第180話 狂宴

道夫が一足早く力尽きたのを知ったかのように、達彦は処女を失ったばかりの里佳子を恥ずかしい女の絶頂へと追い上げて行く。ためらいをみせていた里佳子も達彦に手を引かれるように、ともに頂きへと確実に歩を進めて行く。
「あっ、ああっ」
「ううっ」
里佳子がまるで荒馬に翻弄されるように、達彦の上でしく身体を上下させる。観客たちも手近の奴隷たちをいたぶる手を止めて、二人のクライマックスを息を潜めて待ち受けている。達彦と里佳子の迫力のある交わりは先程の少女L――山崎留美と加藤健一の比ではない。小塚美樹によって処女のまま十分に性感を開発されていた里佳子が、達彦に導かれて一気にその素質を開花させた感さえあるほどだ。調教師として二人の脇に立っている史織も、からかいの言葉をかけることすら忘れ、二人の激しい交合をじっと見つめている。
「ああっ、いっ、いくっ!」
ついに里佳子が絶頂を極める言葉をはっきりと口にする。同時に達彦が緊張を解き、里佳子の体内に深々と精を浴びせかける。
「うっ、ううっ……」
達彦の熱い迸りを深奥に感じた里佳子は、身体を震わせながら感極まったような声を上げる。それは決して苦痛や屈辱だけではない。里佳子の表情には女の真の悦びを初めて知覚した感激がはっきりと浮かんでいるのだ。
二人の美少女の壮絶な同時処女喪失ショー目撃した観客たちは、二人の男に跨がったまま放心状態にある里佳子と香奈に対していっせいに拍手を浴びせかける。失神寸前の里佳子と香奈が、ステージ脇から現れた黒田と沢木によって抱きかかえられるように舞台裏に消える。
目の前で愛する娘を凌辱された裕子としのぶは、素っ裸のままで顔を伏せ、すすり泣いている。そんな二人の母親に史織の冷酷な命令が飛ぶ。
「メソメソ泣いていないで、娘が処女を捧げたオチンポの後始末をするのよ」
裕子としのぶは弾かれたように顔を上げる。とんでもない指示に思わず反撥の色を見せた裕子に、史織の鞭が飛ぶ。
「ああっ」
「何よっ! C級の牝豚奴隷の分際でその生意気な顔付きはっ」
裕子の滑らかな背中の上に鞭が踊り、くっきりと赤い蚯蚓脹れを印していく。
「いやならもう一度里佳子と香奈を引っ張り出して、後始末をさせてもいいのよ」
「も、申し訳ありません」
裕子はステージの床に額を擦り付けるようにして、詫びの言葉を吐く。
「後始末させていただきます……ですからもう娘は」
観客たちは母親顔負けの、史織の堂に入ったサディスチンぶりに思わず目を瞠らせる。
「わかったら男の前に行きなさい」
裕子としのぶは夢遊病者のような足取りで、マスクをした二人の男――達彦と道夫が並んで立たされているステージ中央に進む。肩幅の広さに足を開き、いまだペニスを半屹ちにさせている達彦と道夫の前に、裕子としのぶは跪く。
「こんなふうに言うのよ、わかった?」
史織が耳元に吹き込む言葉に、裕子としのぶは素直に頷く。裕子は里佳子の処女を奪った男――加藤達彦を見上げながら口を開く。
「り、里佳子の処女を奪っていただき有り難うございました。御礼申し上げます」
そう言うと裕子は唇を達彦のものの先端に触れさせる。チュッと音を立てて接吻を施すと、達彦の肉棒は反射的にピクンと震える。
裕子は次にそっと口を開き、達彦の亀頭をそっと咥える。男の精の味とともに、里佳子の破瓜の血の味を舌先に感じた裕子はあまりの情けなさに再び涙を噴きこぼす。
「うっ、ううっ……」
「めそめそするんじゃないわよ。うっとおしいわね」
達彦への奉仕を開始した裕子の後ろに回った史織が苛立たしげに裕子の尻を軽く蹴り上げる。裕子は涙をこらえながら強いられた次の台詞を吐く。
「り、里佳子の処女の味はいかがでした? ねえ、感想を聞かせてほしいわ」
屈辱的な言葉を涙混じりに吐いた裕子に、どっと観客の哄笑が浴びせられる。目隠しと耳栓をされている達彦は、自分に奉仕を注いでいるのが裕子であることには気づいていない。裕子は観客の嘲りの声を背中に浴びながら、孤独で屈辱的な作業に没頭する。
隣ではしのぶが道夫に対して同様の奉仕を行っている。いや、なぜかしのぶは裕子に対して見せつけるかのようにことさらに情熱的な愛撫を道夫に対して注ぎ込んでいる。ちらちらと裕子に対して視線を送ってくるしのぶに対して、裕子ははっきりと敵意に似た感情を抱く。
(しのぶさん……負けないわ)
裕子はまるでしのぶに対抗するように激しい愛撫を達彦に対して注ぎ込む。裕子の頭の中は、里佳子の処女を散らされたことに対する悲しみよりも、夫の道夫を寝取ったしのぶへの対抗心に満たされていくのだ。
そんな裕子の葛藤をよそに、達彦の肉棒は再び高々と屹立を見せている。夢中になって奉仕を続けていた裕子の肩を史織が軽く叩く。
「すっかりその気になっているじゃない。今度はマンコを使って後始末するのよ。母娘丼を味わっていただく、って訳。いいわね?」
そんなとんでもない命令を与えた史織は、ニヤニヤしながら裕子の反応を見守っていたが、裕子は意外なほどの素直さで受け入れる。
「わかりました……」

