「そろそろ私の出番ね」
缶ビールを飲み干した香織があられもない姿を晒しているしのぶに近づく。香織が手に持ったチューブを目にした沢木は口元に微笑を浮かべる。
「いきなりその薬ですか」
「サービスし過ぎかしら」
香織は沢木に微笑を返すと、ご馳走を目の前にした肉食獣のような目付きでしのぶの股間をのぞき込む。
「可愛いおマンをしているわ」
香織の軽口に2人の男はくっ、くっと含み笑いをもらす。
「かおりママの手管を、じっくり見物させてもらうよ」
沢木と黒田はベッドの下、しのぶの下半身側にクッションを置き、腰を据える。
香織はしのぶの太腿に片手をかけると、黒々とした繊毛に覆われた秘裂をいきなりくつろげる。敏感な箇所に手を触れられたしのぶはブルッと腰部を震わせる。香織はかまわずにチューブの蓋を外し、軟膏状のものをたっぷりと指先に取ると、しのぶの陰部に塗り込め始める。
香織が塗り始めたものは即効性の媚薬で、その効き目はかつてこの3人の手にかかった何人もの哀れな生贄達によって証明済みである。香織はしのぶの微妙な花唇を引っ張り出すようにして、襞の一枚一枚に刷り込むような丁寧さでその怪しげな薬をしのぶに塗り付ける。しのぶはやがて「あっ、あっ」とうわ言のような声を漏らし始める。
「だんだんいい声が出るようになって来たわ」
十分塗り込んだ香織は、しばらく薬の効き目を確かめるように手を止めてしのぶを見下ろす。しのぶは四肢をベッドに固定されたあられもない姿のまま、双臀を断続的に痙攣させており、その様子がなんとも色っぽくかつ滑稽で、男たちは思わず笑い声を上げるのだ。
「なんとも傑作やないか、しのぶ夫人の腰振りダンス」
「黒田さん、これをビデオに収めない手はありませんよ」
「おっと、そやった」
ビデオ担当の黒田はあわててカバンから小型のデジタルビデオを取り出すと、電源を入れてしのぶに向ける。
「おお、この角度やとしのぶ夫人のお××と顔がばっちり同じ画面に入るやないか」
子供っぽい歓声をあげる黒田に沢木と香織は苦笑しあう。しかしながら黒田の声に遠慮がなくなっているのは、ここまでお膳立てすれば、後の料理はごく簡単というところまで来ているからでもある。
しのぶのいかにもやるせないといった感じの身悶えは激しさを増し、眠りがかなり浅くなっているのが分かる。やがてしのぶの陰裂から一筋の愛液がしたたり落ちているのを目ざとく見つけた黒田が、それをすくい取るように指で秘所に触れると、しのぶは大きく双臀を震わせて、ぼんやりした目を開く。
「あ……」
しのぶはきょとんとした顔をゆっくり振って辺りを見回すと、自分の足元で下半身を覗き込んでいる黒田と沢木と目を合わせる。一瞬まだいつものように「かおり」で黒田や沢木の相手をしていて、居眠りをしてしまったのかと思ったしのぶだが、自分と2人の男の間にある白っぽいものが、まぎれもない自分自身の裸身だと気づき、甲高い悲鳴を上げる。
「きゃあっ」
しのぶは驚愕に目を丸くして、慌てて身を起こそうとするが、全く身動きが出来ない。そこで自分が裸にされているだけでなく、両手両足をベッドに固定されているのだと知ったしのぶの目に、驚きだけでなく恐怖の色が浮かぶ。
「ど、どういうことなのっ」
しのぶは激しく身悶えするが、枷具によってしのぶの身体と連結された頑丈なベッドはギシギシと軽く軋んだような音を立てるだけである。
「お目覚めやな、しのぶちゃん」
「黒田さんっ、どうしてっ」
「お遊びはもうおしまい、これからはゆっくり大人のお付き合いをしようということですよ」
沢木はクッションの上に腰を据えてしのぶの狼狽振りをさも楽しそうに眺めている。しのぶが身悶えするたびに、足枷によって無理やりに開かされた伸びやかな両腿の付根に密生している艶やかな繊毛が、しのぶの憤辱を伝えるようにフルフルと震えるのが滑稽である。
「何をいってるの、沢木さん。じょ、冗談はやめてくださいっ」
「冗談でこんなことが出来るかいな」
黒田がニヤニヤ笑いながら腰を上げ、こんもりと盛り上がったしのぶの恥丘を撫で上げる。
「嫌っ、な、何をするのっ」
いきなり羞恥の部分に手を触れられた驚きと怒りで、しのぶは目を吊り上げて悲鳴を上げる。
「おとなしくしなさい、彩香」
「か、香織さんっ、あなたっ、どういうことなのっ」
興奮の極にあるしのぶを宥めるように、香織はしのぶの髪を優しく撫でる。
「そんなにこわがらないでいいのよ、彩香ちゃん。何も取って食おうってわけじゃないんだから」
香織はそう言うと身につけたドレスをするすると脱ぎ、黒のランジェリー姿になる。
「ひえ、色っぽいな、かおりママ」
「しばらく静かにしていて、黒田さん」
香織は黒田を軽くにらむと大きなベッドに上がり、しのぶに寄り添う。
「いいものをみせてあげるから……」
香織はベッドに縛られたしのぶの肩に手を回し、優しく抱き締めると、艶やかなうなじに軽い接吻を注ぎ込む。
「な、何をするのっ」
いきなり同性愛的行為を仕掛けて来た香織にしのぶは驚き、身体を激しくよじらせて避けようとするが、四肢をしっかりと固定されているため逃れようがない。
香織は嫌がるしのぶにかまわず、うなじから胸元へと休まず攻撃を続ける。「嫌っ」、「やめてっ」というしのぶの悲鳴は徐々にトーンダウンし、その間隔が開いてくる。
意識のない間に香織によって淫薬を塗り込められたしのぶの秘所が、一時は冷めていたのだが、香織の巧妙なレズビアンのテクニックによってその燠火が再び燃え盛り始めたのだ。
(ど、どうして……)
しのぶは薬を塗られたことに気がついていないため、現在自分の肉体に生じている淫らな異変が信じられない。まるでスイッチが入ったように身体の最奥が急に熱く火照り出したことがしのぶを狼狽させ、正常な思考力を奪っていくのだ。
「ああっ」
香織の攻撃がしのぶの可愛らしくすぼまった臍から、その下部の繊毛の生え際に移行する。女の最も敏感な箇所に生じた異変は、香織の巧みな愛撫によってしのぶの全身に広がり、指先まで焼き尽くす勢いを見せている。
「すごく敏感ね」
ゆらゆらとせつなげに揺れ動くしのぶの太腿を押さえながら、その付根付近に接吻を注いでいた香織がからかうように声をかける。
「こんなに感じるなんて、あなた、レズの経験があるんじゃないの」
「あ……ありませんわ……ああ、お願い……もうやめて」
「ここんところはそうはいってないわよ」
香織はそういうと、明らかな充血を見せているしのぶの秘所の扉に指をかけ、ぐいと押し開く。
「ああっ」
むっとするような濃密な匂いの果汁がしのぶの秘苑からあふれ出る。それはしのぶの内腿を伝い、薄いブルーのシーツにまで流れ落ちる。
11.淫らな企み(3)

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