168.敗北の兄妹(8)

「みっともなく騒ぐんやない。もう納得したことやろ」
義子は苛々した声を上げると、必死で肢を閉じて鈴縄の侵入を拒もうとしている絹代夫人の太腿をピシャリと叩く。
「お兄ちゃんの前で鈴縄踊りをさせられるなんて照れ臭いっていうの? そんな感情を持っていたら森田組のポルノスターは勤まらないわよ」
マリもまた懸命に両肢を悶えさせる久美子の尻を思い切り平手打ちすると、強引に鈴縄を股間に通し、きりきりと締め上げて行く。
一方、美紀夫人は、娘の小夜子が目の前で鈴縄踊りを演じるのを見せつけられたばかりでなく、自らも美津子によってその淫らな縄を取り付けられた経験があるためか、他の二人ほどの狼狽は示さず、観念したように朱美によって股間縛りに仕上げられている。
「久美子はここんところを剃っているから的を絞りやすいわ」
マリはようやく久美子の菊蕾に銀の鈴を沈め、続いて赤白段だらの縄を引き絞り、金の鈴を秘奥に埋め込みながら義子にニヤリと笑いかける。
「せっかくだから三人ともおぼこ娘みたいに剃り上げた方が見栄えがするんじゃない」
「そりゃそうやけど、絹代夫人は時造さんに剃ってもらうんやなかったっけ」
「そうか……でもそれならショーが始まる明後日までに剃ってもらったらどう」
「それなら美紀夫人はどうするんや」
「津村さんに剃ってもらったらどうかな?」
「なるほど、それもええかもしらんなあ」
マリと義子がそんなことを笑いながら言い合っていると、朱美が「せっかくだからショーの出し物にしたら良いじゃない。お客様に少しずつ剃ってもらってお土産にしてもらうんだよ」と口を挟む。
「さすがは朱美姐さん、ええ考えや」
義子は感心したように頷く。
「ぺちゃぺちゃくっちゃべってないで、早いとこ仕上げちまいな」
「口は動かしてるけど、手も動かしてるで。ほら、一丁上がりや」
義子はそう言うと最後の仕上げをするように思い切り絹代の股間を締め上げ、縄止めをする。
「ううっ……」
敏感な箇所に鈴縄が食い込むおぞましい感触に、絹代夫人は苦しげに呻く。ほぼ同時にマリが久美子の股間縛りを完成し、朱美もまた美紀夫人をキリキリと締め上げる。
「たっぷりと『せせらぎ』を塗ってやったせいか、後ろの方も案外すんなり入ったね」
マリがそう言って義子と顔を見合わせて笑い合う。
「縄はちゃんと急所に食い込んでいるかい? 二つの鈴は前後の穴にしっかりと押し込められているかどうか、確認するんだよ」
銀子がそう声をかけるが、絶望と汚辱、そして耐えられないほどの羞恥に苛まれている三人の美女は、シクシクと哀れっぽくすすり上げるばかりである。
「黙っていないで返事をしないかっ!」
朱美が床に落ちていた青竹を拾い上げると、三人の美女の尻を順番にひっぱたく。「ああっ!」という悲痛な叫び声が地下室に響く。
そんな妹の久美子と依頼人である絹代夫人、そして美紀夫人の三人が淫虐にいたぶられる光景を見せつけられている山崎は怒りと屈辱に顔を歪め、しっかりと噛まされた猿轡をギリギリ噛み締めている。
「どうしたの、名探偵、ずいぶん悔しそうな顔をしているじゃない」
銀子が山崎の側に近づき、肩に手をかける。山崎が憤怒に満ちた目を向けると銀子は「あらあら、怖い顔だこと」とケラケラ笑い出す。
「でも、オチンチンまで丸出しにしてそんな顔をしてみても、全然迫力はないわよ」
銀子はそう言うといきなり山崎の股間に手を伸ばし、ぐいと握り締める。
「うっ……」
あまりの屈辱に山崎は目をカッと見開き、唸るような声を上げる。
「あら、なんだか少し堅くなっているみたいよ。妹さんたちの裸を見て興奮したの?」
銀子はそう笑いながら言うと、山崎の肉棒をゆっくりと揉み上げ始める。
「朱美、私はこうやって探偵さんをしごいているから、三人に裸踊りを始めさせてよ」
「わかったわ」
銀子に声をかけられた朱美が頷くと、美紀の逞しいまでに張り出した尻をピシャリと平手打ちする。
「さあ、奥様はこの中で最年長で、しかも経験者なんだから他の二人をリードするつもりで思い切りエロチックに踊るのよ、いいわね」
朱美は美紀にそう言い放つと「本番では奥様たちの踊りの出来が悪いと、次に登場する小夜子や美沙江、それに美津子や文夫にとばっちりがいくのよ。わかっているわね」と意地悪く付け加える。
「わ、わかりました……」
美紀はそう頷くと、ゆっくりと腰を前後に揺らし始める。
「さ、さあ、絹代さんも、久美子さんも私の真似をして……お願い」
美紀に促された絹代と久美子はすすり上げながら頷くと、美紀に倣って身体を前後に動かし出す。
