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110.母子惑乱(3)

 津村に注意された春太郎は「わかったわ。しばらくおとなしく見物にまわるわ」と肩をすくめる。
「待たせたね、小夜子。それじゃあ拡げるけど、いいかい?」
「い、いいわ。あなた」
「さっきも言った通り、堂々と振る舞うんだ。わかっているね」
「わ、わかっています」
津村の言葉に小夜子は頷く。
津村が小夜子の足元にしゃがみこみ、小夜子の腰部を背後から抱くようにすると、陰りを失った花唇に手をかけ、ぐっと押し開く。小夜子の生々しい臓物までが露になったので、美紀夫人は思わず猿轡の下で悲鳴を上げて顔を逸らす。
「目を逸らしちゃ駄目よ。娘の姿をよく見るのよ」
すかさず春太郎が夫人の乳首を捻り上げる。敏感な箇所を乱暴に捻られる苦痛に耐え兼ねた夫人は視線を小夜子に戻す。
「お母様――小夜子が折角、大人になったところをお見せしようとしているのに、か、顔を逸らすなんて失礼だわ」
小夜子は夫人にしっかりと視線を向けながら、津村から強制されたそんな言葉を口にする。
小夜子はこの屋敷に誘拐されてから間もなくの頃、静子夫人から奴隷の心得について諭されたことを思い出す。小夜子はその時、まるで人が変わったように淫らな行為を演じる静子夫人の姿に、それまで心の中にあった夫人の偶像がガラガラと崩れていくのを感じ、また自らを待つ恐ろしい運命に脅え、夫人に対して激しく反発したものだった。
しかしながら小夜子はその後、津村によって女の悦びを、静子夫人によってレズビアンの快楽を、そして鬼源たちによって被虐の妖しい性感を教え込まれ、急速に変貌していった。
そしていつしか小夜子は、いつまでも反抗心を捨てることができなかった弟の文夫に対して、従順な奴隷になって自分とともに実演ショーのスターへの道を歩んでいこうと説得するまでになったのである。
今、津村によって小夜子が強制されている行為は、まさにその時の再現であった。違っていることは説得する相手が弟ではなく実の母になっていること、そして、小夜子自身が当時とは比較にならないほど淫らな開花をとげたことである。
それにしても何という悲惨な運命だろう。実の姉と弟だけでなく、その母までも淫らな地獄へ落とされるーーいったい村瀬家の人間はそれに値するほどの罪を犯したのだろうか。それとも津村が抱く村瀬宝石店と社長である父への恨み、そして小夜子への執着はそれほど深いものであったのか。
なんとか母だけでも救うことはできないかと小夜子は考えるが、すぐにそれは無理なことだと思い返す。田代屋敷に巣くう悪鬼たちはこれまでずっと、哀れな女奴隷たちのそのようなはかない望みを逆手に取るようにして、彼女らをより深い絶望の中へと突き落としていったのだ。
母親の美紀までもが田代屋敷に捕らわれたと津村から聞かされた小夜子は、最初は悲憤のあまりこれまでにないほどの勢いで津村を責め立てたが、時が経つうちに怒りは悲しみに、悲しみは諦めへと変化していった。
小夜子や文夫をモデルにした卑猥な写真や、姉弟の淫らな睦み合いーーいまだ肉の交わりこそないものの、ディープキスにペッティング、指や口を使った愛の行為を記録した秘密映画は森田組や葉桜団の手によって闇のルートへ出回っているという。そして小夜子はまた誘拐されてまもなく、恥ずかしいヌード写真を恋人、友人、親類縁者から学校の同窓生、そして村瀬宝石店の社員・取引先に至るまで送られている。
小夜子はもはや自分も、そして弟の文夫も二度と陽の光が当たる場所を歩くことは出来ないと観念している。そんな哀しい諦念の中ので小夜子の心残りは、愛する父母に再び会うことが出来ないということだった。
