第45話 人妻全裸快走(3)

「さあ、はじめるわよ。ゴールは東公園よ」
いつの間にか持ち出したスポーツサイクルに跨がった香織の声に男たちは歓声をあげる。香織は自転車で伴走するつもりなのか、スポーツキャップとサンバイザーを身に着けている。
「あ、あの……」
裕子が気弱げに声を上げる。
「何なの? 裕子」
「本当にこのままで走らなければならないのですか?」
「いまさら何をいっているの? 納得したからビキニを着たんでしょう」
「で……でも……もし知っている人に見られたら……」
「あなた、とんでもない写真を撮られているのを忘れたんじゃないわよね?」
「わかっています……でも」
裕子はすがるような目で香織を見る。
「こんな格好で走るのを見られても破滅ですわ……お願いです」
香織はしばらく何か考えるような表情をしていたが、やがて「わかったわ」と頷く。
「沢木さん、2人にサングラスを貸して上げて」
沢木は頷くと、トランクの中からスポーツ用の黒いサングラスを取り出し、裕子としのぶに手渡す。
「それなら顔が隠れるでしょう。しのぶはともかく、まさかインテリで有名な小椋夫人が裸同然でジョギングをするなんて、だれも思わないわよ」
裕子としのぶは安手のプラスチック製サングラスをかける。確かにそうすれば、万が一知り合いに見られても気づかれないかも知れない。
「もういいでしょう、愚図愚図いっていると素っ裸で走らせるわよ!」
「わ、わかりました」
裕子としのぶは香織の怒声に反射的に返事をする。ビキニ姿の美熟女2人、それを取り囲むようにするスポーツウェア姿の中年男4人の奇妙な一団は、コンビニ前の駐車スペースを起点としてジョギングを開始した。

開始してすぐに、4人の男たちは裕子としのぶを先頭に立てると、金魚の糞のようにぞろぞろと走り続ける。その位置なら2人の美夫人の裸同然の後ろ姿を心置きなく鑑賞することが出来るのだ。
「た、たまんねえな」
「さっきからあそこがビンビンで、走りにくくてしょうがないぜ」
4人の中年男はプリプリと揺れる2つのヒップを惚けたように眺めている。
確かにそれは壮観といって良い。熟女らしい量感を湛えた2つの尻が「さあ、よく見て」といわんばかりに目の前に弾んでいるのだ。染み一つないしのぶのヒップは、良く熟した白桃のような妖艶さと可憐さが入り交じった魅力を湛えている。一方、スポーツで鍛えられた裕子の尻は、肌の白さという点では年若のしのぶに一歩譲るものの、貫禄ともいうべき迫力を見せている。
早朝とはいっても車や人の往来がまったくない訳ではない。夜勤明けの勤め人、朝が早い商売人、そして新聞配達のアルバイト――彼らは一様に裸同然で走る女2人を、夢を見ているような表情で見送る。
徐々に陽は高さを増し、あたりは明るさを増してくる。朝日の中で裕子としのぶのジョギングシューズにTバックビキニだけの半裸身がくっきりと浮かび上がる。
外国の海岸などではしのぶや裕子のような熟女がきわどいTバックや、場合によってはトップレスの姿を堂々と晒すことも珍しくはないが、ここは日本の、しかもリゾートではなく住宅街である。そんな日常そのものといった場所で、2人の美人熟女がある意味オールヌードよりも扇情的な姿を晒しているのが実に刺激的である。
(ああ……こんなことがあるはずがないわ……)
裕子はまるで、昨夜の悪夢の続きを見ているような気分になる。気味の悪い触手に搦め捕られ、悶え抜いた自分――それは今、香織たちに強いられるまま裸同然の姿で青天井の下、ジョギングをしている自分を予知していたかのようだ。
(へ、変だわ――身体が――熱い――)
自転車で伴走する香織は、走り続ける裕子としのぶの横に出て、ちらと2人の顔を見る。
(あーあ、まるであの時みたいな表情をしちゃって……)
香織は思わずくすくすと笑い出す。裕子としのぶの目の周りはサングラスに隠されていたが、はっきりと頬を上気させたその表情は、明らかに陶酔の色を湛えていた。
香織が2人に与えたビキニは外国製の特殊な素材で作られており、水を吸うと柄はほとんど目立たなくなり、ほぼ透明といっていいほどの状態になる。香織の企みどおり、汗に濡れたビキニはぴったりと肌に張り付きつんととがった乳首や、アンダーヘアまでが浮かび上がっているが、陶然とした表情で走り続ける2人の美夫人はまるで気づいていないのだ。
(沢木さんと黒田さん……用意は出来ているかしら)
沢木と黒田は先に車で、ゴールである東公園に向かっている。尻フェチの沢木は裕子夫人のジョギング姿を見ることが出来ないのをブツブツ文句をいったが、彼女の調教に欠くことの出来ない仕掛けだからと香織に説得され、不承不承先行したのだ。その仕掛けを見たら裕子はどんな顔をするかと考えただけで香織は背筋がゾクゾクするような快感を覚えるのだった。

しのぶと裕子はようやくジョギングの終点である東公園に到着した。
早朝でもあり公園には人気はほとんどなく、大型犬を連れた老人が散歩しているだけだった。しのぶと裕子の姿を見た犬は激しく吠え立て、半裸の女たちが走りこんできたのに驚いた老人は目を丸くして棒立ちになる。
「ここがゴールよ」
自転車で伴走する香織に導かれ、激しい疲労と身を焼かれるような羞恥でふらふらになった2人の人妻は公園の奥にある自治会の集会場脇まで走って行く。
昔からある町の自治会では役員は固定化しているが、ニュータウンでのは全員が新顔であるため役員も任期2年の回り持ちである。裕子も2年前まで副会長を務めており、現在の役員に直接引き継いだ経験がある。
もちろん早朝であるため、集会場には鍵がかかっている。しかし、役員時代には月に2、3回は通っていた馴染みの場所、つまり自分の生活圏内で露出狂のような姿を晒しているという事実が、裕子の神経をさらに不安定なものにしていくのだ。
「2人ともこっちを向いて立ちなさい」
朦朧となったしのぶと裕子は香織の指示に、催眠術にかかったように従う。ニヤニヤ笑いを浮かべながら後を追いかけてきた脇坂たちは、2人の美夫人の正面像を見て驚きの声を上げる。
「ひえっ、すげえ」
「スケスケじゃねえか」
裕子としのぶが身につけていた水着は、2人の汗を吸って肌にぴったりと貼りついているだけでなく、ほぼ完全に透けていたのだ。美熟女2人のやや色素の沈着の見られる乳首だけでなく裕子のむさくるしいまでに量の多いアンダーヘア、そして剃毛されて剥き出しになっているしのぶの陰裂までが薄い生地越しにはっきりと認められるのだ。
「あらあら、お2人ともなんていやらしいのかしら。大事なところが丸出しよ」
香織は楽しげに笑うと、小さなデジカメをポケットから取り出し、裕子としのぶの恥ずかしい姿を撮影していく。
「これはもう邪魔ね」
香織はそういいながら2人のサングラスを外す。裕子としのぶは裸同然の姿で往来を走らされたショックと露出の妖しい快感に、夢を見ているような表情のままでフラッシュを浴びている。

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