第93話 崩壊への序曲(1)

誠一はますます激しく健一の若茎をもみしだくようにする。射精寸前に追い込まれた健一は「ああっ」と少女のような悲鳴を上げて頭をのけぞらせる。
誠一はすかさず健一の唇を奪う。いきなり接吻された美少年は驚いたように目を見開くが、さほど抵抗もせず誠一に舌を吸わせていくのだ。
「まあ、仲が良いこと」
美樹はそんな男たちの愛欲図を見ると、からかうように声をかける。
「里佳子のボーイフレンドはすっかりホモの楽しみ方を覚えたみたいね。里佳子も負けずに頑張るのよ」
そう美樹に声をかけられた里佳子はぼんやりとした瞳を健一に向ける。自分が地獄へと引き込んだ健一がさらなる奈落へと突き落とされようとしている。健一に対するすまない思いが、もっともっと自分は罰を受けなければならないという自虐的な思いに変化し、里佳子はますます美樹の愛撫の中へと自らを投げ出していく。
「ママももうすぐゴールインのようだわ。そろそろこちらも上らせてあげましょう」
「わかった」
美樹と誠一は呼吸を合わせるようにして美少女と美少年を追い上げる。里佳子と健一は倒錯的な官能の渦に翻弄され、「ああっ、ああっ」という甘い悲鳴を上げながら裸身を悶えさせる。
裕子としのぶは多くのギャラリーに取り囲まれ、互いの夫の性器のクローズアップ写真をしっかり眺めながら、ついに2人同時に疑似的な性行為の頂上に達する。
「い、いきますっ」
「私も、い、いくっ」
2人の人妻の熟れた裸身が官能の絶頂に震えるのがまるで伝播したように、若い3匹目の牝馬が裸身をブルブル震わせながら香織の腕に中に崩れ落ちる。
「うっ、ううっ……」
ボールギャグを噛まされた貴美子の口の端から涎が流れ落ちる。
「あらあら、だらしないわね。そんなものはしまっておきなさい」
香織は失笑を浮かべながらそれを指先で掬い取ると、元に戻すように貴美子の口の中に入れる。そんな屈辱的な行為を拒む気力もないほど貴美子はうちのめされているのだ。
「初めてだから今日のところは勘弁して上げようと思ったのだけど、あまり感度が良いものだからつい夢中になって責めてしまったわ。ごめんなさいね」
香織はそう言うとボールギャグを噛まされた貴美子の口元を嘗めるようにする。貴美子は虚ろな表情ですっかり香織に身を任せているのだ。
3匹の牝馬が凄まじいまでの絶頂に達するのとほぼ同時に、荏原誠一の車の中でも牝馬の娘と息子が海老のように反らせた新鮮な裸身を、倒錯的な快感に震わせていた。
「ああっ……」
「ううっ……」
里佳子が母親のはしたない自失と合わせるように、舌足らずな悲鳴を上げながら首をのけぞらせる。美樹は頬を紅潮させて官能の痺れにあえぐ美少女に魅せられたように熱い接吻を注ぎ込む。
一方、誠一は裸の美少年が噴き出す白濁を慎重にグラスで受け止めている。ビュッ、ビュッと驚くほど大量の精液がグラスに溜まっていくのを、誠一は満足げに見守っている。
東公園の内外で5つの官能がほぼ同時に爆発し、3匹の牝馬の競艶に息を呑んで見入っていたギャラリーはいっせいに拍手する。
「素晴らしいわ。ほんとに恥知らずな女になったこと」
香織も拍手しながら裕子たちとギャラリーの間に進み出る。裕子、しのぶ、貴美子の3人はマスクに隠された顔をがっくりと伏せながらも、露わになった裸身を官能の余韻にいまだに小刻みに震わせているのだ。
「どうだい、気持ち良かった?」
香織は赤沢に抱えられているしのぶの前に立つと、人妻らしく熟れた尻をぴしゃぴしゃ叩きながら尋ねる。
「は、はい……気持ち良かったですわ」
「人前でマンズリする気分はどうなの」
「恥ずかしくて……死にそうになるんですが、今はそれがかえって気持ち良くて……」
「露出プレイが病み付きになったって訳ね」
「はい……その通りです」
「まったく、とんでもない変態女になったものね」
香織が侮蔑的な視線をしのぶに向けて嘲笑すると、しのぶは羞恥と屈辱に身を揉みながらも、再び小さな官能が込み上げてくるような感覚にブルッ、ブルッと腰部を痙攣させるようにする。そこでギャラリーは、このマスクで顔を覆った人妻がすっかり被虐と露出の快感を身に染み込ませていることを知り、いっせいに笑い声を上げるのだ。
次に香織は裕子の前に立つ。裕子はやはり官能の余韻に痺れた身体を脇坂に抱えられ、豊かな乳房を揉みしだかれながらうなじや胸元に接吻を施されている。知的な大学講師はもはや淫らな獣と化して、セックスの後戯のような脇坂の行為に翻弄されながら「ああ……ああ……」とハスキーな喘ぎ声を発しているのだ。
「お前はどうだい、気持ち良かったの」
「はい……とても気持ち良かったですわ」
「ローターを咥えたまま走る気分はどうだい。もう病み付きになったんじゃないの」
「そ、その通りですわ……すっかり病み付きになりました」
そう答えた裕子はリングに締め上げられたクリトリスをいきなり脇坂の指先で嬲られ、「ああっ」と悲鳴に似た声を上げる。
「どうしたの? はしたない声を上げて」
「ああ……クリが……」
「クリがどうしたの?」
「クリが……感じてしまって……」
裕子はそう言うと優美な腰をもどかしげに揺らめかせる。
「ここんところをいつも刺激されているからな。もともと大きなクリがますますデカくなっているぜ」
脇坂はそう笑うと充血した裕子の花蕾をクイ、クイとこじり回す。裕子はそれだけで小さく絶頂に達し「ううっ」と呻くような声を上げて下半身をブルッ、ブルッと震わせるのだ。
「まあ、また気をやったのね。本当になんて淫らな女におなりになったのかしら」
香織はそう言ってケラケラ笑うと裕子の逞しいばかりに張り出した尻をパシンと平手打ちする。
香織は次に、朽木にしっかり抱かれながらハア、ハアと荒い息をついている貴美子に近づく。
「新入りさんもたいしたハッスルぶりね。先輩の牝たちにすっかり煽られちゃったみたいね」
香織は貴美子の顔を両手で挟むようにして覗き込む。
「でも、感じた時のよがり声や、クリの大きさなんかはお母様にそっくりだわ」
貴美子は香織の言葉に衝撃を受け、かっと目を見開く。
その時、誠一の車から降りてきた美樹が香織に近づく。美樹はスポーツグラスをかけているため、人相は定かに分からない。
美樹は香織の耳元に口を寄せて二言、三事囁きかけると手にもったグラスを香織に見せる。香織はグラスの中のものを確かめると微笑しながら頷く。
「お前たち、素敵な贈り物を上げるわ。お前たちの破廉恥な姿を見ながらある殿方が出してくれたものよ」
香織の言葉が終わると美樹が2人の前に進み出てグラスをしのぶと裕子に突き付ける。その独特の匂いからグラスの中の白いどろっとしたものが何であるのか覚った2人は、眉をしかめて顔を背ける。

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