第103話.崩壊への序曲(10)

「まだ気をやれないの? お坊ちゃん。みんな待ちくたびれてるわよ」
香織が健一に近寄ると、半勃ちになった肉棒を楽しげにつつく。里佳子がミニバンに収容されたことで手持ち無沙汰になった美樹も健一の内腿をつねりながら叱咤する。
「ほらほら、健一君。男の子らしくもっと元気を出さなければ駄目じゃないの」
そういって2人の悪女は顔を見合わせ、ケラケラと笑いあうのだ。
健一は香織と美樹に肉棒をつつかれ、腿をつねられ、尻を叩かれながら全裸のまま衆人環視の中でオナニーを強いられるという言語を絶する屈辱に頭の中は真っ白になり、羞恥に染まった顔を左右に振りながら、悲しげなすすり泣きの声を上げているのだ。
その姿はギリシア神話を題材にした彫刻のようであり、誠一によってすっかりホモの快楽を仕込まれた美少年の妖しい姿態に、その気のない観客たちもすっかり引き込まれている。
「ああ……む、無理ですっ!」
あせればあせるほど射精感は遠ざかって行く。健一はそんなことを口走り、半勃ちの肉棒を振り立てながら女達の玩弄から逃れようとする。
「駄目、最後までイクのよ」
「早くしないと通学時間になっちゃうわよ。同級生の前でオチンチン丸出しの恥ずかしい姿を晒したいの?」
女達は残酷な笑みを浮かべながら健一を叱咤するのだが、健一の肉棒が徐々に下降し始めるのを見ると「しょうがないわねえ」と舌打ちする。
健一にはそう脅したものの、そろそろ撤退しないと危険である。ギャラリーはどんどん増えてきており、不審に思った住人に警察でも呼ばれるとやっかいなことになる。
「それじゃあ、ユウコ1号と向かい合わせましょう、脇坂さん、佐藤さん、手伝って」
「よし」
香織の呼びかけに脇坂と佐藤が裕子に手をかけ、裸身を健一に向けさせる。一方、健一は美樹と誠一が2人がかりで身体の向きを変えさせ、これも裕子に向けさせる。
「さあ、残った2人でしっかりお見合いするのよ」
香織の指示に裕子と健一は一瞬目を合わせるが、すぐに頬を赤らめさせて顔を俯ける。裕子はもちろん里佳子のボーイフレンドであり、親友のしのぶの息子である健一はそれこそ中学に入学する前から知っている。
ついこの前まで子供らしい元気な挨拶をしてくれていた健一が、大人顔負けの雄渾をだらりとぶら下げた生々しい裸身を晒している――裕子は見てはならないものを見たとでも言わんばかりに顔を背け、少女のように頬を染めているのだ。
「50本以上のチンチンをくわえ込んだ淫乱女が、なにをいまさら純情ぶっているのよ。しっかりと健一のチンチンを見るのよ」
香織は裕子の逞しいばかりに張り出した臀部をパシンと平手打ちする。
「健一君も裕子おば様のおマンコから目をそらせちゃあ駄目よ、いいわね?」
美樹に指示された健一はこくりと頷くと顔を上げる。再び裕子と健一の涙に濡れた目が一瞬交錯するが、2人は互いの視線を避けるように、言われた通り相手の恥部に目を向けるのだ。
すっかり陰りを失った裕子のその部分は、充血した小陰唇が肉裂から生々しくはみ出している。動物的な印象さえ受ける裕子の女陰は里佳子のそれと同じ器官とはとても思えない。むしろ先程目にした母のその部分と同様、野性味と母性が同居しているようで、健一の視線をしっかりととらえて離さないのだ。
力を失っていた健一の肉棒がゆっくりと首をもたげ始めるのを見て、美樹は手を叩いて笑い出す。
「まあ、ユウコ1号のおマンコを見て、健一君のチンチンが元気になり始めたわ」
「ああ……」
英語教師にからかわれながら健一は、口惜しげに唇を噛む。しかし確かに美樹に指摘された通り、今まで力を失っていたその部分が裕子の女陰を見せつけられることによって回復してきたのは事実なのだ。
(健一君……)
男の身で大勢の前で丸裸に剥かれ、淫らなからかいの言葉を浴びている健一の辛さを思うと、裕子はたまらない心の痛みを感じる。しかし一方で若々しい肉棒が自分の肉体に反応して欲望の徴を露わにするのを見ていると、身体の裡がなんとも妖しく騒ぎだすのは確かなのだ。
(ああ……なんと淫らな……)
女になったことか、と裕子は自らの変化に慄然とする思いである。そんな裕子の背後に立った香織が耳元に囁きかける。
「健一を誘惑するのよ」
「え……」
裕子は戸惑いの表情を香織に向ける。
「このままだと通学時間になって、あなただけじゃなく健一も大変な恥をかくことになるのよ。早くとどめを刺して上げなさい」
「でも……」
いったいどうすれば良いのか。息子ほどに年の離れた少年を誘惑する手管など、自分は持ち合わせていない。
「いい年をしてカマトトぶっているんじゃないわよ。やり方が分からない訳じゃないんでしょ」
香織は裕子の尻をパシンと平手打ちする。
「年が離れていても男と女ってことには変わりないでしょ。健一を自分の恋人だっていう風に想像するのよ。わかったわね」
「わ……わかりました」
確かに香織の言うことを聞かないとこのままでは2人とも大変な恥をかくことになる。東中のPTA会長と、東中きっての美少年が青天井の下、素っ裸のまま向かい合ってオナニーをしているところを学校の関係者に目撃されたら、裕子も健一もこの街で暮らして行くことなどできないだろう。
「け、健一君……お、おばさんの方を見て」
裕子はようやく、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで口を開く。
「もう……おばさんなんて色気のない言い方ね」
「いや、案外その方がリアルでいいみたいよ」
香織が嘆くように言うのに美樹が答える。
確かに健一は裕子の声に、自分が見つめているものがガールフレンドである里佳子の母親の秘部であることを改めて意識させられて、はっと顔色を変え、あわてて顔を背けようとするのだ。
「だめよ、しっかり見なくちゃ」
美樹が健一の柔らかい尻の肉をつねり上げる。裕子のその部分に再び目を向けた健一の肉の砲身が確実に仰角を増していくのを見た誠一が、からかうように筒先に指を触れさせる。
「ほう、随分元気になったじゃないか」
健一は嫌々をするように軽く腰を振るが、その度に肉棒がゆらゆらと揺れるのが滑稽なのか、香織と美樹は同時にぷっと吹き出す。
「ほらほら、健一君がユウコ1号のために、あんな風にチンチンを振り立てて誘惑しているじゃない。あなたも負けないでもっと淫らな演技をするのよ」
「わ、わかったわ」
裕子は頷くと、まるで催眠術にかけられたように、自分でも思いがけないほど淫らな気持ちが湧き起こり、健一の動きに合わせるようにゆらゆらと腰を動かせる。
「う、嬉しいわ……健一君……こんなおばさんの裸を見てそんなにオチンチンを大きくしてくれたのね」
そんな自分の言葉に煽られたように裕子の身体は上気し、両肢は自然に大きく開き、半開きになった口からは「ああ……」と溜め息に似た声が漏れる。

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました