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140.懊悩の限界(2)

「別に反対じゃないさ。あたいたちも潤う話だからね。だけど、静子夫人も桂子も、もともとはうちらの獲物だったってことを言いたいのさ」
「朱美姐さんはあんまり男に興味がないからな」
義子はそう言うと笑う。
「うちなんか、あんなええ男を奴隷にすることが出来るていうことだけでゾクゾクしてくるけどな」
「そんなこともないさ。あたしだって男には興味はあるよ。それに、珠江に美沙江、久美子に美紀、それに絹代と女奴隷は増える一方なのに男奴隷は一人きりじゃあ、いくら文夫が若いっていったって、いずれ身がもたなくなるからね」
朱美はそう言うとコップを床に置き、文夫の方につかつかと歩み寄る。
「お坊ちゃんも随分頑張ったじゃないか。ジュースの瓶をチンチンで持ち上げられるようになるなんて、大したもんだよ」
朱美はそう言いながら文夫の睾丸をぐっと握り締める。
「うっ」と苦しげに呻く文夫を楽しげに見ながら、朱美は義子に声をかける。
「義子、糸を外しておやりよ」
「了解」
義子がおどけた声を出して立ち上がると、全裸のまま床柱に繋がれ、猿轡をかけられた上で両肢を大きく開いたポーズを取らされている文夫に近づき、その硬化した肉棒にくくりつけた糸を外そうとする。
「ピンク色の猿轡がなかなか似合うやないか、お坊ちゃん」
義子はクスクス笑いながら文夫の肉棒を指先で弾く。
「ちなみにお坊ちゃんの猿轡は、京子姉さんの使い古しの褌から作ったものだって知っているかい?」
そんな朱美の言葉を聞いた京子の顔がさっと赤くなる。
「お坊ちゃんがこの屋敷に誘拐されたばかりのころ、京子姉さんのパンティで猿轡をかまされたことがあるのを覚えているかい? ええ、懐かしい味だろう」
そう言って朱美は京子の表情をチラチラ見ながら文夫をからかう。
「おや、こりゃギンギンに堅くなっているからなかなか外れんわ」
義子はそう言って朱美とマリを笑わせる。
「三人のレズショーがそれだけ興奮ものだったって証拠じゃないの」
マリもさもおかしそうに笑いこけている。
「ねえ、お坊ちゃん、誰のお尻の振りっぷりが一番色っぽかった? 教えてよ」
「京子かしら、美津子かしら、それとも小夜子お姉さま?」
マリと義子に交互にからかわれ、文夫は頬を赤く染めて顔を逸らす。その様子からはまるで少女が恥じらうような倒錯的な色気が立ちのぼるのだ。
「しょうがないね。しばらくそのままにしときよ」
朱美はビール瓶とグラスを手にすると、三人の女たちに近づく。
「あんたたちも喉が渇いただろう。今日は特別にビールを奢ってやるよ」
朱美はグラスにビールを注ぐと、まず小夜子の口元に突き出す。嫌々と首を振る小夜子に朱美は「何を気取っているんだい。小夜子は結構いける口だってのはわかってるよ」と無理やりグラスを押し付ける。
「うっ、うっ……」
小夜子は口の中に一気に注ぎ込まれるビールを懸命に飲み干して行く。暑い部屋の中で汗まみれになってレズビアンショーの調教を受けていたため、小夜子の喉はカラカラに渇いている。拒む心に反して潤いを求める小夜子の身体は冷たいビールを心地よく感じている。
「なかなかいい飲みっぷりじゃないか。お代わりだよ」
朱美はさらに一杯グラスをビールで満たし、小夜子に飲ませる。
「も、もう十分ですわ」
「遠慮するんじゃないよ」
朱美に無理やりビールを飲まされている小夜子を愉快そうに眺めていた義子とマリが立ち上がり、それぞれビール瓶を抱えて京子と美津子に歩み寄る。
「京子姐さんはいちいちコップに注いでたんじゃあまだるっこしいやろ。豪快にラッパ飲みさせたげるわ」
義子は笑いながらそう言うとビール瓶の口を京子の口に押し付ける。
「い、嫌っ」
「遠慮するんやない」
義子は無理やり京子の口に、ビールを流し込む。
「うっ、うっ……」
京子もまた喉を鳴らしながら注ぎ込まれるビールを飲み干していく。腹部がゆっくりと膨張し、京子の小麦色の肌が徐々にピンク色を帯びて行く。
その隣りではマリが美津子に無理やりビールを飲ませている。飲み慣れないアルコールを飲まされている美津子の白い肌がたちまち赤く染まる。
「三人とも、なかなか色っぽい肌の色になってきてじゃないか」
朱美がたっぷりとビールを飲まされた三人の美しい奴隷達を見回し、そう言った時に廊下との間に襖がトン、トンと叩かれる。
「はーい」
マリが煙草を咥えたまま立ち上がって襖を少し明けると、廊下には素っ裸で後ろ手に縛られた美紀夫人と、その縄尻を手にした津村が立っている。
「あら、津村さんじゃないの。どうしたの」
「昨夜からずっとこの奥様と愛し合っていたんだが、さすがにちょっと疲れたんでね、調教の様子でも見せてもらいながら一服したいんだが、いいかい?」
「そりゃいいけどあたいたちこんな格好だし、なんだか恥ずかしいわ」
「恥ずかしいのは素っ裸で調教されている小夜子たちの方だろう。それにこの奥様は小夜子と文夫には昨日会っているけど、京子や美津子との対面はまだだろう? いい機会じゃないか」
津村はそう言って笑う。
「何やっているんだい、マリ」
津村と話しているマリに朱美が声をかける。
「津村さんが例の奥様を連れてきたのよ。調教の様子を見学したいんだって」
「いいじゃないか。入ってもらいなよ」
朱美がそう言うと、津村は素っ裸の美紀を引き立てながら座敷に入ってくる。
「お邪魔するよ」
「どうぞどうぞ、津村はん。あたいたちもちょうど一服していたとこや」
座敷に入って来た美紀夫人の姿を目にした小夜子と文夫は衝撃を受けて、同時に「あっ」と声を上げるが、二人よりももっと驚いたのは美津子である。
「お、お母さまっ!」
美津子は恋人の母親である美紀とはこれまで何度か会ったことがある。
両親のない美津子は美紀夫人のことをまるで母親のように慕っていた。美紀夫人もまた大手宝石店の社長夫人でありながら、生まれ育ちは決して裕福とはいえない美津子に対して偏見なく接するばかりでなく、その純真さをたいそう気に入っており、仮に文夫の将来の妻になったとしても何も問題のない娘だと認めていたのである。
そんな二人がまさかこの地獄屋敷で、互いに無残な姿で邂逅を果たすことになろうとは――美津子はあまりの衝撃に唇を震わせ、それ以上口をきくことも出来なくなっているのだ。
京子もまた青ざめた顔を美紀夫人に向けている。京子は夫人とは面識はないが、日頃妹の美津子から聞かされていた夫人の様子、そして夫人がこの座敷に姿を見せた時の他の三人の様子から、津村に肩を抱かれている素っ裸の女性が美紀夫人であることに気づいているのだ。

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