兄の性器を自らの口唇で愛撫する――そんな汚辱の行為を強いられている久美子は、必死で舌先を動かしているうちに、いつしか自分が自分でなくなって来たかのような感覚に囚われていく。
(もう、自分のことを人間だと思っちゃ駄目。獣――そう、私はもう獣になったのよ)
久美子は頭の中でそう念じるように兄の肉塊に舌を這わせる。
「舌先で鈴口を軽くつつくように愛撫しなさい――今度は裏筋を丁寧に嘗めるのよ――一度口を離して、玉袋を口の中に含んで舌の上で転がしなさい。そうそう、その調子よ。なかなか巧いじゃない」
朱美に教えられるまま、人形になったような思いで山崎への奉仕を続けている久美子は、次第に兄のそれが口の中でムクムクと膨らんでいくのに不思議な安堵感を覚えている。
「何を我慢しているんだい。早く出さないと、金髪の別嬪さんと妹さんはずっと苦しみ続けることになるんだよ。そこんところがわかっているのかい、ええ、探偵さん」
銀子はそう言うと、歯を食いしばって快感と戦っている山崎の頬をいきなり殴りつける。
「駄目だよ、銀子姐さん。そんなことしてもかえって覚めちゃうよ」
「そう言うなら朱美、ちょっと手伝ってやりな」
銀子は朱美の耳元に何事か囁きかける。
「ええ? あれをやるのかい。なかなか臭いが取れなくて困るんだけど」
朱美は眉をしかめるが再度銀子に促され、「しょうがない、大サービスだよ」と肩を竦めながら言うと山崎の背後に回り、指先に潤滑クリームを塗り付ける。
「いくよ、探偵さん。覚悟しな」
「うっ、うおっ!」
朱美にいきなり肛門に人差し指を根元まで突っ込まれた山崎は、傷ついた獣のような声を上げる。
「どれどれ、前立腺はどこだい……おっ、ここだね」
朱美は指を深々とねじこみ、抉るようにしながら男の急所を探り当て、緩やかな愛撫を注ぎ始める。
「ううっ!」
たちまち山崎の肉棒は久美子の口中で驚くほどの膨張を見せる。一瞬口の中が一杯になった久美子は目を白黒させる。
「ビンゴってやつだね。朱美にそこを責められて三分ともった男はいないんだよ」
銀子はくすくす笑いながら山崎の猿轡を外す。しかし久美子に舌で愛撫され、朱美に前立腺を責め立てられている山崎はもはや毒づく気力もなく、ハア、ハアと荒い息を吐いているだけであった。
一方、400ccの浣腸を施されたあげく、アヌス栓によって排泄の自由も許されないダミヤは脂汗を浮かべながら、見事なまでの裸身を地獄の苦しみにのたうたせているのだった。
「ああ……おトイレへ……早く、早く、ああ……もう気が狂いそうっ!」
「まだだよ。探偵さんが射精するまで出させてやらないからね。させて欲しかったら山崎に頼むんだよ」
銀子にそう決めつけられたダミヤは、凄絶なまでの表情を山崎に向ける。
「ああっ、ム、ムッシュー山崎っ、お、お願いっ。早く射精してっ!」
切羽詰まってそんな言葉を口にしたダミヤに、男たちはどっと哄笑を浴びせかける。
「おうおう、色男。金髪の別嬪さんがあんなに頼んでるんだ。さっさと射精しなっ」
「妹の口の中に男らしくドバーと出すんだ。早くしなっ」
川田と吉沢がそんな風に囃し立てる。やくざたちの嘲笑と罵声を浴びせかけられている山崎は、目の前でうねり舞うダミヤの妖艶な姿態と、久美子のたどたどしいながらも必死の愛撫、そして朱美にまさぐられる前立腺から込み上げる鋭いまでの感覚に煽り立てられている。
「朱美にケツの穴をえぐられるのがそんなに気持ちがいいのかい、ええ、この変態野郎が」
川田は山崎の耳をぐいと引っ張りながらそう毒づく。山崎が眉をしかめ、顔を歪めるのを見た川田はさらに畳み掛けるように言う。
「いいことを教えてやろうか。てめえのイロの京子を女にしてやったのはこの俺だ。京子の奴、最初はいやがってたがそのうちヒイヒイ悲鳴を上げて、処女だったとは思えないほどよがり泣いていたぜ。ええ、どうだ、口惜しいか」
川田の言葉に山崎は愕然とした表情になる。
「あのじゃじゃ馬娘もすっかりおとなしくなって、森田組のために一生懸命働いてくれているぜ。妹の美津子とのレズのコンビも板について、今じゃ森田組のドル箱スターだ。これもお前が京子をスパイとして送り込んでくれたおかげだ。感謝しているんだぜ、ええ、探偵さんよ」
山崎は猿轡の下で抗議の声を上げようとした瞬間、朱美が山崎の肛門を責める指を二本に増やし、ぐいと抉る。
「ぐ、ぐうっ!」
「こんな風にケツの穴をいたぶられていると、反抗する気になんてならないだろう、ええ、どうだい、探偵さん」
朱美がくすくす笑いながら責め続ける。山崎の筋肉質の臀部がその度にヒクヒクと痙攣するのを、川田と吉沢はしきりにからかいの声を浴びせている。
「さあっ、喉の奥まで使って、お兄さんを追い込むのよっ。さもないと金髪のお仲間は気が狂っちゃうわよっ」
銀子はそう言うと怪鳥のような笑い声を上げながら、久美子の頭を掴み、無理やり前後に動かす。妹の唇、舌、口中から喉の奥までが性器に変貌したような激烈な愛撫に追い上げられ、山崎はついに二度目の自失を迎える。
(く、久美子っ、許してくれっ!)
胸の中で思わず妹に許しを乞いながら、山崎は緊張を解き放つ。久美子の口中に二度目のものとは思えないほど大量の精が一気に流れ込む。
「やったあっ!」
銀子が手を叩いて喚声をあげる。山崎の肛門がゴムのように収縮するのを指で感じながら朱美はここぞとばかりに責め立てる。すると山崎の肉棒は断続的に痙攣しながら、血を分けた妹の口の中に雄の果汁をドクドクと注ぎ込むのだった。
(兄さんっ!)
口中を満たす舌を刺すようなその液体を思わず吐き出そうとする久美子に、たちまち銀子の叱咤の声が飛ぶ。
「全部飲み込むんだよっ! 少しでも吐き出したらやり直させるからねっ!」
久美子は目を白黒させながら兄の精を喉を鳴らして嚥下していく。川田と吉沢は兄と妹のそんな凄絶なまでの表情を崩壊の様子に嘲笑を浴びせながら、ダミヤの両肢の間にバケツを置く。
「待たせたな、別嬪さん。約束どおりさせてやるぜ」
「ああっ……こんな……こんなところで……」
ダミヤは嫌々と首を振るがすでに便意は限界を超えており、排泄欲求に苛まれ続けていた身体は痺れ切っているためもはや抵抗する気力もない。
川田がアヌス栓から空気を抜き、ダミヤの菊花から取り出す。ダミヤのその部分はしばらくヒクヒクと生き物のように蠢いていたが、やがて大きく膨張すると激しい排泄を開始する。
「あっ、ああっ……い、嫌っ……」
ダミヤの子供のような泣き声が地下室内に響き渡り、鼻を射す臭気が立ち込める。田代や森田、川田や吉沢、そして銀子たちの哄笑を聞きながら、久美子は惚けたような表情で山崎の肉棒に舌を這わせ、汚濁を丁寧にぬぐい取って行くのだった。
162.敗北の兄妹(2)

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