美容院代も節約していたのか、ある程度延びたら短く切るというのを結婚以来ずっと繰り返してきたのですが、ある日会社から帰ると、妻の髪が急に明るい栗色になっており、一気に伸びていました。
「どうしたの、それ」
「なんのこと?」
妻は平然としています。
「髪の色、前からそんな風だっけ?」
「あら、ずっと前から染めているわよ。あなた、気がつかなかったみたいだけれど」
確かに妻の髪のことをそれほど気にしたことはなく、美容院に行った時も翌日まで気づかずに、妻に叱られたことがあったほどです。
しかし、さすがに今日の変化はいつものものとは違います。
「もっと黒かったよ」
「そういえば今日は、少し明るくしてもらったかな……」
そういいながら妻は私の視線を避けるように首を傾けました。
「美容院に言った割には、短くなってないみたいだけれど」
「今日はほとんど切っていないのよ。少し伸ばしてみたいの……ほら、私ももう年でしょう。ロングに出来るのもそろそろ限界かなと思って」
「ふーん」
伸びたように見えたのはストレートパーマをかけたせいでしょうか。随分印象が違って見えます。
繰り返しになりますが、私は妻にもっとお洒落に気を配って欲しいと思っていましたので、その時の妻の変化は単純に嬉しく思いました。新しい髪形は確かに妻に似合っており、一気に5歳ほどは若々しく見えるほどだったのです。
しかし今回、「妻が浮気しているのでは?」という仮説のもとで改めて考えて見ると、ここのところの妻の急激な外見の変化には、なんとなく不審を感じてしまいます。
ケジラミに付いては早めに処置したのが幸いしたのか、悪化することはありませんでした。それでも絶対大丈夫だろうという確信を得るまで念のため薬は長めに使いました。
その後ソープには一度だけ行きましたが、前回の「事件」のせいかあまり気分が乗らず、自然に足が遠のきました。
人肌が恋しくなった私が久しぶりに妻を誘ってみようと思ったのは、一昨年の秋頃です。それこそ「事件」が起こる2週間前以来ですから、約3ヶ月ぶりのセックスとなります。妻は少し躊躇っていましたが、やや強引にベッドに侵入し、抱きしめてキスをしているうちに息が荒くなってきました。
妻のパジャマの上衣を脱がすと、裸の上半身が露わになります。妻の乳房はやや小ぶりですが、反面年のわりに垂れていません。若い頃は大きな乳房に憧れていたのですが、妻くらいの年で裸が綺麗に見えるのはどちらかというと貧乳気味の身体でしょう。
久しぶりのセックスでもあるし、妻の容貌の変化に新鮮さを感じたからかもしれませんが、私もいつもよりは丁寧に愛撫します。妻の唇から耳の後ろ、うなじ、胸元と丁寧にキスをし、そして乳首を吸うと既に十分かたくなっています。滑らかな腹部、お臍と舌を這わせ、一度身体をひっくり返して背中を攻めます。妻の半裸身は時折ブルッ、ブルッと小刻みに震え、かなり感じているのが分かります。
私はいつもとは違う妻の敏感な反応にすっかり有頂天になり、浮気疑惑のことなど頭の中から消え去っていました。妻の身体を表返し、次に下半身を攻めようとパジャマのズボンを引き下ろした私は意外なものを見ました。
「……」
それはいつもの色気のない下着とはまったく違う、黒いお洒落なパンティでした。繊細なレースはいかにも高級そうでしたが私が驚いたのは前の部分がシースルーになり、妻の陰毛がすっかり透けて見えていたことです。寝室でもっとお洒落をして欲しいと何度もいったことはありますが、妻はいつも恥ずかしそうに笑って首を振るばかりでした。こんな下着を身に着けている妻を見るのは初めてです。
驚きは驚きですが、その時は興奮のほうが先に立ち、私は妻のパンティを一気に剥ぎ取りました。そこで私は更に驚くものを発見します。
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