特に母親の美紀にとって小夜子と文夫は唯一の生甲斐といっても過言ではない。自分と文夫を失うことによる母の嘆きを考えると、小夜子は胸が潰れるような思いになるのだ。
両親とも一生会うことは出来ないとまで思い詰めていた小夜子は、こうして美紀が森田組の手に落ちたことにより、結果的には母子三人の再会を果たすことが出来たではないかとさえ考えるのであった。
狡智に長けた田代屋敷の住人たちは、いったん捕らえた獲物を決して逃がすことはないだろう。誘拐された静子夫人を追って屋敷に女探偵の京子までもが捕らえられ、その後何度も脱走を試みては失敗していることからもそれは明らかである。
それなら母と子が再びともに暮らす場所は、この田代屋敷以外にはありえないのではないか――。
母親もまた自分や文夫と同じ運命を辿らされることとなったとなった今は、静子夫人が自分に対してそうしたように、母に女奴隷としての覚悟を持たせることが、自分に課せられた役割ではないかと小夜子は思うのだ。
しかし何という悲しい再会だろうか。母と娘、母と息子が誘拐者の手に落ち、素っ裸で対面させられる。そして娘と息子は母親の前で、自分たちがどれほど淫らな堕落を遂げたのかを告白させられようというのだ。
小夜子は津村によって開花された女の秘奥が、哀切味を帯びた母の視線を浴びることによってヒリヒリと疼くような感覚に陥る。
(ここまで来たらためらっていても仕方がないわ。三人がこの地獄で生きていくためには、ママにも悪鬼たちに負けず、淫らな責めを悦びに変える逞しさを身につけてもらわなければならない。それを私が身を持ってママに示してあげなければーー)
そう覚悟を決めた小夜子はわざと口元に媚態めいた笑みまで浮かべ、津村に甘えるような声を出す。
「ねえ、ねえ──義雄さん。この屋敷に来てから小夜子がどれほど成長したのかをママに見せてあげたいの」
「どういうことだい?」
「うん、わかるでしょう。全部言わせないで」
「小夜子の口から聞きたいな」
「義雄さんの意地悪」
小夜子は両手を頭の後ろで組んだまま、わざともじもじと身を捩らせる。
「小夜子のオマンコをもっと開いてーー奥の奥までママに見てもらいたいの」
実の娘が発した恐ろしいまでに淫らな言葉を聞いた美紀夫人は驚愕のあまりカッと目を見開く。
「よしよし、それほど言うなら小夜子の言うとおりにしてあげよう」
津村はニヤニヤと淫びな笑みを浮かべながら、小夜子の陰唇に当てた指をぐいと開く。
幾重にも畳まれた美麗な花襞が大きくくつろげられ、小夜子の膣口が美紀の目の前にはっきりと晒させる。生々しいまでに開花した小夜子の女の部分を目にした美紀夫人は思わず目を逸らす。
「め、目を逸らさないで、お母様。小夜子のオマンコをはっきり見てっ」
小夜子は叫ぶような声で母を叱咤する。
「可愛い娘があんなにお願いしているのよ。ちゃんと見てやりなさい」
春太郎が美紀の乳首を再び捻りあげる。美紀は痛みに耐えかねて前を向く。
「ねえ、お母様、小夜子のち、膣口まで見るのは初めてでしょう。い、いかが? 綺麗、それとも醜い?」
女の最奥の箇所を母親の前で晒しながら、口元に微妙な笑みまで浮かべて腰をくねらせる娘ーーこれはいったい現実のことだろうか。美紀夫人は両性具有の変質者に蛇のように絡みつかれながら、これが先ほどまでの淫らな夢の続きであって欲しいと願うのだ。
「ねえ、ねえ、ママ。小夜子のオマンコ、みなさんが名器だって誉めてくれるのよ。き、巾着といって入り口のところがきゅっと、とても良く締まるんですって」

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