義子、マリ、そして朱美は三人の背後に回り、それぞれの乳房を粘っこく揉み始める。
「三人とも、山崎の方をじっと見るんだ」
銀子に命じられた三人の美女たちはしばらくためらっていたが、朱美たちが催促するように三人の尻を叩くと、やがて諦めたように山崎に目を向ける。
美紀、絹代、そして妹の久美子の哀切さと、そして微かな恨みの交じった視線を浴びた山崎は慌てたように顔を逸らす。そこを銀子が空いた片方の手で山崎の陰嚢をいきなり思い切り握り締める。
「ぐーっ!」
耐え難いほどの激痛が走り、山崎は猿轡の下で獣めいた呻き声を漏らす。三人の美女はいたましさに思わず顔を逸らすが、すかさず朱美の青竹打ちがそれぞれの形の良い尻に飛ぶ。
「言われたとおりにしないと、こいつのキンタマを握り潰すよ!」
銀子のその言葉を聞いた久美子はおろおろした顔を美紀と絹代に向ける。二人の美夫人は哀しげに頷くと、再び山崎に視線を向けながら、再びゆっくりと身体を前後に動かし始める。
山崎もまた焦点の合わない視線を前に向けている。視界にぼんやりと、ピンク色をした塊が三つ、ゆらゆらと揺らめいているのを山崎は夢を見るような表情で眺めているのだ。
「順に山崎に声をかけてやるんだよ。要領は朱美たちが教えてやんな」
「わかったよ、銀子姐さん」
朱美はニヤリと口元を歪めると、美紀夫人の耳元で「さ、奥さん、こんな風に言うんだよ」と囁く。
美紀夫人は激しい羞恥に顔を真っ赤に染め、左右に振る。
「何をいまさらためらっているんだい。昨日奥様は小夜子は文夫の前で『気持ち良いわ』とか『たまらないわ』とか言いながら踊りを踊ったじゃないか」
そう決めつけられた美紀は覚悟を決めたように山崎を見ながら口を開く。
「や、山崎さん……お願い、み、美紀のヌードを、ご、ご覧になって」
そんな言葉を口にした途端、美紀の純白の裸身はかっと桜色に染まる。その清楚さと妖艶さが同居した熟女の色気に、田代や森田も思わず目を奪われる。
「社長や親分が見取れてどうするのさ」
銀子は苦笑しながら山崎を促すように睾丸をギュッと握る。山崎は苦痛に顔を歪めながら美紀夫人の方を見る。

169.敗北の兄妹(9)

「もう四十過ぎの大年増の身体だけれど……まだまだ魅力的だとは思わない? と、殿方の目でご覧になって、どう思われるかしら。ねえ、おっしゃって……」
美紀は山崎の目をじっと見つめ、そんな言葉を吐きながら成熟した裸身をゆっくりとくねらせる。
「ねえ、ねえ、黙っていてはわからないわ。遠慮なく批評していただいて良いのよ。美紀のハ、ダ、カ……」
そんな風に卑猥な言葉を吐かせられながら、淫らな演技を強いられている美紀夫人は、次第に頭の中に靄がかかったような気分に陥っていく。美紀夫人の思いがけない妖艶な演技に、田代も森田もすっかり引き込まれているのだ。
「小夜子もいざとなれば開き直ったような大胆さを見せて驚かされることがあるが、あれは母親譲りだったということだな」
「まったくで」
田代が腕を組みながら感心したようにそんなことを言うと、森田もまた同意するように大きく頷く。
「お次は絹代夫人だよ」
銀子の声に義子が頷くと、朱美を真似るように絹代の耳元で何事か囁きかける。
「ああ……そんな……」
絹代夫人もまた恥じらいに身を縮めるようにする。美紀夫人とは一味違った、いかにも京都の名家出身らしい清楚なその仕草に田代と森田は思わず身を乗り出すようにする。
「しっかりやらないと、次に出演する美沙江にとばっちりがいくんやで。わかってるのか」
「わ、わかりました……」
義子の怒声に絹代は悲愴な表情でこくりと頷くと、山崎の方を見て口を開く。
「ね、ねえ、山崎さん。き、絹代の裸も見てくださらない?」
そう口にした絹代はあまりの羞恥に、美紀と同様白磁の裸身がぽおっと薄紅色にに染まる。桜が一気に開花したようなその鮮烈な色気に田代と森田は同時にごくりと唾を飲む。
「おっぱいも、お尻も……まだまだ魅力的でしょう? 絹代はこれまで、夫以外の殿方に身体を許したことがないのです。山崎さんは、絹代のしょ、生涯で二番目の男性になってみたいとは思わない?」
絹代はそう言いながらぎこちなく腰を前後させるが、すぐに「あっ!」と声を上げて身体の動きを止める。
「どうしたんや、そこでやめてしもたらどうにもならんやないか」
義子は苛々したように、夫人の尻をピシャピシャと叩く。
「だって、だって、す、鈴が、ああ……」
絹代夫人は美紀と違って、その淫らな縄をかけられるのは初めての経験である。女の最も羞かしい箇所を鈴縄でキリキリ締め上げられるだけで身も凍るほどの辛さなのに、身体を前後に動かすたびに秘奥と菊蕾に沈められた二つの鈴が、敏感な粘膜を淫らに苛む感触はいったいなんと表現したら良いだろう。
