てっきり自分たちを浣腸した不良少年たちに排泄の世話をさせられると思っていた京子と小夜子は――仮にそうであってもそれは身が灼けるような羞恥地獄だったが――それぞれの妹と弟にその汚辱の行為をすっかり目撃されるばかりでなく、後始末までされると知って激しく狼狽える。
「文夫さん、美津子さん。お姉様のお尻をしっかり見ながら、ぴったりと便器を当てるのよ。目を逸らすと畳を汚してしまうわよ」
桂子がさも楽しげにそう言うと、手にした青竹で文夫と美津子の裸の肩を軽く叩く。
「小夜子さんは静子の排泄の世話をしたことがあるんでしょう。立場が逆になったけれど、その時の静子のことを思い出せば気が楽になるんじゃないかしら」
「そ、そんな、許して……」
実の弟の目の前でとんでもない姿を晒さなければならない汚辱と羞恥、そして限界まで達した排泄欲求にに身体を震わせている小夜子に、桂子が語りかける。
「小夜子さんも静子のような恥知らずの女になればいいのよ」
その言葉を聞いた小夜子は思わず反発するような視線を桂子に向ける。
「け、桂子さん。なんて事を言うのっ。静子お姉様は恥知らずの女なんかじゃありませんっ」
日本舞踊の師であり、また田代屋敷に共に幽閉されてからはレズビアンの恋人でもある静子夫人を侮辱された小夜子は、思わず桂子にそう言い返すのだ。
「桂子さんこそ恥を知るといいわ。もともとは桂子さんの不行跡から始まったことじゃない。静子夫人、京子さんに美津子さん、それに私と文夫さんがこんな地獄屋敷に囚われることになったのも、桂子さんが原因なのよ」
「さ、小夜子さんっ。やめてっ」
興奮して桂子に反抗する小夜子を、京子が必死で宥めようとするがすでに遅く、桂子の財閥の娘らしいどことなくおっとりとした表情は恐ろしいまでに一変している。
「恥を知らなきゃいけないのはあの女よ。あの女が財産目当てにパパをたらしこんだせいでこんなことになったのよ」
桂子はそう言い放つと、青竹で小夜子の腹をピシリッと打つ。
「ううっ!」
柔らかい腹部を打たれる激痛と、もはや限界まで達している便意を刺激される苦痛に小夜子は呻く。
「静子が女奴隷の身分に落ちたのは、これまでのことの罰が当たったのよ。小夜子さんもそれだけのことを言うからには覚悟は出来ているんでしょうね。文夫さん、小夜子さんにもう一本、浣腸をお見舞いして上げて」
「え、ええっ」
驚く文夫に堀川から、100ccの溶液が充填された浣腸器が渡される。
「奴隷は連帯責任よ。美津子さんも京子さんに浣腸のお代わりを上げるのよ」
呆然としている美津子に五郎がやはり溶液を吸い上げた浣腸器を渡す。
「早くしなさいっ。もたもたしているとお尻の皮が裂けるまで鞭で打つわよっ!」
桂子は青竹を文夫と美津子の尻に続けざまに奮う。
「ああっ、や、やめてっ!」
自分が反抗したせいで文夫と美津子が苦しむ様子を見て、耐えられなくなった小夜子が叫ぶような声を上げる。
「わ、私が悪かったわ。で、ですからもう許して」
「悪かったと認めるなら罰を受けなさい。さあ、文夫さん、小夜子お姉さまに浣腸をしてあげるのよ」
そう言うと桂子は再び青竹で文夫と美津子の背中を打つ。
「浣腸するなら私だけにしてっ、京子さんは許してっ!」
自分が発作的に桂子に反撥したことで、京子にまで与えなくても良い苦しみを与えることになってしまった。小夜子はたまらず桂子に哀願する。
「言うことを聞かないと小夜子も京子も犬とからませるわよ。それでもいいのっ」
「や、やめてっ!」
京子もまた悲痛な声を上げる。
「小夜子さん、私はいいのよ。み、美っちゃん、桂子さんの言う通り、姉さんに浣腸して。お願い」
「姉さん……」
「遠慮はいらないわ。早く……」
美津子もまた哀しげに顔を歪めながら浣腸器を手に取り、嘴管を京子の菊蕾にそっと押し当てる。
「さ、小夜子さん……あなたも早く……」
京子が促すと小夜子もまた悲哀のこもった声で「ふ、文夫さん。お姉さんに浣腸して……」と弟に呼びかける。
「姉さんっ!」
文夫は自棄になったような声を上げると、ガラスの矛先で姉の微妙な箇所を貫く。その瞬間小夜子は白いうなじをはっきり見せながら「ああっ」と叫ぶ。
生温い溶液を弟の手で腸内に注ぎ込まれるおぞましくも妖しい感触に小夜子は白磁のような内股をぴんとひきつらせ、汗ばんだ弾力のある尻はブルッ、ブルッとリズミカルに震える。
同時に、美津子によって追加の浣腸を施される京子もまた「うっ、うっ」とうめき声を上げながら、逞しささえ感じさせる下半身を痙攣させる。
弟が、妹が、それぞれの美しい姉に変質的な責めを加える見事なまでの被虐絵図に、観客役のやくざやズベ公ばかりでなく、調教師の鬼源さえもが思わず見とれているのだった。
追加の浣腸を施され、もはや我慢の限界を超えた京子と小夜子は、美津子と文夫が構えるおまるに向かって排泄を開始する。まるで互いに競い合うかのように、身体の中のものを絞り尽くすようなその激しさにやくざたちは嘲弄の声を浴びせるのだ。
そして二人の美女は、その羞恥の行為の後産のように、ほぼ同時に放水を展開し、おまるを持つ美津子と文夫を慌てさせるのだった。
野卑な男女は京子と小夜子を散々からかったばかりでなく、二人の美女が流し出したものの色や臭いを比較し、さらなる侮辱を加えるのだった。
ショーのリハーサルは午前の部のトリである、京子と小夜子のレズビアンプレイに移る。素っ裸の京子と小夜子は縄を解かれ、改めて観客たちの前に引き立てられる。
京子と小夜子は葉桜団の義子やマリの手によって改めて化粧を施され、肌には乳液を塗られている。京子のエキゾチックな美貌と小夜子の彫りの深い美貌はやや強めのメイクによってはっとするような舞台映えを見せている。また京子の艶やかな黒髪と小夜子の美しくウェーブを描いた栗色の髪は入念に櫛をいれられ、それぞれの美しさを見事なまでに引き立てている。
また、乳液をたっぷりと塗られた京子の二十三歳の空手で鍛えられた引き締まった肉体と小夜子の二十二歳の均整の取れた美しい肉体は好対照を見せ、二人がレズビアンのコンビとして理想に近いペアであることを雄弁に示している。しかしながらともにその股間が陰りを失い、幼女のような趣を示しているところは、二人の大人っぽい美貌と成熟した肉体に対してユーモラスなまでにアンバランスである。
二人の前には毒々しいまでに赤い布団が引かれ、枕が二つわざとらしく並べられている。
「それじゃあ始めなさい」
気をつけをするような格好でやくざやズベ公たちの淫靡な視線を浴びていた京子と小夜子は桂子の声に一瞬表情を強ばらせるが、すぐに不自然な笑みを浮かべて観客に語りかける。
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