308 母と息子(3)

 殺風景な四畳半のその部屋には、小さな和箪笥以外の家具は何もない。天井の梁から鎖が垂らされ、そこに素っ裸の男女が入り口に背を向けて、高々と手を掲げた姿で縛られている。
 町子はすぐに、その全裸の男女が村瀬文夫と母親の美紀であることに気づく。和枝は文夫の姿を見るなり、「文夫ちゃん、会いたかったわ」と言って、裸の文夫の背ににしがみつく。
 和枝にいきなり抱きすくめられた文夫は「あっ」と小さな悲鳴を上げ、反射的に和枝を振り払おうとするが、和枝は馬鹿力を発揮して文夫から離れない。
「ちょ、ちょっと、奥様。まだ早いですよ」
 春太郎と夏次郎がが驚いて、和枝の両肩を抱くようにしながら文夫から引き離す。
「愛しの文夫さんに会えて興奮するのは分かるけど、ちょっとは落ち着きなさいよ」
 葉子が呆れた表情で和枝に告げるが、和枝は「だって」と不満そうに口を尖らせているのだ。
 部屋の隅で所在なげに煙草を吹かしていた、まだ少年と言っていい坊主頭の二人の若い男が、和枝の奇行を目を丸くして眺めている。
「あんたたち、ご苦労様」
 春太郎が声をかけると、男の一人が「言われたとおりに仕上げましたが、これでいいですか」と尋ねる。
 春太郎は裸の男女の手首を固定した鎖の状態を確認すると、「上出来よ」と言って満足そうに頷く。
「それじゃ、俺たちはこれで」
「なんだ、調教の様子を見ていかないの、堀川ちゃん」
 夏次郎がしなをつくりながら声をかけると、堀川と呼ばれた少年は一瞬ぎょっとした顔つきになるが、
「津村さんの所にも呼ばれていて、忙しいんですよ」
「津村さんって言うと、小夜子さんね」
 春太郎がそう言うと、裸の男女は同時にびくりと肩を震わせる。
「小夜子だけじゃなくて美津子もです。岩崎親分がらみのお客さんを接待するってんで、二人にレズショーをやらせるらしいですよ」
「南原親分たちの部屋では京子と桂子の実演ショーで、こっちは吉沢と井上の兄貴が出張ってます」
 二人の少年はそう言うと、ぺこりと頭を下げて部屋を出ていく。
「みんな大忙しって訳ね。奥様も早く一人前になって手助けしないと、娘さんたちの身が持たないわよ」
 春太郎はそう言うと、美紀夫人の豊満なヒップをパシッと平手打ちするのだった。
「あの子たちにはああ言ったけど、この部屋の狭さじゃこの人数でも一杯ね。奥様方、窮屈な思いをさせてすみませんね」
 夏次郎がそう言うと和枝は「ぜんぜんかまわないわよ。さっきのショーとは違って、こんなに近くで文夫さんが見られるんだもの」
「かぶりつきって訳ね」
 葉子がクスクス笑うと、和枝も「本当、かぶりつきたいくらい可愛いわ」と言って文夫の股間をのぞき込むようにする。
「それじゃ早速始めましょう」
 春太郎は和箪笥から白い瓶を取り出すと蓋を開けて中のクリームを掬い取り、和枝に手渡す。
「奥様、これを文夫さんのお尻の穴に塗り込んでやってくださいな」
「私が?」
「ええ、お願いします」
 もじもじする和枝の背中を葉子がどんと叩く。
「何を照れているのよ。さっきは文夫の身体にしがみついた癖に。今更恥ずかしがるような柄じゃないでしょう」
「もう、うるさいわね」
 和枝は顔をしかめるが、すぐに満更でもなさそうな表情になり、クリームを指先でとる。
「こっちもいくわよ。お夏」
 春太郎が夏次郎に声をかけると夏次郎は無言で頷き、美紀夫人の双臀の肉に手をかけ、白桃を断つように割り開く。
「うっ……」
 美紀夫人の双臀の奥に秘められた可憐な菊花が露わになる。夫人は激しい羞恥と屈辱に思わず呻き声を上げる。
「お二人は夏次郎がやっているみたいに、文夫さんのお尻を開かせてやってもらえますか」
「分かったわ」
 葉子と町子は立ち上がると、文夫の左右に立ち、両側から文夫の知り肉に手をかけると、ぐっと割り開く。
「あっ」
 隠微な箇所が露わにされた羞恥と、同時に名状の出来ない倒錯の快感に襲われた文夫は小さく悲鳴を上げる。
 逃げも隠れも出来ぬといった風情で、ともにはっきりとその姿を晒している美紀夫人と文夫の菊花を、春太郎はしげしげと見比べる。
「どう、奥様。息子さんと一緒にお尻の穴を晒したお気持ちは」
 春太郎はそう言うと、美紀夫人の尻を掌で軽くぴしゃぴしゃと叩く。
「母と子が後ろの穴比べ──いい年をしてこんな恥ずかしい目にあわされるなるなんて、思ってもいなかったでしょう。ねえ、どうなの。感想を聞かせていただきたいわ」
「お、おっしゃるとおり……二人の子供を目の前でなぶりものにされた上、こんな辱めを受けるなど、耐えられません」
 美紀夫人はそう言うとわっと声を上げて泣き始める。
「い、いっそこの命を絶ってください。お、お願いします」
「あら、何を弱気なことを言っているの、死にたいなんて言っちゃだめよ。奥様」
 春太郎は再び美紀夫人の豊満な尻をぴしゃぴしゃと叩く。
「言っておくけど、奥様が絶望のあまり自殺したとしても、小夜子さんや文夫さんにとっていいことは何もないわよ。いえ、かえって状況は悪くなるわ」
 春太郎はそう言うと、手にしたクリームを夫人の菊花にべっとり塗りつけ、その隠微な箇所を揉み上げ始める。
「あっ、あっ」
 その微妙な箇所を揉みほぐされるおぞましい感覚に、夫人は傷ついた獣のような呻き声を上げる。
「奥様が出来ることはただ一つ、早く一人前のスターになって、娘さんや息子さんの負担を少しでも減らすことよ」
「そうそう」
 夏次郎が同調するように頷く。
「特に今日みたいな大がかりなショーの後は、お客様の接待でみんなてんてこ舞いなのよ。その上、一番のベテランの静子夫人が腹ボテで、ショーの出演は当分無理でしょう。だから奥様や、お友達の絹代奥様に頑張ってもらう必要があるのよ」
「さ、分かったら素直にお尻の穴を開きましょうね」
 春太郎はそう言ってクスクス笑うと、夫人の菊蕾を揉み続けるのだ。
「奥様、要領はおわかりになったでしょう。文夫さんの方、お願いしますわ」
「分かったわ」
 春太郎に促された和枝は、指先にとったクリームを文夫の菊蕾に塗りつける。
「うっ……」
 ひんやりとしたクリームがその隠微な箇所に塗り込められるおぞましい感触に、文夫は思わずうめき声を上げる。和枝はそんな文夫の反応に煽られるように、白い瓶から再びクリームをとり、奥の方まで執拗に塗り込めていくのだ。
「そちらの奥様、文夫さんの股ぐらのものを揉み揉みしてあげてくださらない」
「私?」
 声をかけられた葉子が春太郎に顔を向ける。
「そう、奥様よ。お願いしますわ」
 葉子はぶらりと垂れ下がった文夫の肉棒を軽く握ると、やわやわと揉み立てる。
「これでいいのかしら」

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