自分で自分を犯しているようなその妖しい感覚を追い払おうとするかのように、夫人は嫌々をするように力無く首を振るばかりであった。
「何を甘えたことを言うてるんや。自分で腰を振れば鈴があそことお尻の穴を自然に出たり入ったりするのが、その縄の値打ちやないか」
義子はそう言って笑いながら、「さあ、わかったらさっさとケツを振るんや」と言って絹代の尻を再びピシャリと平手打ちする。
「あ、ああッ……」
義子に急き立てられた絹代は仕方なく再び身体を揺らし始める。たちまち鈴がその効力を発揮し始めるが、絹代はそのおぞましい感触を娘の美沙江や、その美沙江を自らの身を盾にして守ろうとしていた珠江夫人を救うことが出来なかった自分自身に課す罰のように必死で受け止める。
(美沙江……お母様を許して)
(ああ……ごめんなさい……珠江さん)
すると二つの鈴に蹂躙されている隠微な箇所は、次第に不思議なまでに熱を帯びてくるのだ。絹代はそんな自らの反応に対する苛立ちをぶつけるかのように、まるで山崎を挑発するかのように言い含められた言葉を放つ。
「ねえ、ねえ……山崎さん……黙っていないでおっしゃって。絹代を抱きたいの? 抱きたくないの。ねえ、男ならはっきりおっしゃって」
そう問われても堅く猿轡を噛まされている山崎には答えようもない。しかしそんな絹代の哀切な姿を見ている山崎は卑劣な誘拐者に対する怒り、無力な自分自身を意識することによる屈辱感と言った感情とともになぜか不思議な熱が身体の芯をゆっくりと焦がして行くのを感じているのだ。
「残念ながら奥さんが人生で二番目に経験する男は岩崎時造さんと決まっているんだよ。山崎探偵は三番目にとっておきな」
銀子がそうからかうように言うと、男たちやズベ公はどっと笑い声を上げる。
さも辛そうに眉をひそめる絹代を楽しげに見ながら、銀子は山崎の肉棒を片手で支えるように持っていたが、「おや、名探偵。チンチンが元気になって来たみたいじゃないか。絹代夫人の裸踊りを見て興奮したのかい?」とからかう。
「探偵さんはどうも、美紀夫人よりは絹代夫人に魅力を感じたみたいだよ」
銀子がそう言うと再びどっと笑い声が上がる。美紀夫人の整った美貌にほんの一瞬ではあるが、険しい表情が浮かんだのを銀子は目ざとく見つけ、ニヤリとほくそ笑む。
「最後は久美子だ。マリ、いいね」
「合点承知」
マリはおどけて返事をすると久美子の耳元にひそひそと吹き込む。久美子は整った顔を悲痛に歪ませ、「そ、そんな……あんまりです」と哀願の声を上げる。
「柔道選手のお嬢さんが、今さら何を泣き言を言っているんだい。昨日はあんなに堂々と、お兄さんのザーメンをチュウチュウ音を立てながら旨そうに吸い上げたじゃないか」
マリがそう決めつけるが、久美子はただ「そんな、そんなこと……とても言えません」と首を振るばかりである。
「言えなきゃ言えないでこちらも覚悟があるよ」
銀子はそう言い放つとポケットから折り畳み式のナイフを取り出し、音を立てて開く。
「これでへっぽこ探偵のチンチンを切り落とすまでのことさ。久美子にスターとしての覚悟がないのならショーは不成立さ。そうなりゃこんな粗チンにはもう用はないからね」
銀子はそう言うとナイフの刃を山崎の肉棒の根元に当てる。恐怖のあまり美紀と絹代の腰の動きがぴたりと止まり、久美子の「ま、待って!」という絶叫が部屋の中に響き渡る。
「踊りを勝手に止めて良いなんて誰か言ったかい」
マリが怒声を上げて美紀夫人の尻をひっぱたくと、義子もまた「さぼっていないで続けるんや!」と絹代夫人の尻を平手打ちする。
「あ、ああ……」
「うーん……」
二人の美夫人は眼前で繰り広げられている光景から逃避するかのように薄く目を閉じ、淫らな踊りを再開する。
「ば、馬鹿な真似はやめなさいっ、やめるのよっ!」
それまで死んだようにぐったりと首を垂らしていたダミヤが、恐ろしい展開に目を覚ましたかのうように、ナイフを山崎の急所に当てている銀子に向かって叫び始める。
「おやおや、浣腸責めが堪えておとなしくしてるかと思っていたのに、これじゃあ調教の邪魔ね」
銀子が苦々しげな表情でダミヤを見ると、次に男たちの方を向き直り、「川田さん、静かにさせてやってよ」と言う。
「わかった」
頷いた川田は吉沢とともに前に出ると、革製の洋式の猿轡をダミヤに取り付けていく。

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