さて、『役員会』ですが、これはもともと「耽美画報」に発表されたものではなく、「妻物語」という投稿サイトに2006年5月14日から、同年7月8日まで、全101回にわたって掲載されたものです。
発表当時のものを見たら、400字詰め原稿用紙換算で560枚と、優に単行本一冊分はあります。事前に多少の書き溜めはしましたが、「耽美画報」の更新も行いながら、2ヶ月弱でこれだけのものを書いたのですから、当時の自分は乗りに乗っていたのだなと思います。
「妻物語」に掲載されたという事でもお分かりだと思いますが、『役員会』はいわゆる「寝取られもの」です。同サイトにはそれまで『変身』、『女友達と妻』、そして『囚人のジレンマ』という比較的心理描写に重点を置いた作品を書いていたのですが、私の妻をモデルとしたそれら「紀美子三部作」が完結した段階で、思い切り娯楽とエロに徹した作品を書きたくなったのです。
と言っても、『役員会』のヒロインである「絵梨子」は、先行する三作品のヒロイン「紀美子」と人物造形的にはほぼ同じです。ちなみに『優しい隣人』のヒロインの「絵美子」も同様で、名前も紀美子→絵美子→絵梨子と一字ずつ変化しているだけなのが分かると思います。
役員会のあらすじは、妻物語のまとめサイトによると「断りきれず、やむをえなくPTA役員を務めることになった妻。 会合初日から酔いつぶれて帰宅する妻を夫は危惧するが……。 そんな夫の心配をよそに妻は役員会にのめり込んでいく」とあります。筋立ては正直言ってありきたりですが、寝取られものは実際の寝取られ場面をどう描くかというのがキモでして、この作品はその点にかなり工夫をしたつもりです。
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