第39話 令夫人調教開始(2)

「いかが? 小椋さんの奥様――いえ、ご立派な職業をおもちの自立した女性だから、誰々の奥様なんて言い方は失礼ね。大学の講師だから、小椋裕子先生とお呼びすればいいのかしら」
香織はそういうと、さも楽しげにケラケラと笑い出す。
「ああ……いわないで……」
「ねえ、小椋裕子先生。今日はお得意の国文学の授業じゃなくて、特別講義をお願いしたいの。ちょっと――いいえ、かなりエッチな授業だけれど、引き受けてくれるかしら」
シクシクと気弱にすすり上げている裕子の口元に、香織はわざとらしく耳を当てると「まあ、喜んでやらせていただきます、ですって」と歓声をあげる。
黒田と沢木は奇声をはり上げ、手を叩き、口笛を吹く。
冷静になればそんな喧噪も、本当に香織の言うように大勢の客のものなのか、そうでないのか容易に判断できそうなものだが、昨夜からの激しい凌辱行為により精神的ショックを受けていること、そしてアイマスクによって視界を奪われていることによる不安と恐怖から裕子は正常な判断ができなくなってきているのだ。
一方、裕子同様後ろ手に手錠をかけられた素っ裸の身体を縮こませているしのぶは、香織たちの調教に馴らされているせいか、これが香織、黒田、そして沢木の3人の芝居だということに気づき初めている。
しかししのぶには、裕子の窮地を救うため勇気を振り絞ってそれを指摘することがどうしても出来ないでいた。
自分を助けようとして逆に香織たちの罠に落ちた裕子に対する申し訳なさ、知らなかったとはいえその裕子の夫である道夫と、裕子の目の前で交わってしまった罪悪感──それらを思えばしのぶの心は千々に乱れ、悪魔たちを糾弾する言葉を吐こうと必死で試みるのだが、いつの間にか奴隷根性が染み込んでいるしのぶはその度に、なぜか舌が凍りついたように動かなくなるのだ。
「しのぶ、出番よ」
香織に突然声をかけられ、しのぶははっと顔をあげる。
「これと、これを使ってお友達を楽しませてあげなさい。自分が散々経験したことだから、要領は分かっているわよね?」
香織は大小2つの張型をしのぶの手に押し付けるようにする。その不気味な感触にしのぶはブルッと身体を震わせ、嫌々と気弱にかぶりを振る。
それまで不気味なほど機嫌が良かった香織の形相が一変し、しのぶの頬に激しい往復ビンタが飛ぶ。
「ああっ──」
「甘ったれるんじゃないわよ。大股を広げた恥ずかしい格好で、私の奴隷になるって何度も誓ったことを忘れたんじゃないわよね」
再び激しい往復ビンタ。しのぶの白い頬に赤い手形がくっきりと浮かび上がる。
「す……すみません」
しのぶは香織に強気に出られると、まるで蛇ににらまれた蛙のように、抵抗出来なくなってしまうのだ。
「それなら、言われた通りにするわね」
「わかりました……」
しのぶは力無く頷いてうなずいておぞましい2つの責め具を手に取ると、あられもない姿で横たわっている裕子に手探りで近寄る。
目隠しされているしのぶが全裸のままへっぴり腰で裕子に近づく様子がおかしいのか、香織たちは指をさしてくすくす笑い合う。
「お、小椋さん……ご、ごめんなさい」
昨夜心ならずも裕子の夫の道夫と交わったことか、それともこれから裕子にさらなる恥をかかせることか、しのぶはしきりに詫びながらも裕子に寄り添うように横たわり、豊かな乳房に手をかける。
「あ……」
裕子の口からとまどうような声が漏れる。しのぶはおずおずと裕子の乳房を軽く揉み上げていたが、香織に叱咤されて次第に愛撫の手を強める。
「そんな……あ……やめて……加藤さん」
「許して……こうしないと私……」
衆人環視の前で(目隠しされている裕子はそう思っている)親しい友人であるしのぶから、レズビアン的な行為を仕掛けられる羞恥と戸惑いに裕子はくねくねと身体をよじらせる。しかしその抵抗にはさほど力は入っておらず、香織に促されたしのぶが裕子の唇に接吻すると、一瞬ぶるっと裸の上半身を震わせた後にぴたりと止むのだった。
「う……うぐ……」
「ああ……」
しのぶは香織たちに仕込まれた技巧を発揮し、裕子の豊かな乳房をやわやわと揉み上げながら濃厚な接吻を注ぎ込む。
目隠しをされたまま大きく開股した恥ずかしいポーズを強いられている裕子は、同性に接吻されているという嫌悪感も、次第にあやふやなものになっていき、口内に侵入してくるしのぶの舌を甘く吸い返す。美夫人2人は、互いに舌を吸い合ううちに、昨夜の甘い性感の燠火がかきたてられ、徐々に身体が熱くほてってくるのをどうしようもない。
「裕子の泣き所は……わかったわね」
香織がニヤリと笑みを浮かべてしのぶに囁きかけると、しのぶは素直にこくりと頷いて、柔らかな乳房を揉み上げていた手を離して裕子の股間にのばし、豊かな秘園をかき分けて早くも硬くしこり始めている花蕾を探り当てる。
「あっ!」
とたんに裕子は電流に触れたようにびくっと全身を震わせる。裕子のその部分はまだ昨夜香織によってかけられたタコ糸がからみついたままである。
「そ、そこは……ダメ……」
「小椋さん……どうしようもないの」
しのぶがゆっくりボタンを押すように裕子の花蕾を愛撫すると、たちまちそれは大きく指先ほどまで膨張する。
「気分を出して頂戴──小椋さん……」
「あっ、ああっ」
そこを責められると自分が自分でなくなってしまう。悪魔達に恥ずかしい弱みを握られてしまった絶望と、身体の裡からこみ上げる激しい快感に裕子は普段の冷静さが信じられないようなはしたない声を上げるのだ。
(ああ……どうして、こんな……)
裕子は官能の海にさらわれそうになるのを必死に逃れようとするが、熱い口吻を注ぎ込んでくるしのぶが、片手でやわやわと半勃ちになった果芯を揉みあげ始めると、そんな気持ちは春の淡雪のように消えて行く。
淫鬼たちに強いられた行為だったが、しのぶは裕子が自分の技巧にあっけなく燃え上がっていくのを見て、それまで裕子に抱いていた近寄りがたさやコンプレックスが解消していくとともに、なんとなく裏切られたような気持ちになる。
しのぶを救おうとして逆に香織達の罠に落ちた裕子。そして強いられたとはいえ裕子の夫である道夫と交わったしのぶ。しのぶは裕子に対する申し訳なさを痛切に感じる一方で、女の急所を無様に締め上げられ、ヒイヒイと悶え泣いている裕子に、自分でも不思議なほど嗜虐心がかきたてられるのだ。
今まで自分が責められていた分を誰かにぶつけたい。自分だけが惨めではない、淫らなのではでないということを確認したい。理不尽だとは分かっていても、そんな気持ちを押さえきれず、しのぶは指先に力を入れ、早くもタコ糸をキリキリと食い込ませて子供のペニスほどに屹立した裕子の花芯を思い切りひねり上げる。
「アヒイッ! そ、そんなっ」
それだけで裕子はブルッと豊かな腰部を震わせ、ワイン色の秘奥から粘り気のある愛液をどっと吐き出すのだ。

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