「ふ、文夫さん。姉さんの方を見て」
春太郎が小夜子の方を見る。驚いたことに小夜子は大きく股を開き、片手で自らの秘所をぐっと割り開いて浮かした腰を、文夫の方に突き出しているのだ。
「姉さんを見て、お、男らしくするのよ。そうして、お、お母さんを可愛がって上げて」
小夜子は羞恥に真っ赤に頬を染め、そんなことを口走る。津村がそんな小夜子を傍らから支えるようにして、ニヤニヤ笑いながら小夜子の口元に何事か囁きかけている。
小夜子は悲痛な表情で頷くと、女の箇所を指先で撫でさすり始める。小夜子が自慰行為を開始したことに気づいた美紀夫人と文夫は、恐ろしいものを見たかのように同時に顔を逸らす。
「目を逸らしちゃ駄目、文夫さん。姉さんの恥ずかしい姿を見て……元気を出して」
おそらく、言う通りにしないと母親と弟をさらに辛い目に遭わせるとでも津村から脅されたのであろう。小夜子はひきつった表情で自らの身体を慰め始めるのだ。
「お母様も見て……さ、三人で気持ちよくなりましょう……ね、ねえ」
小夜子は母親にまで呼びかけながらそんな言葉を吐く。
「や、やめてっ。小夜子っ。そんな馬鹿な真似はっ」
耐えかねて叫び声を上げた美紀夫人の尻を春太郎は思い切り叩く。ピシャリという爽快な音が鳴り響く。
「奥様が愚図愚図しているから娘まで恥をかくことになるのよ。さあ、とっとと始めなさいっ」
美紀夫人は憤辱に頬を染め、歯を食いしばるような表情をしていたが、やがて覚悟を決めたように腰を前後に揺らせ始める。
「あら、ようやくやる気を出してきたみたいじゃない」
「何しているのよ。文夫さん。お母様に合わせてお尻を振りなさいっ」
酔った女たちがはやし立てる。春太郎もまた文夫の尻をピシャピシャ叩きながら「女二人に恥をかかせて、すましていちゃ駄目じゃない。お姉さまに言われたとおり、男らしいところを見せなさい」とせき立てる。
「あっ、あっ、文夫さんっ」
美紀夫人の喘ぎ声が響きわたる。文夫がようやく腰を前後に振り始めたので、女たちの嬌声がいっそう高くなる。
「ほらほら、二人とも頑張って」
「お尻の振りが足りないわよ」
はやし立てる女たちを制するように、小夜子は絶え入るような声で、
「文夫さん、そ、そんな風に闇雲に突いては駄目。さ、三回浅く突いて、一回深く突く。お、お姉さんの言うとおりにやってご覧なさい」
「前後にお尻を振るだけじゃ駄目よ。の、のの字を書くようにするのよ。そ、そう、それでいいのよ」
弟が母を攻めるのを、姉が指導する──親と子が互いの肉を貪り合う倒錯的な光景に、町子は痺れるような嗜虐の快感を知覚している。
(すごいわ……雪路や雅子にも、こんなことをさせてみたいわ)
月影荘に帰ったら、ぜひ姉妹レズのプレイを取り入れるよう、直江や三郎に話さなくてはと、町子は思うのだった。
それにしても森田組のスターの充実ぶりはどうだろうと町子は心の底から羨望を感じる。雪路と雅子という美貌の姉妹を手に入れたときは、この業界で敵はないのではないかとまで思った町子だったが、上には上がいるものである。
女たちの質と数もたいしたものだが、町子が羨ましく思うのは文夫という男奴隷の存在である。一八歳という若さと端正な顔立ちの美少年が存在することで、ショーの出し物の幅が広がるだけでなく、女奴隷の間に微妙な感情が生まれ、マンネリ化を防ぐことになるのだ。
「見て見て、文夫ったら、腰使いが変わってきたわ」
「お姉さんの指導の成果ね。それとも、もともと素質があるのかしら」
小夜子に指導された文夫が腰を微妙に振りながら、美紀夫人を時に浅く、時に深く突き始めたのを見た和枝と葉子がクスクス笑い合う。
文夫の肉塊は母親の秘肉に包み込まれてさらに膨張を示し、夫人の快楽の壷を確実に刺激し始めるのだ。
夫との行為では決して味わうことが出来なかった奥深い快楽を、息子によって教え込まれる──そんな倒錯の極致に美紀夫人は激しく惑乱していくのだ。
「あっ、あっ、ふ、文夫さん、そ、そんなにされたら……」
母さん、おかしくなっちゃうっ、と美紀夫人が口走ったので、女たちは声を上げて笑う。
「遠慮しないで、おかしくなってもいいのよ」
「そのまま息子に突かれて、派手に気をやりなさい」
女たちがはやし立てる中、美紀夫人は朦朧とする意識の中でぐっと歯を食いしばり、波のように高まる快感に耐えているのだ。
母と息子が互いの肉を合い食む汚辱の行為といえど、数分のうちには若い文夫の欲望は容易に暴発するだろう。それまで耐えていれば良いと思い定めた美紀夫人だったが、文夫のそれは夫人が予想しなかったほどの持続力を発揮しているのだ。
そして最初のうちは稚拙で単調だったその行為もまた、小夜子に叱咤されてからは人が変わったような技巧を発揮し、夫人を快楽の高みへと確実に追い上げていくのだった。
(だ、駄目……息子に恥をかかされるなんて……)
なんとしてもここは耐えなければとキリキリ歯を噛み鳴らしている美紀夫人の耳元に、春太郎が囁きかける。
「お嬢さんの方を見るのよ。奥様」
春太郎に促された美紀夫人は小夜子に目を向ける。
「ああ……文夫さん……そう、そうよ、もっと突くのよ」
素っ裸でM字開脚というあられもない姿で一心に自慰行為に浸っている小夜子。その傍らには津村がぴったりと寄り添いながら、まるで芝居の黒子のように小夜子に何事かささやき続けているのだ。
「お嬢さんも奥様たちに合わせようと、オナニーの真っ最中よ。この際だから家族三人そろって恥をかきなさい。そうすれば今夜はこれで解放して、親子三人水入らずで過ごさせてあげるわ」
「えっ……」
美紀夫人は戸惑うように視線をさまよわせる。
「で、でも……どうやって」
「簡単よ。奥様は息子さんに声をかけて、二人で呼吸を合わせるようにして気をやりなさい。お嬢さんはこの道ではベテランだから、自分で調整して奥様に合わせることが出来るわ」
さ、早くと春太郎は夫人の尻をパシッと叩く。
息子とともに、いや、娘と三人で極限の羞恥の姿を晒し合う──そんなことをした瞬間、自分はもはや人間とは言えない、獣同然の存在に落ちてしまうのではないかと夫人は恐怖する。
その一方で夫人の心の中に、もはやそこにしか自分の安らぎはないのではないかという諦念がこみ上げる。人としての生を孤独と悲しみのうちに送るよりは、愛する息子や娘とともに獣の安息へと墜ちた方がましなのではないかと夫人は思い始めたのだ。
「わ、分かりました。おっしゃるとおりにいたします」
夫人はそう言って頷くと、文夫の唇にチュッ、チュッと音を立てて接吻を施しながら、その肉棒をくわえ込んだ豊かな腰部をもどかしげに揺さぶる。
「ああ……文夫さん……か、母さん、気持ちが良いわ……あ、あなたはどうなの」
夫人に声をかけられた文夫は「母さん、ぼ、僕ももう限界だよ」と答える。
325 母子相姦図(6)

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