ステージ上で裕子としのぶは素っ裸のまま四つん這いになり、達彦と道夫から後背位の姿勢で犯されている。
「あ、ああっ!」
「いいわっ!」
裕子としのぶが競い合うように嬌声を張り上げる中で、「かおり」の店内も一大乱行パーティの趣を見せ始めている。
A工業高校の教師たちが集まるボックスでは、貴美子が飯島といわゆる対抗座位で繋がり、切れ切れの悲鳴を上げている。そんな貴美子の背後にレズビアン教師の敦子と順子が取り付き、ねっととした舌の愛撫を注ぎ込んでいる。背中の性感帯を刺激されながら剛直で貫かれている貴美子は早くも三度目の絶頂を極め、「ああっ、ま、またいきますっ」とはしたない声を張り上げている。
以前からの「かおり」の常連が集まるボックスでは山崎奈美が、加藤健一の童貞喪失ショーに娘の留美が共演した衝撃も覚めやらぬまま、脇坂の剛直に貫かれたまま朽木にオーラルでの奉仕を強いられている。脇坂が激しく、リズミカルに奈美を突き上げるたびに、奈美の思考は切れ切れになり、留美を心配していた気持ちもどこかあやふやなものになっていく。
「この奥さん、自分から腰を使い出したぜ」
順番を待っている赤沢は、次第に快感に痺れ出した奈美がもどかしげに腰をくねらせ始めたのに気づくと楽しそうに笑い、奈美の太腿をぴしゃぴしゃ叩くのだった。
もっとも激しく乱れているのは、美樹他の東中の教師たちが集まるボックスだった。桑田、羽田、成田、そして村松の4人の教師たちは下半身裸でソファに腰掛けたままそれぞれ素っ裸の池谷昌子、長山美智恵、岡部摩耶、そして加藤健一を膝の上に乗せ上げて、思い思いに犯していたのだ。
「あ、ああっ、どうにかなっちゃうっ」
昌子はつんざくような悲鳴を上げると、弓なりにした豊満な裸身をブルブルと瘧にかかったように震わせる。そして背後から唇を求める桑田に、うっとりとした表情で舌を吸わせるのだ。
羽田に犯されている美智恵には中条圭子、そして成田に貫かれている摩耶には福山春美が取り付いて、柔らかい乳房を粘っこく揉み上げている。そしてホモの村松によって肛門を犯されている健一には佐藤文子と瀬尾良江が取り付き、すっかり回復を見せているペニスをいたぶり抜いているのだ。
「教師と生徒、そして母親たちがすっかり仲良くなっているわ。これこそPTAの理想の姿じゃない」
同僚の教師と美しいPTA役員たちの狂態を満足げに眺めていた美樹はそう言って笑うと、新しいシャンパンを開け、荏原誠一、そして世良香織と乾杯する。
香織はようやく自らの計画の第一段階が完了したことを確認し、静かに微笑するとシャンパンを飲み干す。加藤家、小椋家のすべての家族たちの奴隷化は着々と進んでいる。健一、里佳子、そして香奈が今夜純潔を散らしたことにより、今後は今まで以上に容赦ない調教を加えることができるだろう。
池谷昌子、長山美智恵、岡部摩耶、そしていまだ罠に落ちていない裕子のシンパの前田さおりたちを、裕子やしのぶ同様家族ごと奴隷化するのも遠くない将来可能だろう。
いずれAニュータウンは香織にとっての理想郷になる。表面的な人間関係とは裏腹に、性の奴隷制度とも言うべきシステムが確立された世界。そしてその頂点に立つのは香織である。
事実上家族というものを持たなかった香織の暗い少女時代。たのもしい父親、優しい母親、そして仲の良い兄弟姉妹、そんな暖かい家族と暮らした経験のない香織の復讐がそこで完了するのだ。
香織は再び満足げに微笑すると、シャンパングラスをテーブルにおき、手を叩くと甲高い声を上げる。
「奴隷たち! 誰が早く気をやるか競争よ。一番遅かった奴隷は20回の鞭打ちよ!」
奴隷たちの悲鳴と凌辱者たちの喚声が交錯する。「かおり」を満たしていた熱気はいっそう高まり、むっとするような淫臭が店内に立ち込める。
「あ、ああっ、イクっ!」
「わっ、私もっ!」
素っ裸の奴隷たちが競い合うように、恥ずかしい崩壊を遂げたことを大声で申告する。美しい奴隷たちにとっての長い夜はまだまだ終わりそうになかった。

(第一部 完)

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