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116.双花開く(3)

「無理をしちゃあ駄目よ、友子。刷毛を使って奥様の身体をゆっくりと溶かして差し上げるのよ」
「わかりました」
順子の指示に友子は素直に頷くと再び刷毛を取り、絹代の花蕾をさっと撫でさする。
「あっ……」
たちまちその部分に電流が走るような快感を知覚した絹代は、思わず陶酔めいた声を上げる。友子は続いてなかば開花を見せている絹代の陰唇をさっ、さっと撫でさすり、絹代は思わずこぼれそうになった吐息をぐっとこらえる。
「葉子さん、和枝さん、絹代奥様の身体を溶かすのを手伝ってくださらないかしら」
コップ酒を手にして絹代と珠江の調教の様子を興味深げに眺めていた葉子と和枝は、順子の呼びかけに喜々とした表情を見せて腰を上げる。
「どうすればいいのかしら」
「お二人で家元夫人の上半身を可愛がってあげて」
「わかったわ」
葉子と和枝は頷き、絹代に寄り添うようにしながらその形の良い乳房をゆっくりと揉み上げたり、チュッ、チュッと音を立ててうなじに口吻したりし始める。
「あ、ああっ……」
葉子と和枝は意外なまでに繊細な技巧を発揮し、羞恥と恐怖でこわばった絹代の身体をたちまちほぐしていく。
「なかなか巧いじゃない」
順子が感心したような声を上げると、葉子と和枝はニヤリと口元を歪める。
岩崎大五郎の妾である以前はキャバレーのホステスをしていたという葉子と、待ち合いの仲居をしていた和枝はともに水商売の生活を過ごすうちに、同性愛の手管も身につけたのか、女を愛撫する技巧にも長けていたのだ。
そんな二人の責めと呼吸を合わせるように、友子が刷毛の先端で丹念に絹代の花芯を摩り上げる。三人の女たちによる執拗な責めに絹代の呼吸は徐々に乱れ始め、美しい富士額にはうっすらと汗が浮かび上がる。
「だいぶ気分が出てきたみたいね。そろそろお尻への責めを再開するのよ」
「はい」
順子に指示に友子は頷き、絹代の菊花に装填させたままになっている小巻をゆっくりと動かし始める。するとその筒具をくわえ込んだ筋肉は先程とは見違えるような弾力性を示し、友子の操作する筒具の動きに合わせて生き物のように収縮し始めるのだ。
「そうそう、その調子よ。奥様。そうやってお尻の穴の動きをご自分で制御できるようになるのよ。それが良い花器になる第一歩なのよ」
順子は絹代の菊蕾の動きに視線を注ぎながらそんなことを口走る。そんな順子に葉子と和枝はからかいの声をかけようとするのだが、順子の怖いほど真剣な表情にふと口を噤むのだった。

十分に菊花をほぐされた絹代と珠江は、いよいよ大塚順子たちによって「人間花器」の調教を受けることになる。
絹代夫人と珠江夫人、二人の美しく気品のある人妻は、その高貴な容貌とはまったく不釣り合いな姿――開股吊りという淫らな姿勢で固定されている。
順子は臓物の内部までをさらけ出している絹代と珠江を見比べるようにすると満足げに笑う。
「珠江は奇麗に剃毛しているというのに、絹代の方が生やしたままというのはバランスが悪いわ。お稽古が一段落したら剃っちゃいましょう」
順子がそう言うと葉子と和江が声を揃えて笑う。
「確かに、花器が毛を生やしているなんて聞いたことがないわ」
葉子はそう言うと、自分が言った言葉がおかしかったのかゲラゲラと笑いこける。
「ついでだから、時造さんに頼んで美沙江と一緒に剃っちゃうっていうのはどうかしら」
和枝の言葉に絹代と珠江は同時にはっとした表情になる。
「それは良い考えだわ。時造さんも美沙江をお嫁にしたんだから、その母親に挨拶したいと思っているはずだわ」
順子が再び満足そうに笑う。
「ついでに母親の女のお道具にも挨拶したいと思っているんじゃない」
「さあ、どんな挨拶を受けるかは、絹代奥様にも聞いてみないとね」
女たちの残酷な会話を聞かされている絹代の顔色は紙のように白くなり、珠江は憤辱のあまり声を上げる。
「お、大塚さんっ、あ、あなたはそれでも人間なのっ! よ、よくもそんな恐ろしいことをっ」
「あら、久しぶりに珠江夫人の啖呵が出たわね」
順子はさもおかしそうにクスクスと笑う。
「それでも人間なのかどうかはあなたに聞いてみたいわ。珠江、あなた、そんな惨めな格好をしてまだ人間のつもりなの?」
順子はそう言うと珠江の股間をぐっと鷲掴みにする。
「あっ……」
たちまち珠江の身体に苦痛と快感のない混ざった妖しい感覚が込み上げる。
「柔らかくて弾力のある――上々の人間花器だわ」
「や、やめて……」
「あなたはもうくだらないことを考えるのはやめて、良い花器になることだけを目標にして生きていけばいいのよ。あなたのそんな姿が美沙江にも、絹代夫人にも救いになるのよ」
「そ、そんな……」
順子は珠江夫人の股間を掴んだまま指先を微妙に動かし、花蕾や肉襞、そして菊孔といった珠江夫人の急所を巧みに揉みほぐす。そんな順子の悪魔のような技巧によって珠江夫人の身体の奥に蘇った反抗心は粉々に打ち砕かれて行くのだ。
「くうっ……」
慌ただしく絶頂の小山に追い上げられた珠江は口惜しげに喉を鳴らす。そんな珠江夫人の敗残の姿を順子はさも楽しげに眺めている。
「時間がないわ。花器も調度良くほぐれて来たところだし、さっそく稽古を始めるわよ」
順子はそう言うと珠江夫人の太腿をパシッと叩く。そんな順子の恐ろしいまでの手管を、絹代夫人は茫然とした表情で眺めている。
珠江の菊花に棕櫚の葉が差し込まれる。それが順子の手によって深々と差し入れられた瞬間、珠江は「うっ……」と小さく呻き、眉をひそめるが、すぐに平静な表情に戻り、屈辱の行為にじっと耐えている。
「よく見ているのよ、家元夫人」
順子は次に薔薇を一輪取り上げると、珠江夫人の秘奥にすっと差し入れる。
その瞬間珠江の裸身は小さくぶるっと震えるが、すぐにぴたりと静止し、銜え込まされた薔薇の花をしっかりと保持する。
順子はその赤い薔薇の花を指先で弾く。花は大きく揺れながら一枚の花弁を散らす。花弁は珠江夫人の秘裂を覆うように舞い落ちる。
驚いたことに珠江夫人の秘肉はその間もぴったりと閉じ、薔薇の花茎を微動だにしないほどに支えているのだ。
「どう、これくらいのことが出来ないと人間花器とは言えないのよ。わかるわね? 奥様にお出来になるかしら?」
珠江夫人は絹代から顔を逸らすようにしながら究極の屈辱と羞恥に頬を赤く染め、小さくすすり泣いている。人間花器になるということの意味を改めて認識した絹代はその調教のあまりの酸鼻さに息を呑んでいる。

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