田代屋敷の二階の奥座敷に設置された舞台の中央で、鎖によってX字型に固定された山崎の裸身に、妹の久美子がその裸身をしっかりと重ねているのだ。久美子はその官能的に盛り上がった尻を悩ましげに揺さぶりながら、翳りを失った秘丘を山崎の硬化した肉棒の形を確かめるようにすり合わせている。
血を分けた兄妹が演じる背徳の交姦を、山崎の宿敵とも言える森田組のやくざや葉桜団の女たちが見守り、卑猥なからかいの声を浴びせているのだ。
「いいぞ、ご両人」
「もっとケツを振り合わないか」
やくざたちの揶揄の声に反撥するように、久美子はその成熟した裸身を激しくうねらせ、実の兄の逞しい裸身にぶつけるようにする。まるで自棄になったような妹の積極性に脅えたように山崎が思わず腰を引くと、すかさず朱美が山崎の背後に回り、青竹でその引き締まった尻を叩く。
「そのへっぴり腰は何よっ。妹があんなにやる気になっているのよ。男のあんたがおじけづいてどうするのよっ」
朱美はそう言い放つと、再び山崎の尻を思い切り叩く。
「お、お兄さん」
尻を打たれる痛みに顔をしかめる山崎を気遣う久美子の尻にもまた、銀子の青竹が炸裂し、久美子も「ううっ」と呻き声を上げる。
「久美子っ」
ビシッ、ビシッと肉を打つ痛快な音が座敷に鳴り響く。豊満な尻を打たれ続ける久美子は兄の逞しい裸の胸に顔を押し付けるようにしながら痛みに耐えている。
ひとしきり鞭を揮った銀子は、山崎の顎先を青竹で持ち上げるようにしながら、
「気を入れてやらないと、妹が痛い目にあうんだよ。分かったかい」
山崎は苦しげな表情をしていたが、やがて自らの腰部を久美子の腰部にぴったりと会わせるようにしながら、ゆっくりと前後させ始める。
久美子も兄のそんな動きに合わせ、再びその双臀を蠢かせ始める。兄と妹がともに淫らな踊りを演じ始めたので、座敷を埋めた観客は一斉に拍手する。
「お、お兄さん、ねえ、ねえ」
久美子は何かを訴えかけるように兄の首筋や耳元に口吻を注ぎ込む。そんな久美子の情熱的な行為に煽られた山崎は、「久美子っ」と叫ぶように妹の名を呼び、その唇を久美子の花びらのような唇にぶつける。
「う、うっ……」
山崎と久美子は熱っぽく口を吸い合いながら、互いの裸身をすり合わせる。久美子が伸びやかな肢を軽く拡げると、山崎は腰部を上下させ、妹の動きに合わせるようにする。
「お、お兄さん」
久美子は山崎の耳元で囁く。
「も、もっと上……」
久美子の声に山崎は頷くと、腰部を捩らせるようにしながらその肉棒を久美子の秘奥に擦りつけるようにする。山崎は肉棒の先端で久美子の肉の扉を押し開こうとするが、するりと滑って果たすことが出来ない。
「お、お兄さん……もっと、硬くして……」
久美子は切なげな声を上げながら兄の動きに懸命に合わせようとするが、山崎のそれは久美子の秘裂の上を空しく滑るばかりである。
「何だい、だらしないね。立派な身体をして女ひとりものに出来ないのかいっ」
朱美は怒声をあげると山崎の尻を青竹で力任せに叩く。
「久美子っ。お前の色気が足りないからお兄ちゃんのチンポが硬くならないんだよっ」
銀子もまた青竹を振り上げ、久美子の逞しいまでに張り出した双臀に振り下ろす。
「も、申し訳ありませんっ」
久美子は涙声で詫びを入れる。
「やっぱり、実の兄妹となると遠慮があるのかしらね」
観客席の町子が隣の岡田に話しかける。
「それもあるだろうが、なにせぶっつけ本番だからな」
「確かに、処女喪失ショーは予行演習するわけにはいかないからね」
岡田と町子はそんなことを言いながら頷きあっているが、周りのやくざ達は
「どうした、色男。だらいないぞ」
とか
「役立たずのチンポはさっさと切り落としてしまえ」
などと野次を飛ばし始める。
「まあまあ、お客様、お待ちくだい。こういうこともあろうかと思って、ちゃんと考えていますから」
朱美はそう言って客席の興奮を静める。
「まったく、手間をかけさせやがるよ」
銀子が憎々しげにそう吐き捨てると、舞台の脇に向かって「義子、マリ、連れておいで」と声をかける。
スポットライトに照らされながら登場したのは京子と美津子の姉妹であった。京子と美津子は皮製の首輪のみを身に着けた素っ裸で、犬のように四つん這いの姿で、首輪から伸びた鎖を手にした義子とマリによって引き立てられている。
二人の姿を目にした山崎と久美子の顔には明らかに動揺した表情が浮かび、兄妹は狼狽えたように顔を背ける。
「二人とも、前を向きな」
銀子と朱美は兄妹の肩を青竹の先で叩く。山崎と久美子は口惜しげに唇を噛みながらも、命じられるまま前を向き、その裸身を観客の目に改めて晒す。
「なんだい、全然硬くなってないじゃないか」
山崎の肉棒がだらりと下がっているのを見た銀子は、青竹の先で山崎の股間をピシッと叩く。
「妹の方だって潤みが足りないよ。こんな具合じゃお兄ちゃんを受け入れられないよ」
朱美もまた青竹の先で、久美子の無毛の股間をポン、ポンと叩く。久美子はあまりの汚辱に顔を朱に染める。
「さ、京子、お前の大事な山崎さんを元気にしてやるんだ。手と唇を使ってね」
銀子はそう言って四つん這いの京子の肩先を青竹でピシッと叩く。
「美津子は久美子を可愛がってやるんだよ。山崎のものを受け入れ可能になるまでね」
朱美もまたそう言って美津子の肩を青竹で叩く。京子と美津子の姉妹はすでに十分に因果を含まされているのか、素直に「ハイ」と頷くと、それぞれ山崎と久美子の前に跪く。
「山崎さん……」
京子はそっと山崎の肉棒に手を伸ばし、やわやわと揉み上げ始める。恋人の手によって、衆人環視の中、肉棒を弄ばれる山崎は苦しげに目を閉じる。
「クリームを塗ってやるんや。そうりゃ、ぐっと気分が出るで」
義子はニヤニヤ笑いながら瓶入りのクリームの蓋を開け、京子に差し出す。京子は頷くとその妖しげなクリームをたっぷり掌に取り、山崎の肉棒に塗り込むようにする。
「ほら、美津子も塗ってやんな。久美子の気分が乗るようにね」
マリもまたクリームを美津子に差し出す。美津子は無言で頷くと、クリームを指先に取ると、久美子の秘奥に塗り込んでいくのだ。
「あっ、あっ」
敏感な箇所に妖しいクリームを塗り込まれていく久美子は、苦しげに唇を噛みながらこみ上げる汚辱を堪えている。
「久美子さん、許して」
美津子はそんな詫びの言葉を口にしながらも、その繊細な指先は容赦なく久美子の敏感な箇所に食い込み、その官能を燃え立たせていく。
森田組の宿敵とも言える山崎とその妹の久美子を、山崎の恋人の京子とその妹の美津子の手で責めさせる――残酷なまでの淫靡な趣向に、町子は舌を巻く思いであった。
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