お春とお夏はお京の腰部に左右からまとわりつくような格好でしゃがみむと、お京の秘裂にそれぞれ片手づつかける。
「そーら、お京姐さんのご開帳だよ」
お春のかけ声とともに、お京の女の最も恥ずかしい箇所が全開になる。
「あっ、ああっ、な、何てことをっ」
お京の喉からつんざくような悲鳴が響き渡る。
美しい鉄火女のその部分はお春とお夏によって極端までに押し開かれ、幾重にも折り畳まれた鮭紅色の内襞までがはっきりと晒されている。
いや、それだけではない。その最奥の神秘的な秘穴やぽつんと針で突いたような尿道口、そしてその上端に恥ずかしげに顔を出している花蕾までがすっかり露わにされたのだ。
最前列の観客から「おおっ」というどよめきの声が湧き起こる。
もとより観客の大部分がポルノ写真やブルーフィルムを扱う怪しい業者ややくざたちであったが、日頃扱っているすれっからしのモデルでは絶対にと言って良いほど期待できない美麗な女肉がそこに展開されたことにいきり立ったのである。
特に、京子の真ん前に陣取っていた熊沢組の大沼と平田は、興奮のあまり京子のその部分にかじりつかんばかりに大きく身を乗り出している。
「い、嫌ッ。見ないでっ」
お京の羞恥の身悶えはそのまま、それを演じる京子自身の煩悶だった。特出しのストリッパーのような格好を強要される言語を絶する汚辱感――京子はその部分に観客たちの淫らな視線を受けながら、身を灼くような感覚に全身を悶えさせているのだ。
「駄々をこねていないで、早くしちまいなよ」
「ほらほら、観客の皆さんがお待ちかねだよ」
お春とお夏を演じる春太郎と夏次郎が、催促するように京子の尻を叩く。
「こんな……こんな格好じゃ出来ません……ああ……許して……」
「今さら何を言うんだいっ」
春太郎は苛々した口調で、泣きじゃくりながら首を振る京子の尻を思い切りひっぱたく。
「お稽古の時はちゃんと出来たじゃないか」
「京子がしっかりやらないと、あたしたちのお手当に響くんだよ」
春太郎と夏次郎は京子の耳を交互に引っ張りながらそう叱咤する。しかし、稽古の時とは違って、舞台の上で男たちの好奇の視線を一心に浴びている今は、緊張のあまり強ばった身体がどうにも言うことをきかないのだ。
「ああ、無理です……無理ですわ」
京子は切れ長の目に涙をためて、嫌々と首を振る。そんな京子の姿からはかつての空手を使う鉄火娘の面影はまったくと言っていいほど窺えない。
「おう、どうした。早いとこおっ始めねえかい」
「さっさとやらねえと、芝居が先に進まねえじゃねえか」
熊沢組の大沼と平田が、京子の悲壮な姿に見とれながらも野次を飛ばす。男たちの野卑なからかいや催促の言葉を浴びている京子は、いっそう彼らの視線を意識することになり、下腹部がすっかり強ばってしまっているのだ。
「へへっ、こっちのお嬢ちゃんはもう限界みてえだぜ」
美津子の前に陣取っている南原組の木村が、川田によって幼児のように抱き抱えられて、しなやかな下肢をブルブルと震わせている美少女の股間に顔を寄せ、ゲラゲラ笑い出す。その時美津子は「あっ、あっ、もう駄目です」と絶息するような声を上げたかと思うと、股間からいきなり銀色の水流を迸らせる。
「あっ、この野郎っ」
美津子の放水を顔面にまともに浴びた木村が思わず悲鳴のような声を上げたので、観客の間からどっと笑い声が湧き起こる。
「こらこら、お美津、ちゃんと盥の中に入れねえと駄目じゃねえか」
川田扮する駒造が笑いながら美津子にそう言うと、美津子は「ご、ごめんなさいっ」と詫びながら、放水の懸命に角度を調整して盥に向ける。ようやく水流が盥の底をたたき始めると、美津子は「ああ……」とため息をつき、身体の力を抜く。途端に豊水が勢いを増し、盥の底を音を立てて叩き出したので、観客たちは喜んで手を叩き出す。
「ほら、妹に先を越されちゃったじゃないの」
「姉妹仲良く声を掛け合って、景気よくシャーッと流すんだよって、あんなに教えたのに、何をしているんだい」
春太郎と夏次郎は苛々した声を出しながら、京子の柔肌のあちこちをつねり出す。
「あ、ああっ、み、美津ちゃんっ……」
京子は極限の羞恥の中、先に汚辱の渦に身を投げた美津子を何とか救おうとやっきになる。そのためには美津子から、観客たちの視線を少しでも逸らすしかない。そう心に決めて身体をぐっと弓なりに反らした京子の股間が、一条の水流が迸る。
「おっ、ついにやりやがったぜ」
京子がようやく崩壊の時を迎えたのを知った大沼と平田は、欲情に眼をギラギラさせながらぐっと身を乗り出す。
「い、嫌っ」
二人の男たちの顔が、自らの股間に極端なまでに近づいてきたことに気づいた京子は、動揺したのか身体を大きく捩らせる。
その動きに合わせて銀色の水流は鞭のように弧を描き、大沼と平田の顔をまともに直撃する。
「ひゃっ」
「こ、こいつ、男の顔にっ」
大沼と平田が情けない悲鳴を上げたので、観客たちはどっと哄笑する。
「ご、ごめんなさいっ」
京子はそう言うとぐっと腰に力を入れる。ようやく水流はその放射の角度を下げ、京子の股間に置かれた盥を叩き始める。
美しい姉妹が同時に舞台の上で放尿を演じる姿に、観客たちの興奮は最高潮になる。やがて長い放水はその勢いを弱め、京子と美津子の屈辱の時間はいったん終了する。
「小便一つに手間をかけさせやがって。ええ、どういうつもりだ」
川田演じる駒造はわざと荒々しい声を上げると、京子演じるお京の髪の毛をぐいぐいとかき回す。
「ご、ごめんなさいっ、許して」
半ば素に戻ったままの京子はシクシク泣きながら謝罪の言葉を吐く。
「小便を引っかけちまったお客様にも謝るんだ。いいな」
川田はそう言うと京子の耳元に何事か囁きかける。京子はすすり上げながらも素直に頷くと、観客席の大沼と平田に眼を向ける。
「お客様……お、おしっこをひっかけたりして申し訳ありません。どうか許してください」
京子にじっと見つめられながらそんな詫びの言葉をかけられた大沼と平田は、内心ゾクゾクしながらもわざと苦い表情を作り、
「男の顔にとんでもないものをひっかけておいて、そんな通り一遍の詫びじゃあ済ませるわけにはいかねえな」
「そうだ、本当に詫びるつもりがあるなら、誠意を見せるんだ」
「わ、わかっておりますわ」
二人の男のそんな言葉に京子は頷く。
「もちろん、形ばかりのお詫びではなく、お京の身体で詫びを入れさせていただきます。こ、今夜お京はお二人のお部屋に参りますので、どうぞこの身体を好きなようになさってください」
「何だって」
京子の思わぬ申し出に大沼と平田は目を丸くして顔を見合わせる。
219.奴隷のお披露目(19)

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