第82話 調教会議(1)

「全員そろったようね」
香織は珈琲をいれ直し、全員に用意すると満足げに頷いて話し始めた。飯島、美樹、誠一の3人は最初怪訝な顔つきで香織の話を聞いていたが、次第にその表情には驚きとともにギラギラするような好奇の色が浮かび始めた。
「要するに……小椋家はすでにその家族が全員、加藤家は母親と息子があなたの罠に落ちているということ?」
小塚美樹は香織に確認する。
「そうよ。事の発端はしのぶの夫の達彦が私の娘の史織にいたずらしたことだから、達彦も罠に落ちているようなものよ。残るはただ一人、しのぶの娘、中学1年の香奈だけってわけ」
小椋里佳子の母親、裕子と加藤健一の母親、しのぶがトップレスでの早朝ジョギングと東公園でのオナニーショーを演じさせられているのを知っている美樹は、2人が何らかの弱みを握られているのは承知していた。しかし、それがすべてここにいる世良香織のシナリオに基づくものであり、おまけに里佳子の姉、貴美子までが香織の罠に落ちているということは、美樹の想像を超えていた。
しかも、香織が美樹がR学園付属中で起こした不祥事を事前に調べ上げていたこと、裕子としのぶにわざと東公園の近くを露出狂めいた格好でジョギングさせれば、東公園の近くのマンションに住み、しかも朝帰りの多い美樹はこれを目撃し、必ずそれをネタに学園で一、二を争う美少女である里佳子に手を出すであろうということを予測したことを聞いて、さすがの美樹も背筋に寒気が走るのだった。
「私が里佳子じゃなくて、香奈に手を出すとは思わなかったの?」
「あら、里佳子のほうが好みのタイプでしょ?」
美樹はぐっと黙り込む。確かに里佳子は、彼女がR学園付属中でレズビアンの相手にした少女と良く似たタイプ、美樹好みの勝気で頭の良い美少女で年も同じ14歳である。
「あなたのお友達がしのぶの息子の健一を調教してくれるというのは、こちらとしても嬉しい誤算だったけどね」
香織は視線を、誠一の端正な顔に向ける。香織の掌の中で踊らされていたことを知らされた誠一は、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
美樹と誠一以上に驚いているのは飯島である。飯島は一昨日、貴美子をA工業高校野球部のマネージャーに兼臨時職員として、生徒、教職員など出来るだけ多くの人間の前で辱め、また貴美子に自発的に露出的な行為を演じさせることで「淫乱娘」の評判を確立させることを香織から依頼されていた。しかしながらその時に、他の教師や生徒たちへの言い訳として入れ知恵された「小椋家=ヌーディスト説」は荒唐無稽な出鱈目だと考えていたのだ。
しかし、今の香織の話を聞けばそれはあながち嘘とはいえない。もちろん父親が商社マンのため海外生活が長かったためそうなったとか、母親の裕子の外国でのボーイフレンドがヌーディストのため影響されたなどというのは法螺話であるが、現在、裕子が加藤しのぶとともに早朝ジョギング、青天井の下でのオナニー、そして「かおり」でのストリップショーなどほとんど露出狂的な生活を強いられているというのはまぎれもない事実なのだ。
さらに驚いたのは貴美子の妹の里佳子が英語を担当する女教師、美樹によってレズビアン調教を施されているという事実である。また、その里佳子のボーイフレンドでありしのぶの息子でもある健一が、荏原誠一というカメラマンの卵にホモとして仕込まれているというのも驚きである。
つまり、加藤家と小椋家のしのぶと裕子、里佳子と健一、そして貴美子という3組の調教が、互いの事情を知らないまま別々に進行していたのである。それをすべて把握していたのはここにいる香織という女なのだ。
「それで? 今日私たちを呼び出したのはどういう理由なの」
美樹は香織に圧倒されるものを感じながらも、強気を装いながら尋ねる。
「そろそろ里佳子や貴美子、健一を商品にすることを考えたいのよ」
美樹と誠一は思わず顔を見合わせる。
「里佳子と健一についてはあなたたち2人が毎日、じっくり仕込んでくれているのでしょう。もう2人は大人になったの?」
「あの2人はまだ処女と童貞よ」
そういって美樹は首を振る。
「それでも健一クンの方は、今夜あたり誠一が女にしてあげようと思っていたみたいだけどね」
「お尻の方の開通式はやってくれてかまわないけれど、出来れば前の童貞は取っていてくれるとありがたいわ」
誠一が不快そうに眉を上げる。
「どういうことなの? どうしてあなたが私たちに指図をするの。あの2人を仕込み上げたから私たちはお役ごめんってこと?」
「とんでもない。そんなつもりは全然ないわ」
香織が大げさに首をすくめる。
「商品化した2人を楽しいショーに出させたりする時間以外は、このまま関係を続けてくれてかまわないのよ。いえ、むしろあなたたちには私たちのビジネスに協力して欲しいの」
「ビジネスですって?」
美樹が眉を上げる。
「飯島先生についても同じよ。貴美子の肉体面の開発は龍が担当する。先生は引き続き貴美子を露出狂の淫乱娘と呼ばれるように特訓して欲しいの。明日は日曜だから、野球部の練習はお休みよね? その代わり貴美子は一日中龍が鍼とマッサージ、それに身体を使ってスパルタ教育を施すわ。奴隷たちの中では貴美子の調教が一番遅れているからね」
飯島は頷くことも出来ず、目を白黒させている。
「そうして揃った奴隷たちを、色々な組み合わせでペアにしたりトリオにしたりしてショーに出演させるのよ。今は裕子としのぶのペアしかないので変化に乏しいけれど、たとえば、裕子と貴美子に里佳子を加えた母娘レズビアンショー、しのぶと健一の母子相姦ショー、貴美子と里佳子に父親の道夫を絡ませる父娘相姦ショー、いいえ、いっそ小椋家4人の4Pなんかも面白いわ。小椋家と加藤家を組み合わせるともっとバリエーションにとんだ見世物が出来るでしょう」
美樹と誠一、飯島はさすがに香織の突拍子もないアイデアを、あっけに取られた顔で聞いている。
「そ、そんなことを本当に実行するつもり?」
「あら、いけないかしら? 面白いじゃない。それにすごいお金になると思うわ」
香織はけろりとして答える。
「もちろんすぐには無理だろうけれど、少しずつ、じっくりと調教していけばいずれは母と息子、父と娘で平気でつるみ合うようになるわ。以前、別の家族を使って同じようなことをやったこともあるのよ」
美樹と誠一、飯島はしばらく声もなく、顔を見合わせあっていたが、やがて美樹が香織の隣に座っている黒田と沢木に顔を向ける。
「あなたたちはどうなの? この話に乗っているの?」
「俺達はしのぶや裕子夫人を罠にはめて仕込み上げるところから香織ママと一緒にやっている。ここまで来たら乗り掛かった船や。途中で降りる訳にはいかんやろ」
黒田の言葉に沢木も頷く。
「それに、こんなにおもしろい経験、一生のうちに二度と出来るかどうか分からない。多少のリスクは覚悟の上ですよ」
沢木は証券マンらしい表現でそういうと、香織に顔を向ける。
「しかし、良い機会なんで香織ママに聞いておきたいことがある」
「何かしら?」

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