第38話 令夫人調教開始(1)

翌朝早くようやく最後の客が帰った後、香織は店に残った黒田と沢木の2人と、ゆったりと珈琲を飲んでいた。
店のフロアには、しのぶと裕子が素っ裸のままぐったりと横になっている。2人の人妻は一晩中「かおり」の客たちに犯され続け、肉体と精神両面にわたって消耗し尽くし、眠りこけているのだ。
裕子の夫の道夫はしばらく前に解放され、いったん帰宅した後に出勤しているはずだ。
「エリートってのは弱いものね。いざという時に開き直ることができないんだから」
「しょうがないよ、俺達と違って守るものがたくさんあるんだろうから」
「そやかて、全然守れてないやないか」
3人は酔い醒ましの珈琲を飲みながら楽しげに笑い合う。
道夫と裕子の携帯電話のアドレスなどのデータは香織と沢木によってすべて吸い上げられている。万一警察などへ駆け込めば、大勢の観客の前でしのぶと素っ裸で絡み合っている場面を撮影した大量の写真が、登録されたアドレスにいっせいに送られると脅された道夫は震え上がって、決して誰にも話さないと誓ったあげく、妻を「かおり」に残したまま逃げるように帰っていったのだ。
「しかし、これでこの別嬪さんは、しのぶと同様、われわれの玩具になることが決まったようなもんやないか」
「それはまだ甘いわよ」
黒田の楽観的な言葉に香織は釘を刺す。
「旦那の方はあっさり落ちたけれど、裕子は一筋縄では行かないわ。ここで一気に追い込んで、徹底的に奴隷化させてしまうのよ」
黒田と沢木は思わず顔を見合わせる。確かに香織は明らかに同性愛とサディズムが結合した倒錯的な性癖を有しているが、それにしてもなにがここまで彼女を駆り立てるのか。
幸福な家庭や家族というものに根源的な憎しみを抱いているとしか思えない香織の過激な行動に、札付きの不良中年をもって自認する黒田と沢木も、ややもすれば引ずられているような気がするのだ。
香織は目をギラギラさせて「鉄は熱いうちに打てというじゃない」などとおかしなことを言い出す。
「今日は一日中裕子を絞り上げてやるわ。2人とも付き合ってくれるわね」
「俺はどうせ時間は自由になるからかまわんが」
2軒のコンビニのオーナーである黒田は沢木の方をちらと見る。
「僕も今月のノルマは達成済みです。会社の方には客先へ直行すると連絡しておきますよ」
沢木は証券会社の歩合制の営業マンであり、これまで香織や黒田たちと一緒に落とした犠牲者を客に差し出すことによって実績を重ねてきた。最近もしのぶという新しい獲物を手にしたことから、さほど苦労もせずに良い成績を上げている。
3人とも昨夜は一睡もしていないが、新しい獲物を手にした興奮から疲れは感じていない。
「それじゃあそろそろ始めるわよ」
香織は首輪、手錠、そしてアイマスクを2つずつ用意すると2人の男たちと一緒に、ぐっすりと眠っているしのぶと裕子に装着させていく。
「本格的に縛ろうとするとすぐ目を醒ましちゃうからね。騒がれるとやっかいだわ」
しのぶと裕子は素っ裸のまま後ろ手に手錠をかけられ、犬のように首輪を取り付けられる。アイマスクをかけられた時、美貌の人妻2人は同時にうーんと小さな呻き声を上げる。
ようやく目を醒ましたのか、しのぶと裕子ははっと顔を上げて身体を起こそうとするが、手錠で拘束されているためにうまく身体を動かせない。おまけにアイマスクで視力を奪われていることが恐怖心を駆り立て、明らかにおどおどとしているのだ。
「な、何をしたのですか。か、身体が……」
裕子はしきりに手を動かそうとするが、金属性の輪が自由を奪っているのに気づく。
「手錠を、手錠をはずしてくださいっ。ここから帰してっ」
「まだまだ帰っていただく訳には行かないわ。奥様に相手をしていただくお客様が、半分以上残っているのよ」
「そ、そんなっ」
裕子は恐怖に眉を吊り上げ、悲鳴を上げる。
「30分も休憩させてあげたのだから十分でしょ。第2ラウンドを始めるわよ」
「嫌っ、嫌よっ。許してっ」
黒田と沢木は怪訝そうに顔を見合わせていたが、ようやく香織の意図に気づき、ニヤリと笑い合う。「かおり」の客に輪姦されながら失神したしのぶと裕子は3時間近く意識を失っていたが、香織はまだ集団凌辱が終わっていないと思い込ませるために2人にアイマスクをかけたのだ。
「やっと順番が回ってきたぜ」
「待ちくたびれてズボンのテントが張りっぱなしや」
黒田と沢木は面白がって下手な声色を使い、まだ大勢の客が「かおり」に残っているような演出を施すのだ。
疲労と恐怖のあまり思考力が低下している裕子は、そんな見え透いた演技にも易々と引っ掛かり、ひいっと悲鳴をあげて裸身をブルブル震わせるのだ。
知的でプライドの高い裕子が、黒田たちの猿芝居にあっさりと騙され、本気で脅えているのが香織はおかしくてしょうがなく、笑いを噛み殺すのに必死である。
「お、お願い……これ以上されたら壊れてしまいます」
不自由な身を震わせて哀願する裕子をさも楽しそうに見下ろしながら、香織は黒田たちに調子を合わせる。
「あらあら、気が早いわねえ……まあ、そんなに……昨日の脇坂さんの持ち物も大きかったけれど、これに比べると子供みたいだわ」
「でも、こんなに大きいの突っ込むと、確かにこの奥様のお上品そうなお道具が壊れちゃうんじゃないかしら? 普段はあまり大きいものを受け入れたことがないみたいだし」
「やめて……やめて下さい……」
裕子はシクシクとすすり泣く。アイマスクのすき間から涙が一筋、二筋こぼれ落ちていく。
「どう、奥様。こんな化け物みたいなオチンチンを味わえるなんて、滅多にない機会よ。試してみない?」
「ああ……許して……」
「許してほしければ私のいうことを聞く?」
裕子は香織の言葉にガクガクと頷く。勝ち気な裕子が昨夜の嵐のような凌辱の末、人が変わったように弱々しくなっているのを見て、香織たちは満足げに笑い合う。
「それならもう一度舞台に上がるのよ」
香織は裕子の首輪に鎖をつけると、思い切り引き上げる。窒息しそうな苦しみに裕子はぐぐっと呻き声をあげながらよろよろと立ち上がり、囚人のように香織に引き立てられて行く。
「仰向けに寝転んで両足を広げるのよ」
「な……何を……」
裕子は声を震わせながら見えない目を香織に向ける。香織はしかし裕子の問いには答えず、おずおずと開いた裕子の、ジョギングで鍛えられ40代とは思えないほど引き締まった太腿に手をかけて思い切り左右に割り裂く。
「ほーら、ご開帳よ」
「ああっ」
裕子は思わず悲鳴をあげるが、さほど強い抵抗は見せない。黒田と沢木がカウンターの奥から青竹を持ち出してくると、大きく開いた裕子の伸びやかな下肢を縛り付けていく。

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