「ま、待って……」
京子はそう言うとゆっくりと腰を前後に動かし始める。それに連れて鉄のように硬化した文夫の肉棒に京子の柔らかい肉襞が、生き物のように粘っこく絡み付く。美津子や桂子のそれとは違う京子の奥深い味わいに、文夫は思わず「ううっ」と快楽の呻き声を漏らす。
姉の京子と恋人の文夫がついにそんな性愛の行為に浸り始めたのを見た美津子は、心も身体も凍りつきそうな衝撃を感じている。
そんな美津子をよそに京子と文夫は朱美に促されるまま、甘い睦言まで交わし合うのだ。
「ああ……文夫さん……京子、とっても素敵な気分よ。ふ、文夫さんは?」
「きょ、京子さん……」
京子の攻勢にたじろぎを見せている文夫に朱美が声をかける。
「文夫にとって京子は、自分の妻の姉。ようするに義理の姉だろう? 京子さんなんて言わずに、姉さんと呼ぶんだよ」
その方が客受けもするしね、と朱美が付け加えると義子とマリはどっと笑いこける。
「そうや、お坊ちゃん、思い切りお姉ちゃまに甘えさせてもらうんや」
義子にそうからかわれ文夫は一瞬口惜しげに唇を噛む。そんな文夫を宥めるように京子は再び文夫に接吻する。
「朱美さんたちの言う通りにして、ねえ、文夫さん。遠慮しないで姉さんを思い切り愛して」
そんな風に切なげに囁きかける京子に引き込まれたように、文夫は「ね、姉さんっ」と京子に呼びかけると、激しく腰を前後に動かせ始める。
京子と文夫の動きが同調を示し始めたその瞬間、二人の狂態を茫然と眺めていた小夜子の肩先がびくんと震える。文夫が京子に呼びかける声がまるで自分へのもののように聞こえたのである。
「小夜子」
肩を叩かれた小夜子は驚いて振り向く。いつの間にか背後に近寄っていた津村が、ニヤニヤしながら小夜子を見下ろしている。
「立つんだ、小夜子」
「な、何を……」
「文夫君たちの睦まじさに刺激されてね。僕たちも負けずに仲の良いところを見せつけてやろうじゃないか」
「な、何をおっしゃるのです」
小夜子は驚きのあまり大きく目を見開く。
「あなたはゆうべ母を……」
散々犯したではないか、という言葉はさすがに呑み込みながら小夜子は津村に抗議の目を向けるが、津村は平然とそんな小夜子の視線を受け止める。
「だからどうだというんだ」
津村はそう言うと口元に淫靡な笑みを浮かべる。
「僕が精力絶倫なのは小夜子も良く知っているだろう。それにお義母さんは八回気をやったかもしれないが、僕はお義母さんの中に二回しか出していないんだ。そんなのじゃ全然物足りないんだよ」
「そ、そんな……」
「夫の欲求に応えるのは妻の役割だろう。さあ、立つんだ」
小夜子は津村に無理やり引き起こされ、しっかりと抱きすくめられる。そんな小夜子の姿に美紀夫人はおろおろとした表情を向けるばかりである。
「や、やめてください……あなた、は、母の目の前で嬲るのは……」
「何を勝手なことを言っているんだ」
津村は冷たく言い放つと、小夜子の尻をパシンと叩く。
「お義母さんは昨夜、小夜子と文夫君の前で僕に抱かれたんだぞ。それに文夫君をだって今、お義母さんの前で堂々と京子と絡み合っているじゃないか。小夜子一人が我儘を言うんじゃない」
津村はそう言いながら小夜子のうなじや耳の後ろ、胸元などにチュッ、チュッと音を立てて接吻を注ぎ込み、形の良い乳房を片手でまさぐる。小夜子の性感帯をすっかり心得たような津村の愛撫に、美貌の令嬢はあっけなく溶け崩されて行くのだ。
「だ、駄目です……あなた、ちょ、調教の障りになりますわ」
「調教の障りは良かったな」
津村はズボンを下ろしながら、小夜子の抗議を鼻で笑う。
「どうなんだい、朱美。ここで小夜子を抱くと調教の支障になるかい?」
「全然ならないわ。むしろ大歓迎よ」
朱美はニヤニヤ笑いながら頷く。
「男役者が足らなくて、白黒ショーの稽古がどうしても不足気味なのよ。ジョーとブラウンも夕方にならないと到着しないし、津村さんが予行演習をやってくれるのは有り難いわ」
「聞いただろう、小夜子。調教の支障になるどころか、むしろ逆だそうだ」
津村はそう言うと片手で小夜子の裸身を抱き寄せ、空いた片手を小夜子の股間に伸ばし、敏感な花蕾を刺激し始める。
「あっ、ああっ! そ、そこは駄目ですっ」
それだけで身体が痺れるような快感を知覚した小夜子は、上半身を電流に触れたようにブルブル震わせる。
津村はそんな小夜子をしっかりと抱きすくめると、身体中に熱い接吻を注ぎ込む。まるで魂を抜かれたように、津村のされるがままになっている小夜子の姿を、美紀夫人は哀しげな表情で見つめている。
「何をぼんやりしているのよ、奥様」
そんな美紀夫人を見咎めるように、朱美が声をかける。
「娘と息子が大奮戦しているというのに、母親である奥様がボケッと突っ立っていて許されると思っているの? 奥様だって明後日のショーには久美子や絹代夫人と一緒に出演することになっているのよ」
「ええっ?」
美紀夫人は驚愕して顔を引きつらせる。
「そ、そんなこと、聞いておりませんわ」
「聞いていようがいまいが知ったこっちゃないわよ。奥様だって奴隷の一人でしょう。娘と息子だけを笑い者にして、自分だけが高みの見物なんて許されるとでも思っているの?」
朱美が冷酷な笑みを浮かべながらそう美紀夫人に言い放つ。
「もちろん時間もないし、奥様たちの調教に割く時間もないから白白や白黒ショーといった本格的なものは無理だけど、昼の部、夜の部に一度ずつ三人の新入り奴隷のお色気踊りを余興に加えることになったのよ」
「そ、そんな……」
あまりのことに美紀夫人は顔を引きつらせる。
「明後日は岩崎一家がわざわざやって来るというので、森田組と同じようなシノギをしている主だったやくざやポルノ業者たちが大勢この屋敷に集まるわ。そこで三人で昼の部は鈴縄躍りで誰が一番先に気をやるか競争、夜の部はお客様に手伝ってもらってお尻の穴に糸通し。それから通した糸の先に鈴をつけて、お客様の歌と手拍子に合わせて振り回すのよ」
朱美はそう言うとむっちりと実った美紀夫人の双臀を撫で回す。
「三人の新入り奴隷が鈴を鳴らしながら色っぽくお尻を振り回せば、集まったお客様はご機嫌になること疑いないわ。特に岩崎親分は静子夫人のような品の良い人妻が大好きだから、奥様のことだって気に入ると思うわ」
149.懊悩の限界(11)

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