第117話 酒の肴(4)

脇坂の言葉に赤沢が「俺だってそうですよ」と頷く。
「俺は大きな声じゃ言えないが痴漢が趣味でね。何度も捕まったがそのたびにのらりくらりと言い逃れてなんとか送検を逃れている。しかしこればっかりはやめられないんだ。盗撮や痴漢で大学教授の地位を棒に振った馬鹿がいたが、その気持ちはよく分かる」
「そうそう」
脇坂が言葉を続ける。
「しかし、この街で俺がささやかな趣味を満足させようとした時、いつも邪魔をしてきたのがこの娘の母親だ。自治会の元副会長やPTA会長、それに大学講師とAニュータウンきってのインテリであることを笠に着て俺達を押さえにかかる」
「しかし、その女が朝っぱらからビキニのジョギング、公園でのオナニーショーを演ずるだけでなく、吉原のソープで客を取るまでに落ちたとなれば、もう怖いものはいない。Aニュータウンは盗撮天国、痴漢天国になるってわけだ」
赤沢も脇坂に調子を合わせる。
「それはちょっと大袈裟では?」
かなり酒の回った桑田だがさすがに脇坂と赤沢の言葉に首をかしげる。
「ちっとも大袈裟じゃないわよ、桑田先生」
美樹が婉然とほほ笑みながら、手に持ったグラスを桑田のグラスにカチンと触れさせる。
「私だって前の学校で果たせなかった少女専門のレズビアン、そしてサディストとしての望みを、ようやく実現させようとしているのよ。里佳子というベストパートナーを見つけてからわね」
美樹は桑田に顔を近づけ、妖しく光る目で覗き込むようにする。
「桑田先生のスパンキング趣味は、体罰に厳しい今の風潮では現実の世界で発揮させるのは厳禁。せいぜい高いお金を払ってプロのSM嬢相手に、真似事めいたことをするしかないんでしょう。本当に教室の中で女の子のお尻を叩いたりしたら、PTAや教育委員会が黙っていないでしょうからね」
「あ、ああ……」
桑田は美樹に気圧されたように頷く。
「でも、これからはそれが出来るのよ。試しに明日、この里佳子を教室の中でお尻を丸出しにさせて、思い切りぶってみない? 先生の夢なんでしょう?」
「し、しかしそんなことをしたらPTAが……」
「先生、もう忘れちゃったたの? だいぶお酒が回っているようね」
美樹はくすくす笑いながら桑田の肩をつつく。
「東中のPTA会長は、隣のボックス席でつるつるになったおマンコを丸出しにして、自治会のオバサンたちにお仕置きを受けている女、里佳子の母親の小椋裕子よ」
「あ……」
初めて腑に落ちたように、桑田の酒に濁った目が輝く。
「ね、先生。やっちゃいなさいよ。遠慮することはないわよ」
ボックス席で脇坂と赤沢に挟まれ、裸身を撫で回されている里佳子をちらとみながら、美樹は桑田をけしかける。
「里佳子、あなた明日の『かおり』のショーはなんだかわかっているわね」
「は、はいっ」
いきなり美樹に問いかけられた里佳子は身体をビクッと震わせて答える。美樹による数日にわたるレズビアン調教で、里佳子にはすっかり美樹に対する屈服心が刷り込まれているのだ。
「分かっているなら言ってご覧なさい」
「はい……」
里佳子は肩を落とし、声を震わせる。
「あ、明日は、り、里佳子の処女喪失ショーをお客様にご覧にいれることになっております」
里佳子が小さな声だがそうはっきり口に出したので、桑田は驚く。
「そう、それなら今夜が里佳子の処女としての最後の夜という訳ね」
「はい……」
さすがにあまりの屈辱が身に染みたのか、里佳子は肩を震わせてシクシク泣き始める。
「泣くんじゃないわよ! うっとおしい」
美樹が叱咤すると、里佳子はビクッと身体を震わせて顔を上げる。
「脇坂さん、今日もカメラは持って来ているの?」
「当たり前だ。さっきも3人の剃毛ショーやツルマンの開陳シーンをしっかり撮らせてもらったぜ」
飯島は一眼レフのデジカメを鞄から取り出し、自慢げに見せつける。
「それじゃあ、この娘の処女膜を記念に撮って上げてよ」
「え、ええっ!」
美樹のとんでもない言葉に里佳子は驚愕する。
「明日も同じポーズで撮って、比べることが出来るようにするといいわ。14歳の少女の処女喪失前と喪失後ってね。そんな写真、滅多に撮れないわよ」
「そりゃそうだ。よし、赤沢さん、桑田先生、その娘の身体を押さえて、股を思い切り開かせてくれ」
「よし来た」
赤沢と桑田が里佳子の足を抱えるようにする。あまりのことに里佳子は甲高い悲鳴を上げ、男たちの手から逃れようと必死で悶える。
「や、やめてっ、あ、あんまりですっ!」
「おとなしくしろっ!」
桑田の平手打ちが里佳子の太腿に飛ぶ。ピシャリという打擲音が店内に響き渡り、隣のボックス席で裕子をいたぶっていた文子と良江が何事かと振り向く。
「あらあら……娘さんが大変な目にあっているわよ。放っておいて良いの?」
里佳子が2人の男によって大股開きのポーズを取らされ、美樹に指先で膣口を開かれて極限の羞恥に号泣しているのを見た裕子は「り、里佳子っ!」と悲鳴のような声を上げる。
「まあ、処女膜チェックですって。凄いことを考えたものね」
「確かにあんたのような淫乱女の娘なら、処女膜の確認くらいしておいた方がいいわよ」
裸身を必死で悶えさせる裕子を文子と良江は馬鹿力を発揮して押さえ込む。裕子は助けを求めるように貴美子の方を見るが、貴美子は長岡と酒田にまとわりつかれ、粘っこい二箇所責めを受けながら喜悦の悲鳴を上げているのだ。
「どう? こうやって同性に愛される気分も悪くないでしょう」
酒田が剥き出しになった貴美子の花蕾の先端をゆっくりと揉み上げながら、貴美子の耳元に囁きかける。急所を封じ込まれた格好の貴美子からは、持ち前の勝気さや反撥心はすっかり影を潜め、しくしくと甘い啜り泣きを漏らしているだけだった。
「これからは私たちが貴美子の同性愛のお姉さまになってあげるわ。他の人がいないときは私たち2人のことを『お姉さま』と呼ぶのよ。いいわね?」
「わ、わかりました……お姉さま」
長岡に隠微な穴を責められながら貴美子はついに屈服の声を上げる。白いうなじを見せて顔をのけぞらせ、「ああっ」と溜息のような声を上げている貴美子を見る裕子の目が絶望の色に染まっていく。
「長女のほうはすっかりレズが気に入ったようよ」
文子が再び裕子に囁きかける。その時ステージが再びスポットライトに照らされ、龍のバリトンのアナウンスが店内に響く。
「お待たせしました。それでは本日のショーの第二部の開演です」
観客の歓声に迎えられてステージに現れたのは、女王様風のボンデージ衣装に身を固めた加藤しのぶである。

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