第153話 母娘舌奴隷(1)

そんな新住民の一人であるしのぶがめんどりの鳴き真似をしながら秘奥に含んだ卵を腰をくねらせて産み落とすという卑猥な芸を身につけていることが痛快でならないのだ。
「コケッコ、コケッコ!」
しのぶの秘奥からゆで卵がポロリとひり出され、尻の下に置かれた籠の中に落ちる。そこでまた圭子たちはどっと笑いこけるのだ。
圭子や春美の嘲笑を浴びながら、しのぶは再び朽木に卵を呑みこまされている。
「ね、ねえ、山崎さん、要領はお分かりかしら? 今度は私と一緒に、タイミングを合わせながら卵を産みましょう」
しのぶはそう言うと「ココ、コケッコ」と鳴き声を上げて尻を振る。
「何をぼんやりしているの、先輩のめんどりがああやってせっかく要領を教えてくれているのよ」
奈美はしばらく呆然として、卑猥な芸を演じるしのぶを見つめていたが、やがてしのぶの姿が鏡に映る己のものであるかのように「コケッコ、コケッコ」と声を上げながら腰をくねらせ始めるのだった。

A工業高校野球部の奥の小部屋のドアには「特別慰安室」とワープロで大きく印字された白い紙が貼られており、その前では汗くさい野球部員たちが10人も列を成している。紅白戦形式で行われた今日の練習で勝利を収めた白軍のメンバーたちである。
これまで野球部員たちは無気力でやる気がなく、試合形式の練習を行っても勝利への闘志など微塵も見せてこなかった。しかし今日の練習試合では両軍とも監督である飯島が驚くほどの闘志を見せ、白熱した戦いを演じたのである。

試合開始にあたって、勝利者に対する褒美の内容が顧問の飯島から説明された時、若い性欲を持て余している部員たちからわっと歓声が沸き起こった。勝ったチームに対して与えられる褒美は、野球部のマネジャーになったばかりの美人女子大生、小椋貴美子によるフェラチオの奉仕だと飯島が告げたのである。
しかし、次の飯島の言葉を聞いた途端、部員たちの間に微妙な空気が流れた。
「なお、なにしろ数が多いため、半分は貴美子の母親が手伝うことになっているからそのつもりでいろ」
「ええっ」
頓狂な声を上げたのが、レギュラーでショートを守る荒木満である。
荒木は一見ネズミを思わせる顔立ちをしているが、動きもすばしっこく、内野守備の要ともいうべき腕前である。新也や正明の不良仲間でもある。
「貴美子の母親ってことは、もう40過ぎているんじゃないですか」
「貴美子、いくつだ?」
飯島が露出的な服装のまま部員たちの前に晒されている貴美子にたずねる。
「……42歳です」
貴美子の答えに、再び荒木が頓狂な声を上げる。
「俺のおふくろと同じですぜ。どうして40のババアにチンポをしゃぶられなきゃならないんだ。俺は絶対貴美子の方にしてくださいよ」
「注文をつけるのは勝ってからにしろ」
「なんだって、監督。俺達レギュラーが負けるとでもいうんですか」
荒木が目を三角にして抗議する。
「満、監督の言う通りだ。ガタガタ文句を言うのは女を見てからにしろ」
新也がぴしゃりと決めつける。
「なんだい、新也。貴美子の母親を知っているのか?」
「ああ……」
新也はうなずくと、正明と意味ありげな視線を交わす。
「正明も知っているのか? ええ、どんな女だ、教えろよ」
満がじりじりする様な顔で瀬尾正明に尋ねる。
「試合を始めるぞ。用意しろ」
飯島の掛け声に部員たちは「おすっ」と声を上げると、グラウンドに散っていった。

主将兼ピッチャーである佐藤新也率いる3年生のレギュラー中心の白軍に対し、2年生、1年生で編成された紅軍はがほぼ互角に戦った。7回制の紅白戦で6回終了までで4対3とリードされていた紅軍は新也の四球と暴投、そしてそれに続くタイムリーヒットでいったん逆転し、レギュラーたちの顔色を青ざめさせた。9回裏にチームの主砲である坂東のホームランによりどうにかサヨナラ勝ちとなったが、白軍にとってはまさに薄氷を踏む思いの勝利であった。
小椋裕子が素裸の上にコート一枚を着せられて東公園にある自治会の集会場から、佐藤文子、瀬尾良江、そして脇坂によってA工業高校のグラウンドまで届けられたのはちょうど試合が終了し、紅白両軍が並んで挨拶をしているところだった。
生徒たちの後方にはお臍丸出しのミニTシャツにカットジーンズという露出的な服装を身に着けた娘が、羞恥に顔を俯かせて立っている。言うまでもなくA工業高校野球部の奴隷マネジャー、小椋貴美子である。
「どうにか間に合ったわ」
助手席の文子が後部座席を振り返り笑いかける。
「ちょっと待ってよ。メイクがまだ終わっていないのよ」
良江が後部座席で、必死で裕子にメイクを施している。集会場で、昌子や美智恵の調教の指導と称して、延々と瓶釣り踊りを演じさせられた裕子は、身体が鉛のように重い。
前日の睡眠不足も重なって朦朧となっている裕子は、覚醒効果のあるドリンクを何本も飲まされ、ようやく意識を保つという最悪の状態になっている。当然肌の艶もいつも程はよくないが、良江の巧みなメイクによって目元の隈を隠され、髪を綺麗にセットされ、肌にクリームを塗り込まれた裕子はたちまち、少なくとも見た目には42歳という年齢が信じられないほどの新鮮な美しさを取り戻す。
「まあ、大したものねえ。やはり日頃のお肌への投資が違うのかしら」
艶やかに変身した裕子を、文子は感心したように見つめる。
「これなら新也たちも喜ぶわ」
裕子夫人は文子の言葉に一瞬口を開きかけるが、すぐに諦めたように閉じる。文子の息子の佐藤新也、そして良江の息子の瀬尾正明たちが貴美子に対して一体どんな仕打ちをしているのか、最近の貴美子のすさみ振りを見ると裕子にはほぼ想像がつく。
そんな息子たちの非道を正すどころか、親自らが率先して悪行を推進し、さらに息子たちの非行に火に油を注ぐように新たな生贄を投げ与えようとする――裕子にはとても信じられない神経であるが、いまさらそれに対して抗議しても空しくなるだけなのだ。
(それに自分にはもはやそんな資格はない。いわば彼らの共犯者なのだ)
裕子は深い悔恨とともに今日の出来事を思い出す。香織に脅迫されて、PTAの役員仲間である昌子、美智恵、奈美、そして摩耶をおびき出し、彼女たち4人を自分やしのぶと同じ性の奴隷の境遇に叩き落とした――そんな自分には彼らに抗議する資格はないのだ。
自分に出来ることは貴美子や里佳子、そして奈美や摩耶に対して向けられる嗜虐者たちの矛先を出来るだけ変わって受け止めることしかない。
(これもみんなしのぶさんのせいだわ)
裕子の胸に、しのぶに対する怒りが込み上げる。しのぶも進んで悪鬼たちの虜となった訳ではなく、また裕子も、しのぶから助けを請われたことで香織の罠に落ちた訳ではないのだが、他に怒りのもって行き場のない裕子は理不尽なまでの恨みをしのぶに対して抱くのだ。

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました