第149話 牝獣たちの狂宴(6)

「でもその日、痺れ薬を混ぜたお酒を飲まされ、動けなくなったところをいきなり素っ裸にされて柱に縛り付けられ、バイブを使って責められました」
「SMクラブの客に見られながら気をやったのね?」
「はい……」
摩耶は再び頷く。
「高畑さんは約束どおり私にライターとしての連載の仕事をくれました。それをきっかけに他からも仕事の注文が入るようになりました。だけど……」
「だけど、どうしたの?」
圭子がたずねると摩耶はしばらくためらっていたが、やがて再び口を開く。
「その一方でSMクラブの体験取材もシリーズ化すると言われました。最初の物がすごく好評だったから、稿料も普通の記事の3倍出すと。私は必死で断ったんですが、そのクラブで裸の私がバイブで責められて気をやっている写真を見せられて……」
「引き受けたのね?」
「はい……別ペンネームの体験取材記は月1回、半年続きました。私は毎月のようにローソクで責められたり……剃毛されたり……浣腸されてみんなが見ている前で排泄させられたりしているうちに、段々それが楽しみになるような、不思議な気持ちになってきました。それで体験取材記の連載が終わっても、月1回の打ち合わせの後、高畑さんに誘われるまま彼の調教を受け、抱かれました」
「高畑って男との関係はどれくらい続いたの?」
「さ、三年と少しです……このままでは自分がおかしくなると思って、私から一年前に終わらせました。彼も家庭があったし、関係もマンネリ化していたので、特に後腐れもありませんでした」
「なんだ、岡部さんったら、調教済みのマゾ奴隷だったんだ
「それなら遠慮は要らないわ」
圭子と春美は再び顔を見合わせてくっ、くっと笑いあう。
「岡部さん、これからは私たちがその高畑って男の代わりに、あなたのご主人様になってあげるわ」
「どう? またマゾ奴隷の生活に戻れて、嬉しいでしょう?」
「あ、ああ……」
摩耶は引きつった表情を圭子と春美に向ける。その時限界に達した赤沢が摩耶の尻をぐいと突き上げる。直腸の中に一年ぶりに精を浴びた摩耶は「ああっ、い、いくっ!」と声を上げて絶頂に達する。

「ああ……あっ……はっ、はあっ……」
山崎奈美は夫にも許したことのないお尻の処女を、PTA役員たちの間では盗撮魔として有名な脇坂に蹂躙されている。通常時の奈美の神経ではとうてい耐えられない汚辱だが、薬とアルコールの影響ですっかり自分を失ってうわ言の様な言葉を吐き続けている奈美は、脇坂の動きにむしろ積極的に答えるように丸く形の良い尻を淫らに蠢かせているのだ。
「どの女も普段は貞節そうな顔をしていても、叩けば埃が出てくるもんだな」
そんな奈美の痴態を眺めながら、黒田が香織に話しかける。
副会長の山崎昌子は息子との近親相姦、書記の長山美智恵は義弟との不倫、そして総務の岡部摩耶はSM調教──どれもが薬とアルコールの影響で精神的抑制が外れた状態での告白であり、すべてを信用するというわけにもいかないが、それだけにまったく根も葉もないこととも思えない。
「人間誰でも一つや二つは人に知られたくない秘密はあるものよ」
「それはそうだが……」
裕子のシンパの4人の役員たちが、いかにも良家の奥様ぞろいといった感じの人妻ぞろいだったため、彼女たちの背徳的な素顔にはさすがの黒田も意外の表情を隠せない。
「これまで夫一筋だった裕子やしのぶがむしろ珍しいのよ。黒田さんの人妻に対する幻想が崩れちゃったかしら?」
「うーん」
黒田が首をひねり、脇坂に肛門を貫かれて「ああっ、ああっ」と少女のような喘ぎ声を漏らしている奈美を眺める。
「この奥さんくらいかな? 本当の清純派は」
「さあ、どうかしら」
香織は奈美にちらと目をやると、集会室の中央で素っ裸のまま両腕を頭の後ろで組み、腰を卑猥に前後に動かしている小椋裕子に視線を移す。
「さぼらないでもっと腰を動かすのよっ!」
香織はつかつかと裕子に歩み寄り、逞しいばかりに張り出した尻を思い切り尻をひっぱたく。
「も、申し訳ありませんっ!」
裕子は悲鳴のような声を上げ、腰の動きをいっそう激しくする。
裕子は金色のリングで絞り出されたクリトリスに結び付けられた紐の先に、さきほど4人の女たちの浣腸に使用したシャンパンの空瓶を吊るし、振り子のように前後に振り回しているのだ。
「ほらほら、もっと激しく、ブンブン瓶を振り回すのよっ!」
「うっ、ううっ……」
その部分が千切れそうな痛みに裕子は顔をしかめながら、香織に強制されるまま瓶吊り踊りの芸を演じるのだ。
「そんな景気の悪い顔をしているんじゃないわよ。見ていて面白くないじゃない」
香織は裕子の尻を再び平手打ちする。
「そうだ、どうせなら歌でも唄いながら腰を振りなさいよ。以前温泉のお座敷ストリッパーが軍歌を唄いながら瓶吊り踊りをして、お客様の喝采を受けたのを見たことがあるわ。そう、こんな風に唄うのよ」
香織はそう言うと「露営の歌」の一節を口ずさむ。
辛そうに聴いている裕子の尻を、香織は再びピシャリと叩く。
「何を嫌そうな顔をしているのよ」
「だって……軍歌だなんて……あんまりです」
裕子は顔を背け、小さな声で抗議する。
年齢的にも戦後民主教育の申し子であり、進歩的知識人の一人を任ずる裕子は、学生時代から筋金入りの平和主義者であり、軍国主義的な色彩のものは大袈裟でなく蛇蝎のように嫌っている。安っぽい郷愁から酒を飲んでは軍歌を唄う裕子の父親ほどの年齢にあたる世代や、戦争の実体験がないのにもかかわらずただのファッションとして軍隊調のものに憧れる若い世代は、裕子が忌み嫌うところであった。
「あら、反抗するつもりなのかしら? いい度胸をしているわね」
香織は冷たい目で裕子を睨みつけると尖った乳首をひねる上げる。
「ああっ!」
敏感な箇所に激痛が走り、裕子は悲鳴を上げる。香織はポケットから小さなナイフを取り出し、裕子の乳首に当てる。
「ここんところを一つ、切り落としてあげようか? ええ? 男に吸われる以外はもう用はないものだろう」
「や、やめて……」
「奴隷の中に乳首を一つちょん切られた女がいれば、他の奴隷たちに良いみせしめになると思わないか?」
「い、嫌っ……ゆ、許して」
香織の突然の変貌を見た裕子は恐怖に震え上がる。
「お、おっしゃる通りにします……しますから、許して……き、切らないで」
裕子が屈服するのを見た香織はニヤリと笑うとバッグからポータブルMDプレイヤーを取り出し、裕子の首にかけ、イヤホンを耳の中に装着させるとスイッチを入れる。

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