「これでたっぷりたっぷり一升(1.8リットル)注ぎ込んでやったわ」
圭子と春美は満足げに笑いあう。
「あ、ああ……」
摩耶の腹部は日本酒を一升瓶一本分を注入されたバルーンのせいでぷっくり膨らんでいる。圭子は妊婦のように変貌した摩耶の腹を撫でながら、満足げに微笑む。
「それじゃあ、ゆっくり人肌になるまで暖めるのよ。いいわね?」
「う、うう……」
もはや口も利けないほどの状態になっている摩耶は、がくがくと必死で顔を上下させる。
薬とアルコールで訳がわからなくなっている中でかつて不倫相手からSM調教を受けたことを告白させられた摩耶に対しては、調教済みのマゾ奴隷ならば遠慮は無用とばかり、特にハードな責めが加えられることになったのである。
圭子と春美によってその奇妙な浣腸を施され、腹の中で酒を暖めるよう命じられた摩耶は、腸の中でバルーンが破れ急性アルコール中毒になるのではないかという恐怖におびえながら、圧迫感で腹が裂けそうになりそうな苦痛を必死で耐え抜く。そしてその後、素っ裸のまま「人間酒樽」として文子や黒田たちにサービスすることを命じられるのだ。
「屁こき女の摩耶ちゃーん、こっちにもお酌して」
「は、はいっ!」
屈辱的な名で良江に呼ばれた摩耶はそれこそ「屁っ放り腰」のまま必死に肛門を締めながら歩き、赤沢が差し出す枡に向かって尻を突き出す。
「お、岡部摩耶、37歳、慎んでお酌させていただきます……」
薬とアルコールのせいで羞恥心の箍がほとんど外れたかのように摩耶は尻を思い切り突き出すと、肛門に入れた力を緩める。たちまち摩耶の尻の穴から透明な日本酒が噴出し、枡の中を満たしていく。
(ああ……気持ちいい……)
腹部の圧迫感が解消されていく快感、惨めという言葉では表現出来ないほどの究極の汚辱が摩耶の中で妖しいまでの被虐の悦びへと転換されていく。
「ストップ!」
赤沢に尻をひっぱたかれ、摩耶は慌てて肛門を引き締めるが、いったん流れ出した日本酒は止まらず、良江が差し出した枡からあふれ出る。
「あっ! だ、駄目っ!」
勢いよく吹き出す日本酒を摩耶は止めることが出来ず、激しく狼狽える。
「赤沢さんがストップ、って言っているでしょう。早く止めなさいよ」
「ほんと、まったく締りのないお尻ね」
文子と良江があざ笑いながら摩耶の均整の取れた尻を交互に平手打ちする。
「ご、ごめんなさいっ! 摩耶のお尻は締りのないお尻ですっ」
あまりの屈辱に訳がわからなくなった摩耶は、尻を叩かれながらすすり泣き、詫びの言葉を吐き続ける。文子と良江はそんな摩耶の耳や髪を引っ張ったりしながら、さらなる屈辱の言葉を吐かせるのだ。
人間酒樽に変身した岡部摩耶から酌を受けながら、黒田や文子たちは集会室中央で3人の熟女による奇妙な踊りを見ながら笑い、手を叩き合っている。
MDラジカセから流れる軍歌にあわせて、瓶吊踊りを披露しているのは小椋裕子、池谷昌子、そして長山美智恵の3人だった。
いわゆる「PTA3役」の3人の人妻は、会長──今は正確には「前会長」だが──の裕子を中央に、副会長の昌子がその左側、書記の美智恵が右側という、役員会そのままの順番で並び、その卑猥な踊りを演じているのだった。
「池谷さん、もっと激しく瓶を振るのよ」
「長山さん、腰の振りが小椋さんに負けているわよ!」
圭子や春美がキャッ、キャッと笑いながら3人の役員たちに黄色い野次を飛ばす。
4人の新しい生贄達がアナルを犯されている間中、瓶吊り踊りの調教を強いられていた裕子は、なんとか女の花芯にくくりつけられた空瓶を振り回せるようになっていた。しかしマゾ奴隷として調教を受けることそのものが初体験である昌子と美智恵の動きは、裕子に比べるとぎくしゃくしている。
投与された媚薬、合法ドラッグ、そして覚醒剤の影響により夢の中を彷徨うような状態でアナルを犯され精神的抑制が外れた状態で、これまでずっと他人には秘していた禁断の関係を告白させられた昌子と美智恵だったが、今はその時からは幾分自意識を取り戻して来ている。
しかし、それだけに恥ずかしいなどという言葉では表現出来ないような究極の汚辱の芸を強制されている2人の自尊心はずたずたに傷つけられていた。また、投与された薬物のせいで麻酔が効いたようにはなっているものの、女のもっとも敏感な箇所を無理やり引き伸ばせる苦痛は耐え難く、昌子と美智恵の腰部はじーんと痺れたようになっている。
「準備運動はこれくらいで良いわ。裕子、これからはおまえが先生役として他の2人を指導しなさい」
「は、はい……」
香織に命じられられた裕子はクルリと反対方向を向くと、昌子と美智恵の2人と向かい合う。昌子は無毛の恥丘から金色のリングでくびりだされた裕子のクリトリスが、くくりつけられたシャンペンの空瓶の重さでだらし無く伸びきっているのを見て思わず顔を背ける。
「しっかり指導しないと……わかっているわね」
「は、はいっ。わかっておりますわ」
香織に耳元で囁かれた裕子は慌てて返事をする。さきほど、奈美や昌子たちのマゾ奴隷化のための調教に協力することを約束させられたのだ。さもなければ裕子の片方の乳首は即座に切り落とされ、さらに昌子、美智恵、摩耶、そして奈美の娘たちが新たに奴隷の列に加わることになる。
「池谷さん、長山さん、いい、私のやり方をよくご覧になって」
裕子は昌子と美智恵の顔を交互に見ると両腕を頭の後ろで組み、大きく両肢を開いてぐいと腰を落とす。
「ね、ねえ、池谷さん、長山さん、び、瓶吊り踊りとはこんな風にやるのよ。ご覧になって──」
裕子はそう言うと、2人の友人がびっくりするような大きな声で、有名な『露営の歌』を歌いだす。
勝ってくるぞと 勇ましく
誓って故郷(くに)を 出たからは
手柄立てずに 死なりょうか
進軍ラッパ 聞くたびに
瞼に浮かぶ 旗の波
行進曲調の軍歌に合わせて裕子が勢いよく腰を振るたびに、クリトリスにぶら下げられたシャンパンの瓶がブンブン振り子のようにゆれる。裕子の女優を思わせる美貌だけでなく、大学の国文学講師まで勤める知性と教養に尊敬の念さえ抱いていた昌子と美智恵は、そのあまりの転落振りに目を見張る。
土も草木も 火と燃える
果てなき曠野 踏み分けて
進む日の丸 鉄兜
馬のたてがみ なでながら
明日の命を 誰か知る
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