第84話 調教会議(3)

「ソープの講習だって?」
沢木がさすがに驚きの声を上げる。
「昔の知り合いが支配人をしているので、無理にお願いして引き取ってもらったの。脇坂さんと赤沢さん相手にホテトル嬢まがいのことをさせて、お二人に講習をしてもらおうと思ったんだけれど、矢っ張り素人は駄目ね。特にあの2人はしのぶと裕子にぞっこんだから、あまり厳しい調教が出来ないのよ」
「それである吉原の高級店にお願いして、ソープ嬢としての作法や技巧を徹底的に仕込んでもらうことにしたのよ。ベテランのソープ嬢が2人、マンツーマンで特訓したから、2人とも3日間の講習で見違えるようになったわよ」
5人の男女はあまりのことに声も出ない。Aニュータウンでつい最近まで幸福に暮らしていた2人の人妻が、ソープ嬢としての講習を受けさせられているというのである。
「それで、3日間ということはもう終わったんやろ?」
「とりあえずは店に出せるようにはなったそうだわ。でも、講習料が払えないもんだから、その分を身体で返させることにしたの」
「身体でって、まさか……」
香織の言葉に美樹は息を呑む。
「昨日から3日間、店で新人ソープ嬢としてただ働きよ。といっても講習を受けた高級店では無理だから、系列の大衆店でだけれど」
「ど、どこのソープですか」
飯島は勢い込んで香織に尋ねる。
「あら、先生。行ってみたいの? 少し待っていれば貴美子の調教のお礼に無料で抱かせてあげようと思ったのに」
香織は面白そうにクスクス笑い出す。
「吉原の『プシキャット』という店よ。源氏名は面倒臭いからそのまま「ゆうこ」と「しのぶ」にしてあるわ。泣いて頼むもんだからホームページでの顔出しは許してあげたけど、その代わり即尺、即ベッドは徹底させているわ。初日の昨日から2人とも客がつきっ放しで、あれじゃああそこが乾く暇もないだろう、って支配人がいっていたわ。今日も予約で一杯みたいよ」
「な、なんとか今からでも予約できませんか」
「どちらを抱きたいの」
「貴美子の母親の方です」
「先生も物好きね。わざわざ店にお金を払ってまでそうしたいなんて」
香織は笑いながら首をかしげる。
「それなら店に聞いてあげるわ」
「わいも予約したいんやが」
黒田も声をあげたので、香織は目を丸くする。
「まあ、黒田さんまで……」
「わいはしのぶの方を頼む。いつもみたいに沢木さんのマンションや、この『かおり』でいたぶるのもいいが、本物のソープで、ソープ嬢そのものになったしのぶを抱くのもこたえられん」
「僕もそうしたいですが、残念ながら明日は仕事がびっしりで、とても行けそうにありません」
沢木はさも残念そうにそう言った。
「なるほど、そういうことならたまにはしのぶと裕子を本物のソープで働かせるのもいいわね。貴美子もいれて三人で時々出稼ぎさせましょうか」
「それは良いアイデアですよ」
「3人を組み合わせて、2綸車、3綸車をさせるのもええんやないか?」
沢木と黒田は口々に話し合う。
「とにかく電話をしてみるわ」
香織は携帯を取り出すとメモリーに登録した番号を呼び出す。
「もしもし……ああ、香織だけれど、支配人の金村さんをお願い」
香織は呼び出しの間に一口珈琲をすする。
「金村さん? 香織よ。ああ……いいのよ。おつりはとっておいて。またお願いすることもあるから」
「それよりしのぶと裕子だけれど、明日一コマずつなんとかならない? そう、一杯なの……ちょっと聞いてみるわ」
香織は携帯の通話口を塞ぐと、飯島と黒田の方を振り返る。
「二人とも明日もほとんど予約が入っていて、最終の23時からしか空いていないらしいわ」
「それでいいです」
「俺もや。最終のコマなら時間を気にする必要もない『プシキャット』なら昔よく通ったこともあるしな」
「ところが、部屋がひとつしか空いてないらしいのよ。明日は遅番の子が多い上に、休日の稼ぎ時にただ働きの2人だけを使うっていうので、女の子たちからクレームも出ているそうだわ」
黒田と飯島は顔を見合わせる。
「俺は別に一緒でもかまへんで」
「僕もいいです」
「2組一緒の部屋でいいということね」
黒田と飯島は同時に頷く。
「あきれたわ……ちょっと待ってね」
香織は再び携帯を口にあてる。
「それでいいそうよ……うん、わかったわ。それじゃあお願いね」
香織は携帯を切ると再び黒田と飯島に顔を向ける。
「明日の23時からだから10分前には店に来てね。申し訳ないけれど送迎の車が一杯で、足は自分で確保してほしいということだわ」
「俺の営業用の車で行こう。先生、一緒に行きませんか」
「あ、ぜひお願いします」
黒田と飯島の相談はまとまったようである。
「それじゃあ本題に戻って、これからの当面の調教計画だけど……」
香織が改まった様子で話し始める。5人はいっせいに耳を傾ける。
「明日一日はそれぞれの奴隷をたっぷりと仕込む。黒田さんと飯島さんはしのぶと裕子、小塚先生と誠一さんは里佳子と健一、貴美子は龍に仕込ませる」
5人の男女は香織の言葉に目を輝かせて頷く。
「週明けから本格的な集団調教の開始よ。まず早朝ジョギングのメンバーを月曜日から一人増やすわ。裕子、しのぶ、貴美子の3人で走らせましょう」
香織の大胆な言葉に黒田と沢木は再び驚く。
「それは相当抵抗するでしょう。特に裕子が、自分の娘までそんな目にあわされていると知ったら、狂ったようになるんじゃないですか」
「最初は3人ともマスクをさせて、お互いの顔が見えないようにしたら良いわ。貴美子は母親としのぶがどんな目にあっているのかは知らないのだし、裕子としのぶには貴美子のことを『かおり』のショーに出演する新人だと説明しておけば良いわ」
香織は平然と言い放つ。
「目的地の東公園に着いたら、まずは裕子としのぶに、次に貴美子にマスクを着けたままオナニーショーを演じさせる。全部終わってから3人のマスクを外して、感動のご対面、って訳。そこまで恥をさらさせておけば抵抗も出来ないでしょう」
「それは面白いわ」
美樹が瞳をギラギラさせて話に加わる。
「なんとか里佳子と健一も参加させたいものだわ」
誠一も同意を示すように頷いている。

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