また、三組の男女の中央では赤銅色の肌に不動明王の入れ墨を彫った褌一丁の男が、片手に竹刀を持ってうろうろと歩き回り、時折罵声混じりの指示を飛ばしながら京子や小夜子、そして文夫や美津子の尻をひっぱたいているのだ。
山崎が初めて目にするその男――それはもちろんこの地獄屋敷の悪鬼たちの中でも静子や京子たち女奴隷が最も恐れる調教師、浅草の鬼源だった。
「あ、ああっ、ボ、ボブっ! 小夜子、もう駄目っ」
ボブと呼ばれた黒人男に抱きすくめられたまま腰を自棄気味に前後に動かしていた小夜子が息も絶え絶えな声でそう言った。
「さ、小夜子さんっ、ま、待って」
そんな小夜子の断末魔の声を聞いた京子が焦り気味にそう口走る。
「一人で言っちゃ駄目っ、お、置いていかないでっ」
「で、でもっ、京子さんっ、さ、小夜子、もう、が、我慢できないっ! ああっ、いっ、いきそうっ」
小夜子は動きを止めて歯を食い縛り、全身に力をいれて寸前に迫った崩壊を必死で堪えている。
「ジョ、ジョニーっ、お願いっ! もっと、もっと京子を激しく愛してっ!」
京子はそう言うと激しく腰を動かし、ジョニーと呼ばれた黒人の分厚い唇に自らの唇をぶつけていく。
「オーケー」
ジョニーはニヤリと笑うと腰をリズミカルに使い出す。汗にまみれたグラマラスな京子の裸身がジョニーの下半身で突き上げられる。ダンスを思わせる迫力満点の動きに、見守る森田組の男たちは目を見張る。
「アイラブユー、キョーコ」
ジョニーはそんな風に京子を突き上げながら余裕たっぷりの笑みを浮かべ、京子の唇を求める。
「ア、アイラブユー……ジョニー」
京子はそう呻くように言うとジョニーに求められるまま唇を吸わせる。黒人と熱い接吻を交わしながら獣のような情交に没頭している恋人の姿を、山崎は信じられないような思いで見つめている。
(京子さん……)
久美子もまた目の前で展開している色地獄ともいうべき光景をまるで悪夢のように感じていた。黒光りした肌の男たちに翻弄され、まさに崩壊寸前といった状況になっている京子と小夜子の姿はいったい現実のものなのか。
「ああっ、さ、小夜子さんっ、わ、私もっ!」
「きょ、京子さんっ、いって、いっていいのねっ」
「い、いいわっ、一緒に、一緒にいきましょうっ!」
京子と小夜子は切羽詰まった声でそう呼び合うと、ほぼ同時に互いの相手であるジョニーとボブの腕の中で電流に触れたように裸身を震わせる。
「さ、小夜子、いきますっ!」
「きょ、京子もいくっ!」
二人の美女がほぼ同時に快楽の絶頂を極めたのを確認したジョニーとボブは顔を見合わせてウィンクし合うと、ぐいと腰を突き出して緊張を解く。途端に二人の巨大な逸物がほぼ同時に激しく脈動し、大量の樹液を京子と小夜子の胎内に吐き出す。
「う、ううっ!」
「ああっ!」
気も遠くなるような快感の余韻に浸っていた京子と小夜子は、子宮を直撃するような熱い洗礼を浴びて、再び絶頂へと追い上げられる。緊縛された全身を激しく震わせながら黒人の逞しい裸身に押し付けている二人の美女──そこにはかつての山崎探偵事務所の美人助手や宝石店令嬢の姿は見られない。貪欲までに快楽を貪る二匹の雌獣がいるだけであった。
「ああ……あ、愛しているわ、ジョニー」
京子は被虐の快感の頂点でそう言うとうっとりとした顔でジョニーと接吻を交わす。
小夜子もまた「愛しているわ、ボブ」と言いながら花びらのような唇をボブの唇に押し付ける。京子と小夜子の秘奥がヒクヒクと痙攣し、吐き出された雄汁を吸い上げて行く様子が生々しい。
これが彼らの言うショーなのか。四匹の性獣の闘争とも言うべき凄まじい絡み合いを目にした久美子は茫然とした表情で言葉を失っている。そして自分もいずれ衆人環視の中で処女を散らされた後には、数日を置かずしてこのような色地獄に身を投じられるのだということを改めて認識し、あまりの恐ろしさにガタガタと裸身を震わせるのだった。
義子とマリがニヤニヤと笑みを浮かべながら、そんな落花無残と言った惨状を示している二人の美女に近づく。
「随分楽しそうじゃない、小夜子。恋人の内村のことはすっかり忘れたの?」
マリにそう尋ねられた小夜子は痴呆のような表情で宙を見つめている。
「もう、小夜子ったらすっかり色ボケになっちゃって。内村のことは忘れたのかと聞いているのよ」
マリは苛立たしげにそう言うと、小夜子の尻をピシャリと平手打ちする。小夜子は夢を見るような顔付きで首を振りながら「嫌っ、もうあんな人のことを思い出させないでっ」と言う。
「小夜子、今はすっかりボブに夢中なの。だってボブったらと、とっても逞しいんですもの」
小夜子はそう言うとボブの身体のあちこちにチュッ、チュッと音を立てて接吻を注ぎ込む。
「ああ……愛しているわ……ボブ……小夜子、あなたの赤ちゃんが欲しいわ」
うっとりした顔付きでそんなことを言う小夜子に、ボブは顔をクシャクシャにしながら笑っている。
「村瀬宝石店のご令嬢も随分色好みになったもんや。ほら、弟が呆れてこっちを見ているで」
義子にそう声をかけられた小夜子は、素っ裸で美津子と抱き合いながら、毒気を抜かれたような顔をこちらに向けている文夫の方を振り向き、とろんと潤んだ瞳を弟に向ける。。
「ふ、文夫さん……姉さんがボブと心から愛し合っているのがわかる?」
小夜子はそう言うとボブと繋がり合った部分を文夫に見せつけるように、形の良い尻をことさらに突き出すようにしながらゆっくりとうねり回す。小夜子の動きに気づいたボブはニヤリと笑い、小夜子の動きに合わせるように腰をリズミカルに振り出す。
一度発射したのにもかかわらず全くといって良いほど衰えを見せないボブの剛直が、小夜子の媚肉と絡み合う様子が生々しく文夫の目に映り、文夫は思わず顔を逸らす。
「目を逸らしちゃ駄目よ、文夫さん」
小夜子はわざと強い調子で弟にそう呼びかける。
「ぼ、ボブが姉さんの身体を使って、女の愛し方をせっかくあなたに教えて上げているのよ。よ、よく見ていなさいっ」
小夜子はそう言うとますます激しく腰をうねらせる。
「ああ……気持ち良い。た、たまらないわ」
小夜子は呻くようにそう言い、ボブに軽く接吻すると再び文夫の方を見る。
「ふ、文夫さん、こんな風におチンポを堅くして、お、男らしく美津子さんを突き上げるのよ。や、やってみなさい」
「姉さん……」
文夫は脅えたような顔を姉の方に向けていたが、義子に「何をぼおっとしているんや。さっさとお姉ちゃんに言われた通りにせんかいっ」と怒鳴りつけられて尻をピシャリと叩かれると、覚悟を決めたように唇を噛み、美津子をぐい、ぐいと突き上げ出す。
「ああっ、ふ、文夫さんっ」
文夫のその部分がいきなり勢いを増し、身体の中で暴れ始めたのを感じた美津子は驚きの声を上げる。
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