子供の頃から漫画を読むのも描くのも大好きで、職業として漫画家を選ぼうとまでは思わなかったが、自分の作品を一度は商業誌に載せてみたい、というのが夢だった。
学生時代にポツポツとストーリー漫画らしきものを描いていたのであるが、しだいに、自分にはどうやら漫画を描くのに必要不可欠な、お話を作る才能がないのがわかった。
ある時、別に漫画でなくても自分の作品を商業誌に発表することが可能であることに気づいた。
それが、SM雑誌の投稿欄である。
SM雑誌は、誌面におけるイラストやカットの占める割合が非常に高い。特に当時の業界トップ誌であったSMセレクトは、新しい作家の発掘に熱心であり、投稿欄も充実していた。私は手始めにセレクトに投稿してみることとした。
ペンネームは「白川京二」とした。特にこれといった意味はない。当時京都に住んでいたことと、画数が少ないので、楽だということで決めたのである。
一回目は四枚ほどの作品を送っただろうか。それが昭和55年7月に一枚、翌8月に姉妹誌である小説SMセレクトと合計で三枚が掲載された。以後昭和60年12月までに合計六〇枚以上のイラスト・カットががセレクトおよび小説セレクトに掲載されることになる。
(1999年3月27日掲載)
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