第99話 崩壊への序曲(7)

「あっ、ああっ……お尻を……お尻を虐めるのは許して……あっ! 飯島先生っ、そ、そこは……お願い……鎖を、鎖を引かないで……ああっ! き、貴美子、おかしくなっちゃうっ!」
あの勝ち気な貴美子がなよなよと腰を振り、まるで嗜虐者に媚を見せるような風情で身悶えし、許しを乞うている。貴美子がこれほど堕ちるまでにはどれほどの苛酷な責めが加えられたのだろうか。そのことに全く気づかなかった裕子は今更ながら自分の迂闊さを呪うのだ。
「可愛い顔に似合わず、すっかりケツの穴を開発されているじゃねえか」
「あっ、あっ! ゆ、許してっ」
今度は里佳子の悲痛な叫び声が響き、裕子は中学3年になったばかりの次女に目を向ける。瀬尾に肛門をいたぶられながらクリトリスに繋がれた鎖を美樹に引かれて、涙を噴きこぼしている娘の哀れな姿に、裕子は心臓を抉られるような思いがする。
しばらく前から里佳子の様子がおかしいと、貴美子がしきりに訴えていたことがあった。しかしながら裕子は次から次へと我が身に降りかかる苦難に耐えるのに精一杯で、里佳子にきちんと対応することが出来なかった。まさか母親と並行して里佳子が、自らがPTA会長を務める東中の教師によって調教され、おぞましいレズビアン奴隷への道を歩まされていたとは――。
「脇坂さん、ちょっと鎖を引くのを代わってちょうだい」
「わかった」
裕子の肛門責めを佐藤に譲り、手持ち無沙汰をかこっていた脇坂は喜色を浮かべ、裕子の花芯に繋げられた金の鎖を受け取るとさっそくクイ、クイとリズミカルに引く。
裕子は自分の愚かさを自ら罰するように、脇坂による責めの中に身を投げ出して行く。脇坂によって引っ張られるその部分は痛みというよりも、身体の奥がジーンと痺れるような切なさを伴った疼きになっていくのだ。
「あっ、あっ……」
脇坂が鎖を引く度に裕子があげる小さな悲鳴は徐々に艶っぽい響きを帯び始める。
衆人環視の中で素っ裸で佐藤に肛門を嬲られ、脇坂にクリトリスを嬲られる裕子の神経は次第に麻痺し、露出と被虐の荒波に翻弄されている裕子の心は夢幻の世界へと彷徨い出す。被虐性の快美感の中で裕子はいつか見た悪夢を思い出していた。
素っ裸の裕子がやはり母親同様全裸の貴美子と里佳子と並んで、無数の触手に激しく犯されながら、苦痛と喜悦を訴える声を交互に張り上げている。
貴美子の若々しくしなやかな肉体と、里佳子の幼さの残る新鮮な肉体が、気味の悪い触手に絡み付かれて激しく跳ね踊るのを見せつけられながら、自らのあらゆる官能の源泉が触手に捕らえられ、犯される――その悪夢が今まさに現実のものとなったのだ。
「なんだ、すっかり濡らしているじゃねえか。ええ、奥さん」
裕子を背後から抱えるようにして、粘っこい弾力を示し始めた菊の蕾をいたぶっている佐藤は、前部の秘園から豊かな愛液が流れ出してくるのに気づき、淫靡な笑みを浮かべる。佐藤は空いた手の指先を裕子の蜜壷の中に指し入れ、こね回すようにするが、裕子は「ああ……嫌……」と小さく呻き声をあげ、なよなよと腰を振るようにしているだけである。
「お待たせしたわね。それじゃあクイズの続きを行くわよ。肛門性交のことを英語で何というか?」
「え、ええっ?」
いきなりクイズを再開され不意打ちを食わされた裕子は戸惑いの声をあげる。
次は誰の番だったかしら。そ、それより質問は何だったの? ああ――早く答えないと10秒経ってしまう――。
