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第15話 しのぶ陥落(4)

「彩香ったら、もう少し手応えがあると思ったんだけど、あんなに簡単に陥ちるなんてちょっと拍子抜けだわ」
 沢木のマンションの近くにあるファミリーレストランで、香織はアイスティーを一口飲むとそうつぶやいた。
 すでに夜はすっかりふけており、店内の客もまばらである。
「そう? でも、素材としては抜群だと思いますよ」
「もっと抵抗すると思ったのよ」
「そりゃあ贅沢な望みだね」
 沢木はミルクだけ入れた珈琲を口にする。
「あれじゃあこっちが悦ばせているようなもんじゃない、ちっとも面白くないわ」
「これから時間をかけて、もっとハードに調教すればいいじゃないですか。そうだ、戻ったら浣腸責めにかける、ってのはどうですか」
 客が少ないこともあって、沢木は露骨な表現を平気で使ったのだが、たまたまテーブルの隣を通りかかった20歳前後のウェイトレスが、沢木の言葉が耳に入ったのかびくっとした顔でこちらを見る。
「あのデカイ尻をじっくり責め上げたいな。どんな反応を示すか楽しみだよ」
「沢木さんは筋金入りのお尻フェチだもんね」
 香織はウェイトレスの反応も特に気にする様子もない。
「先陣を黒田さんに譲ったんだから、次は僕がじっくり責めさせてもらいますよ」
「それは沢木さんの好きなようにすれば良いわ。でも、私にとってはこれだけじゃあ刺激が足らないのよ。折角手間をかけて陥としたっていうのに」
 香織はさも不満げな表情で口を尖らせ、手にしたストローでゆっくりアイスティーをかき回す。
「そうだ、沢木さん」
「なんですか」
「いっそしのぶの2人の子供も一緒に調教しちゃう、っていうのはどうかしら」
「えっ」
 香織の突飛な提案に沢木はさすがに驚き、口に含んだ珈琲を吹出しそうになる。
「こ、子供ですか……」
「そうよ、家族一緒に調教しちゃうのよ」
 香織は平然とした表情で答える。
「しのぶ夫人の子供って……今いくつだっけ」
「下の女の子はうちの史織と同じ、中学1年よ。上の子は男の子で、確か中学3年っていっていたわ」
「そんな……そりゃあまずいんじゃないですか、立派な犯罪ですよ」
「犯罪に立派も何もないわよ」
 香織はクスクスと笑い出す。
「要するにばれなきゃあいいのよ、何やったって」
 香織は恐ろしい科白をさらりと言い放つ。
「それくらいの年齢の男の子や女の子は案外と需要があるのよ、ショタコンとかロリコンとう趣味の人たちにね。それくらいは沢木さんも知ってるでしょ」
「うーん、僕はあまり趣味じゃないですけどね」
「沢木さんは熟女趣味だものね」
 香織はからかうようにいう。
「中学生くらいの美少女や美少年を、思い切り責め上げてみたいと思っていたのよ。うちの史織と一緒にね」
「史織ちゃんも巻き込むんですか」
 沢木は香織のあまりに背徳的な提案に、目を丸くする。
「まあ、見てて御覧なさい。もっと面白くしてあげるから」
「あんまり無茶しないで下さいよ」
「わかってるわよ」
 香織はアイスティを飲み干すと腕時計をちらと見ると沢木に声を掛ける。
「そろそろいいかしら、行きましょう」

 2人が沢木のマンションに戻り寝室のドアの前に立つと、部屋の中からベッドがギシギシときしむ音と「あ……あ、黒田さん」という切なげなしのぶの声、そして黒田の荒い息遣いが聞こえてきた。
「あきれたな……まだ続けてるぜ」
 沢木がどうする、といった表情で香織を見る。
「もう待っていられないわ、かまわないから入りましょう」
 香織がそう促すと、沢木はドアのノブに手をかけて回す。
 寝室のベッドでは黒田としのぶが相変わらず素っ裸で絡み合っていた。なんと2人はいわゆるシックスナインの体位を取り、互いのものに唇と舌を使って濃厚な愛撫を注ぎあっているのだ。
 しのぶは黒田の太った裸身の上に逆体位になっており、部屋の入り口側からは黒田に責められている女の羞恥の源だけでなく、双臀の狭間にぽっかりと咲いた菊の花も丸見えの状態である。
「こりゃ驚いた……」
 沢木はそう呟くと棚に置いたデジタルカメラを手にとり、2人の痴態にレンズを向ける。
 黒田はそこで始めて2人に気がついたようで、しのぶのその部分から唇を離すと「おお、沢木はん、かおりママ、もう帰ってきたんか」と間の抜けた声を出す。黒田の口の周りには自分の唾液と、明らかにしのぶが流した愛液が混じりあいながらべっとりとこびりついている。
 淫臭漂う、といった酸鼻な状態に沢木はカメラを構えたまま顔をしかめる。
「ばっちり、2発決めてやったで。それで少し休憩してから久しぶりに3回戦に突入しているところや。いやあ、この年になっても女がいいと何度で出来るもんやなあ」
「3回戦ですって?」
 黒田はもう50歳を回っているはずだ。若者顔負けのその精力に沢木はあきれるのを通り越して感心するばかりである。
「こりゃあ、しばらく順番は回ってこないな」
「えらいすまんな、沢木はん。そやけどそんなに時間はかからん。これが終わったら交代するからもうちょっと待ってくれんか」
 黒田はそういうと改めてしのぶのその部分に挑みかかる。
 黒田の舌がまるでそれ自身が生き物であるかのように巧みな動きを見せる。花襞の一枚一枚まで丹念に舌で愛撫されるしのぶは、あっ、あっといかにも切なげな呻き声を洩らす。沢木は黒田に責められているしのぶの濡れそぼったその部分のクローズアップを何枚か撮影すると、ベッドの前に回る。
「う……うん……」
 しのぶは口を大きく開き、黒田の剛直を喉の奥まで深々と呑み込み、顔全体をゆっくりとスラストさせている。とろんと潤んだその瞳は、口唇で愛しているそれがさも愛しくてたまらないといった淫らな印象を見るものに与えている。
 沢木がデジタルカメラを向けても、そちらにちらと目をやるだけで、すぐに黒田との愛欲行為に没頭していくのだ。
「あーあ、完全に色惚け状態、って感じだね」
 しのぶはいったん黒田の肉棒を吐き出し、次に大きく舌を伸ばして自分の唾液でべっとりと濡れたそれをさもおいしそうに舐めまわす。
「媚薬がきいているんでしょうけど、ここまで堕ちるとはね。もともとこういったことが好きで好きでたまらないのよ」
「ロリコンの亭主にニンフォマニアの女房か、そりゃあ女房が満たされないはずだ。救われない夫婦だな」
 沢木と香織がくっ、くっと笑いあう。

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