「……ア、アナルセックス」
裕子が逡巡しているうちに里佳子が口ごもりながら答える。里佳子がそんな卑猥な言葉を発したことに裕子は衝撃を受ける。
「何、なんていったの? 聞こえなかったわよ」
美樹が口元に冷酷な笑みを浮かべながら、手にもった細い鎖をくい、くいと引く。その度に美少女の敏感な木の芽に激しい痛みが走り、里佳子の喉からくぐもった悲鳴が漏れる。
「いつも先生の家じゃあもっとはっきりと答えているでしょう。みんなに聞こえるような大きな声で答えなさい」
「ああ……」
里佳子はあまりの羞恥と屈辱に真っ赤に染まった顔を伏せる。
次に答えなければいけないのは自分だと、夢中になってそんな言葉を口にした里佳子だったが、中学3年の少女がどうしてそのような卑猥な単語を知っているのかと、集まったギャラリーは不審に思わないか。
里佳子は自分が蓮っ葉な不良少女だと思われることが、素っ裸を晒しているのと同じように、いや、それ以上に辛く思えるのだ。
「ほらほら、お嬢ちゃん。ここんとこを使ってやるセックスのことだよ。先生に言われた通り大きな声で言わないか」
瀬尾は人差し指の第一間接まで里佳子の狭隘な菊の蕾に指し入れ、ゆるやかな抽送運動を開始する。
「あっ、ああンっ……」
すると美少女の新鮮な肛門は無意識のうちに、瀬尾のいたぶりに呼応するかのように節くれだった指にリズミカルな収縮を伝え始め、瀬尾はそれだけで天にも昇るような心地になるのだった。
「そうそう、お嬢ちゃん、なかなか素質があるじゃねえか。そんな風にケツの穴を使って締め付けてやれば、男は有頂天になるぜ」
「あっ、ああンっ! やっ、やめてえっ!」
美樹にクリトリスを引っ張られ、瀬尾に肛門をほじくられ、敏感な二か所を散々いたぶられている里佳子は、次第に脳乱の極致に達して行く。
「里佳子っ」
3人の中央に立たされて、飯島と朽木に前後の急所を嬲り抜かれていた貴美子は、妹の悲鳴を耳にしてはっと我に返る。
「さ、里佳子、いいなさい。いうのよ!」
美樹はそう言うと、犬の首輪に取り付けられた鎖を引くように里佳子の鎖を引く。里佳子は再び「ううっ!」とうめき声をあげ、熱い涙を噴きこぼす。
「あ、アナル……」
「アナルセックス!」
再び里佳子が口を開きかけた時、それを遮るように貴美子の声が響いた。同時に貴美子の股間に電撃のような痛みが走る。
「ヒイっ!」
クリトリスが引き抜かれるような痛みにしなやかな裸身をのけぞらせる貴美子。
「貴美子っ!」
裕子は再び悲痛な叫び声をあげる。香織はそんな貴美子と裕子に交互に冷たい視線を向ける。貴美子ははあ、はあと荒い息を吐くと、香織に対して挑戦的な目を向ける。香織は貴美子の視線を跳ね返すように真っすぐ顔を向け、ニヤリと笑って口を開く。
「女の恥骨直下の小前庭腺付近の性感帯のことを何というか」
「Gスポット!」
再び貴美子の声。その直後に先ほどよりも1オクターブ高い悲鳴が貴美子の喉から迸る。
「貴美子っ、やめてっ! やめなさいっ」
「平気よ……お母さん……これくらい」
貴美子は微かな笑みを浮かべて母親を見る。
「私はもうどうなっても……どう思われてもいいの」
貴美子は長い髪をさっと振るようにして、再び香織の方を向く。開き直ったような貴美子の態度に香織は一瞬やや気圧されたような表情になったが、すぐに元の平静さを取り戻す。

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